September 2016 NEWS TOPICS INFORMATION


沖縄地方非常通信協議会の非常通信訓練に参加(沖縄県支部)

 沖縄地方非常通信協議会は沖縄県が実施する沖縄県総合防災訓練と連携し、大規模災害が発生した際の通信手段を確保するための非常通信訓練を9月1日および2日に実施しました。
 今回の非常通信訓練は、災害想定の下、通常の通信手段が使用できない状況において、実践的な情報伝達訓練をおこなうことにより、非常時における円滑な通信を確保することを目的として実施されたものです。

 この訓練のうち9月1日に実施された「災害対策用移動通信機器貸出訓練」には、竹富町(沖縄県八重山郡)、日本アマチュア無線連盟沖縄支部、総務省沖縄総合通信事務所が参加しました。

 「災害対策用移動通信機器貸出訓練」は、竹富町の要請を受けた石垣市在住のJS6BOA上原 治さんから、沖縄本島のJARL地方局JR6RL(オペレーターJR6EA徳村政人さん)へ、関連機関に内容(衛星携帯電話の貸出要請)をおこなうというものです(写真はJS6BOA上原さん から内容の伝達を受けるJR6RL(オペレータはJR6EA徳村氏さん。沖縄県支部のホームページから)。

 JARL沖縄県支部では、今回の非常通信訓練について、支部ホームページで「引き続き沖縄地方の非常通信に協力し、アマチュア無線による通信ルートの確立に努めて参ります。各局におかれましては、日頃より“非常時の通信”について関心を持ち、自己訓練に研鑽ください」と発表しています。

(9月20日)

「詳細」



第16回西日本ハムフェア(平成29年3月5日、福岡県京都郡苅田町)
 出展団体の募集を開始
(出展団体の募集を9月26日で締め切りました)

 JARL九州地方本部は平成29年3月5日、福岡県京都郡苅田町の日産自動車九州(株)体育館およびゲストホールで、第16回西日本ハムフェアの開催を予定しています。
 西日本ハムフェアの同会場での開催は4回目となります。

 九州地方本部では、出展団体の募集を平成28年9月15日〜11月30日の間おこなっています。

 なお、西日本ハムフェアの出展に関するお問い合わせや実施要項の請求は、西日本ハムフェア事務局まで。

※ブース満杯のため、出展団体の募集を9月26日で締め切りました。

【開催の概要】

  • 名称:第16回西日本ハムフェア
  • 開催日時:平成29年3月5日(日)09:00〜15:00
  • 会場:日産自動車九州(株)体育館およびゲストホール(福岡県京都郡苅田町新浜町1番)
  • 出展団体募集期間:平成28年9月15日(木)〜11月30日(水)募集受付終了
    ※ブース満杯のため、出展団体の募集を9月26日で締め切りました。
  • 西日本ハムフェア事務局
    〒837-0916福岡県大牟田市田隈5-6 井上 滋(JE6ONQ)
    FAX0944-54-8253、E-mail:je6onq(アットマーク)jarl.com

▽第16回西日本ハムフェア公式サイト
http://www.jarl.com/nishiham/

▽第15回西日本ハムフェア(平成28年3月6日)の開催レポート
http://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2016/2016_news-3.htm#0310

(9月16日)

(9月27日更新、出展団体募集の終了)

「詳細」



大西宇宙飛行士がアクティブにアマチュア無線の一般交信を実施

 既報の通り8月29日に、京都市在住のJM3DUR島村隆久さんとJH3BUM石原正次さんが、国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士との一般交信に成功したニュースをお知らせしましたが、その後も大西宇宙飛行士は、業務の余暇の時間を使って、日本のアマチュア無線家とのアマチュア無線の一般交信にアクティブに挑戦されています。

 JM3DUR島村さんからの情報によりますと、「SNSなどの情報では6〜8局が交信に成功しており、9月15日現在で交信成功が確認されているのは、JM3DUR、JH3BUM、JA0CAW、JA3RVS、JF1EUY、JL3JRYの各局で、その他にも何局か交信に成功している模様です」とのことです。今後も、大西宇宙飛行士によるアクティブな一般交信の実施が大いに期待できそうな感じです。

