■名古屋大学で開催された「おもしろ科学教室」に7回目のイベント協力(東海地方本部)
国立大学法人名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区不老町)内IB電子情報館で、平成27年1月12日(月・祝)、第7回「おもしろ科学教室」が開催されました。
このイベントは、青少年の科学への興味を引き出すことを目標とした各種学会(応用物理学会東海支部、電気学会東海支部、電子情報通信学会東海支部、プラズマ・核融合学会、日本赤外線学会、日本弁理士会東海支部、レーザー学会中部支部)や、学校(豊田工業高等専門学校、名古屋大学)、総務省東海総合通信局、日本アマチュア無線連盟東海地方本部、愛知県電波適正利用推進員協議会等が、毎年成人の日に、子供たちの科学する心を啓発する、興味深い展示やイベントを実施しているものです。
JARL東海地方本部は、平成21年1月12日に開催された、第1回目から毎年このイベントに出展、参加しています。
さて平成26年の名古屋大学は、同大学出身で工学研究科所属の天野 浩教授(応用物理学会東海支部)の青色発光ダイオードの開発に関するノーベル賞受賞に大いに沸いた年でした。
そのことを裏付けるというわけではありませんが、「おもしろ科学教室」が開催されたIB情報館の2階の窓には左下の写真のような掲示がありました。
各種報道などでも、話題として取り上げられていますが、先端の半導体技術を専門とする天野 浩教授は、小・中学校時代アマチュア無線に大いに熱中された経歴があるそうで、電気関係の研究者や技術者が、アマチュア無線の世界から誕生していったわかりやすい実例の一つとも言えるのかもしれません。
おもしろ科学教室の事務局では、実は当日の講演等でこの天野教授の参加も予定していたそうです。しかし残念ながら、当日の天野教授のスケジュールが合わず残念ながら参加は実現しませんでしたが、名古屋大学天野研究室と青色LEDの製品化に大きく貢献した、豊田合成鰍フ合同出展により、右下の写真のような青色LEDに関する関連展示がおこなわれました。
また新規に左下の写真のように、おもしろ科学教室の開催代表者を務める、高井吉明名古屋大学名誉教授の現在の勤務先である国立豊田工業専門学校(高井名誉教授は現在、同校校長)が「豊田工専のロボカップを体験しよう」という展示ブースを設けました。ちなみに、豊田工専はロボカップの世界大会に毎年出場し、好成績を収めていることでも有名です。
第一部の記念講演では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙教育リーダーである、三菱重工鰍フ山中昌弘氏が「宇宙に行くためには〜ロケットが飛ぶしくみ~」と題する講演がありました。「空を飛ぶ」ことと「宇宙を飛ぶ」という、実は似て非なるテーマに関する詳細な解説に、参加者は大いに科学の不思議を体験されていたようです(右下の写真)。
JARL東海地方本部は例年と同様JA2YRLの公開運用と、子供たちを対象にFM
ラジオを使ったFOXハンティング「電波でおにごっこ、キツネを探せ!」や、特定小電力トランシーバーを使った「無線交信体験」を実施したほか、展示コーナーでは「モールス符号で遊ぼう」と題した展示をおこないました。
また、各種学会等の工作教室は、応用物理学会東海支部が「たたいてピカピカLED」、日本弁理士会東海支部が「LED電子万華鏡を作ろう」、日本赤外線学会・レーザー学会が「作って考えよう!赤外線応用技術 −人接近警報機−」というテーマで実施されました。一方、東海地方本部が開催したイベントでは、工作ではありませんが「見えない電波を見てみよう」の教材として準備した、「LED、ダイオードとコイルで作る簡単電波チェッカー」が今年も大好評でした。子供たちは無線交信体験の途中にもトランシーバーのアンテナにチェッカーを近づけて電波の存在を確認するなど大きな関心を示していました。
ところで、今回のおもしろ科学教室のメインとなる工作教室などの、各団体の4つのメインイベントには全く偶然とはいえ、実はすべて「LED」(青色ではありませんが!?)が関係していたのです。天野教授の青色LEDの開発のノーベル賞受賞に何とな〜くうなずけるような気がしませんか?
東海地方本部の「電波でおにごっこ」ですが、実は過去6回、参加者がなかなか集まりにくい傾向が見られました。アマチュア無線家の間では、十分に浸透している「FOXハンティング」という遊びのおもしろさは、電波にあまり興味がない方にはなかなか伝わりにくかったようです。でも、これまでも他の参加学会等が「工作」をメインテーマとしていることもあって、東海地方本部では「不利」とは思いつつ、あえて「工作ではないメインテーマ」を選択して、このイベントを続けてきました。
ところが、今回は参加者の応募のようすが、例年と全く異なりました。中日新聞折り込みの募集開始早々、参加定員の50名に達してしまったのです。応募をいただいた参加希望者リストを見ると、これまでとはちょっと違った傾向が見られ「小学校1年生」が圧倒的に多かったのです。参加している保護者の方々の会話を耳にしていますと、就学1年目の子供たちに「おにごっこ」という遊びの要素の中から「科学への興味を抱いてくれるチャンスがあれば」と考えた保護者の方々が、これまで以上に多かったのかもしれません。
好天にも恵まれたことから、今年は会場のIB情報館の館内外のスペースを使用して実施しました。FMラジオを片手に、子供たちはユニークな音を送信する送信機を探し元気に巡っていました。無線交信体験でも、子供たちは交信の楽しさを満喫していたようです。
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「おもしろ科学教室」の今後の開催計画について、開催代表者を務めた高井吉明名古屋大学名誉教授は、 「今回で7回目となるこの科学イベントは、さまざまな分野の団体が協力しておこなう国内でも珍しいもので、第1回目から、参加団体が少しずつ、交替して来ていますが、各団体のボランティアによって、このイベントが運営されています。今回は、奇しくも小林 誠、益川敏英両先生のノーベル賞受賞を記念して始めた第1回から数えて7回目で、また赤ア教授・天野教授のノーベル賞受賞を記念して開催する事ができました。
例年、チラシ案内開始と同時に、多くの応募が届き、すぐに定員が埋まってしまいます。最終的には2倍近くの申し込みとなるので、会場がもう少し広ければ、もっと多くの子供たちに楽しんでもらえるのですが、それが残念です。会場となる名古屋大学の支援はもちろん、各団体の協力が来年度も続くことを期待し、次回の開催を目指して、今年の10月ぐらいから、また、具体的な計画を検討したいと思います。今回は、主催団体の一つである応用物理学会東海支部にノーベル物理学賞を受賞された赤ア教授・天野教授が所属されているということで、ノーベル賞受賞を記念してLED関連の展示を企画しました。来年はどんな展示が出来るのか、今から楽しみです」
と語っています。
(1月16日)
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