■
南極昭和基地8J1RLが5月5日「こどもの日」の特別運用を実施
南極昭和基地に開設されたJARL南極局8J1RLは、毎年5月5日のこどもの日に、日本国内の小・中・高校生を優先して交信をおこなう「こどもの日」の特別運用を実施しています。昨年(平成27年)は、3月に昭和基地を襲ったブリザードで、8J1RLのアンテナ設備等に大きな損傷が発生し、やむなく特別運用を中止することとなりましたが、平成28年は設備が復旧できたことから、第57次日本南極地域観測隊が「こどもの日」の特別運用を実施することとなりました。
東京都豊島区のJARL事務局資料室にあるJARL中央局JA1RLは、東京都支部の協力で、この日に合わせて8J1RLとの公開運用を実施。当日は17:00ごろから、事前に運用申込みがあった熱心な小・中・高校生ハム8名ほかが集まり、運用開始予定の18:00を待ちました。
運用開始の待ち時間の間、JARL事務局会議室では南極地域観測隊の活動や南極に関する、南極地域観測隊OBの方の興味深いお話しなどがあり、来場の小・中・高校生のみなさんは、大変興味深げに聞き入っていました(下の写真左)。
一方、JA1RLのある資料室では、交信開始予定時刻を前にコンディションのチェックを兼ねて21MHz帯で運用をおこない、定刻の30分ほど前から8J1RLへの呼出、シグナルのチェックを開始(上の写真右)。しかし呼出開始の当初は、8J1RLのシグナルが非常に弱いながら確認できたのですが、定刻が近づく頃から急激にノイズレベルが上がってしまって、21MHz帯ではすでに8J1RLのシグナルが受信できない状態に陥っていました。
そのころ、バンドを14MHz帯に移して入感状況を確認してみますと、14MHz帯では8J1RLのシグナルを受信できることが確認できました。しかし、今回JA1RLに集まった子供たちに、2アマ以上の有資格者はいません。8J1RL側ではJA1RLが発していた21MHz帯10Wの呼出を十分に確認できていたようです。
そこで、8J1RLから14MHz帯送信、JA1RLからは21MHz帯送信のクロスバンド運用での交信を試みることとなりました。
そしてクロスバンド運用が開始された18:40ごろ、2名がレポート交換に成功しましたが、その後は14MHz帯の状況も急激にクローズとなり、残念ながらその後南極からのシグナルが聞こえてくることはありませんでした。
当日、集まった子供たちも今回の体験が「日本と南極の距離感」と、「HF帯の電波伝搬の難しさ」を改めて実感する体験と感じていたようで、来年もチャンスがあれば参加してみたいという思いを胸に会場を後にされたようです。
なお、南極昭和基地8J1RLでは、来年以降もこの「こどもの日」特別運用を継続して実施していく予定とのことです。
(5月6日)
|