 みなさんも、ぜひ大西宇宙飛行士との交信に挑戦してみませんか。
 前述のとおり「国際宇宙ステーションからのアマチュア無線の一般交信」は、休日や夜間などの宇宙飛行士の余暇の時間を使っておこなわれます。
 NA1SSとの一般交信は、地上側の送信が144.49MHz、地上側の受信が145.80MHzのスプリット運用です。国際宇宙ステーションが日本の上空を通過するパスは、ARISS運用委員の安田 聖さん(7M3TJZ)が開設している、「SatTrack V3.1.6 (Orbit Prediction)のページ」を利用して調べると便利です。
 国際宇宙ステーション内での時刻はUTC(JST−9時間)が使用されていますので注意してください。

 なおこれも大切な注意点ですが、ISSとの一般交信の際は地上側からの呼出はしないで、必ず国際宇宙ステーションからの呼出を確認してから、呼出に応答するのが重要な約束事です。

▽ARISSの交信とコールサイン(一般交信の注意点は3.3項参照)
http://www.jarl.org/ariss/index.html#school

▽SatTrack V3.1.6 (Orbit Prediction)
http://predict.ariss.jp/overpass.html.ja

(9月16日)




鳥取県西伯郡大山町立大山小学校の児童たちが大西卓哉宇宙飛行士と交信に成功

 2016年8月20日、鳥取県西伯郡大山町の大山町立大山小学校の児童が、ARISSスクールコンタクトで国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士との交信に成功しました。
 今回の大山小学校の児童たちとの交信は、大西卓哉宇宙飛行士の日本の子供たちとの初めてのスクールコンタクトとなりました。

 大山小学校のスクールコンタクトは、国内88例目で、中国地方で実施されたスクールコンタクトとしては7例目に当たります。
 ちなみに、これまで中国地方で実施のスクールコンタクト6例は、中国地方のうち山陽地方(山口県2回、広島県3回、岡山県1回)での実施でした。
 大山小学校のスクールコンタクトは中国地方のうち山陰地方で初めての実施で、これまで日本国内で実施されたスクールコンタクト全体を見ても、本州の日本海側の地域での実施例は意外に少なく、福井県小浜市、石川県鳳珠郡穴水町、京都府京丹後市に続く4例目です。

 今回、大山小学校のスクールコンタクトのサポートをおこなったスタッフのお一人である、JH4PKQ黒田 隆弘さんに、大山小学校のスクールコンタクト実施までの準備や当日の詳細レポートをお送りいただきましたのでご紹介します。

★         ★

 大山町立大山小学校は、鳥取県西部に位置し、大山隠岐国立公園の主峰大山(1,709m)の麓にある、児童数76名の小さな小学校です。

 大山小学校(鳥取県西伯郡大山町)のARISSスクールコンタクトは、8月20日17時50分から18時00分までの10分間、同校の体育館でおこなわれ、国際宇宙ステーションの大西卓哉宇宙飛行士と無線交信に成功しました。

 6年生の子どもたち13人と会場に詰めかけた210人以上の観客が見守る中、交信の時刻が近づいて来ました。

 「10分前」……「5分前」……「1分前」……「NA1SSこちらは8J4DISS」と3回オペレーターの野口順次さん(JA4XNF)が呼びかけると、宇宙ステーションの大西卓哉宇宙飛行士からの声が飛び込んできました。

大西宇宙飛行士…「はい、8J4DISS、こちらはNA1SSです。感度良好です。宇宙飛行士の大西です」

 そしてさっそく、子どもたちの交信に入りました。

  • 児童…「まいです。宇宙から一番きれいな星を教えてください」
  • 大西宇宙飛行士…「質問有難うございます。宇宙から一番きれいに見える星は、私は地球だと思っています。きれいな地球が見えるので、毎日飽きずに眺めています。」
  • 児童…「はやとです。宇宙飛行士を目指されたきっかけは、何ですか」
  • 大西宇宙飛行士…「はやとさん質問ありがとう。宇宙飛行士を目指したきっかけは、『アポロ13号』とゆう映画を見て感動して宇宙飛行士になりたいと思いました。ぜひ皆さんも見たことがない人は見てください。とてもいい映画です」
  • 児童…「たかやです。今までの実験でなにか発見がありましたか」
  • 大西宇宙飛行士…「たかやさん質問どうもありがとうございます。僕が今やっている研究はいろいろあるんですが、データを取っていて、それをこれから地上の研究者の方々が分析してくれることになります。その結果を楽しみに待っています。これまで日本の実験棟の『きぼう』でおこなわれたタンパク質の結晶を育てる実験とかがあるのですが、それでは新しい薬の開発につながる可能性のある結果が見つかっています」など次々と15問の質問ができました。

 大西卓哉宇宙飛行士には子どもたちの質問にとてもていねいに答えていただきました。


 最後に子どもたち全員で「ありがとうございました。」と感謝の言葉を送ると国際宇宙ステーションからの電波が途絶えました。
 会場内からは大きな拍手と歓声が起こりました。

 大山小学校のARISSスクールコンタクトは大成功の内に終わり、子どもたちはアマチュア無線を通じて宇宙から聞こえてくる大西卓哉宇宙飛行士の明瞭な声に大変感動していました。
 宇宙や科学技術に大きな夢をいだくと共にアマチュア無線にも大いに興味をもったようでした。

■実施までの経過

 今回のARISSスクールコンタクトの実施のきっかけは、2015年の7月山口県でボーイスカウトの世界ジャンボリーがおこなわれた際に、ARISS Japanの安田 聖さん(7M3TJZ)との出会いがあり、ぜひ大山小学校でARISSスクールコンタクトを実施しようとの機運が盛り上がりました。
 さっそくARISS Japanに申請書の提出し、アマチュア無線家のサポートは、米子アマチュア無線赤十字奉仕団(JA4YGA)が担当し、コントロールオペレーターは委員長の野口順次さん(JA4XNF)がつとめることで話が進みました。
 ARISSスクールコンタクトの実施決定連絡を2016年4月27日に受けて、学校、無線関係者、サポーター等で準備委員会を立ち上げて、具体的な行政への依頼、実施方法の立案、場所の検討等を進めました。

 これと並行して学校では、外部講師によるアマチュア無線や宇宙の勉強、JAXA職員による宇宙ステーショや宇宙飛行士の勉強もしました。
 実施場所を当初は屋外で『夏の夜空に飛ぶ宇宙ステーションを見ながら交信するのが良いとの提案があり、近くの公園での屋外実施を検討しましたが、最終的には学校の体育館で実施することにしました。

 そして『大山町立大山小学校アマチュア無線クラブ』を立ち上げ、コールサインを『8J4DISS』に決定しました。「Dは大山(だいせん)のD」、「ISSは宇宙ステーショのISS」として、臨時に開設する社団局の免許申請を総務省中国総合通信局にしました。
 臨時社団局の免許は2016年6月21日に交付されました。NASAとの調整で、実施日は当初は2016年7月20日から31日の間の1日と決まりましたが、大西宇宙飛行士がソユーズロケットで宇宙ステーションに到着したのが、当初の予定より1週間遅れたことや宇宙ステーションの業務の関係で実施日が8月に延期され、実施日が8月20日に正式決定されたのは2週間前でした。

 ARISSスクールコンタクト本番の前日には、米子アマチュア無線赤十字奉仕団の協力で無線機、アンテナの設置調整をおこないました。
 校舎管理棟の屋上に12エレクロス八木アンテナを設置し、宇宙ステーションを追尾するテスト等もおこない万全を期しました。
 そして本番の8月20日を待ちました。

■今後の取り組み

 今回のARISSスクールコンタクトを契機に、アマチュア無線をやりたい、免許を取りたいという子どもたちがいました。また、小学校としてもクラブ活動にアマチュア無線を取り入れたいという意向も聞きました。 子どもたちにアマチュア無線の楽しさを知ってもらう機会を積極的につくり、多くの子供たちがアマチュア無線の仲間に入ってくれるよう努力してゆかなければいけないと思っています。
 最後に今回のARISSスクールコンタクトの実施にあたり、大変お世話になりました
 総務省中国総合通信局、ARISS JAPANの安田 聖さんはじめ多くの関係の皆さんに感謝とお礼を申し上げて報告とします。ありがとうございました。

レポート:JH4PKQ黒田隆弘さん

(9月5日)




国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士とのアマチュア無線の一般交信に2名のアマチュア無線家が成功


▲「きぼう」日本実験棟の船内実験室での大西宇宙飛行士(写真提供:JAXA/NASA)

 8月29日、京都市在住のJM3DUR島村隆久さんと、JH3BUM石原正次さんが、国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士との交信に成功しました。今回のお二人の交信は、国際宇宙ステーションのアマチュア局NA1SS側からの呼出に応答した通常の交信です。

 これまで日本国内で国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士との一般交信がおこなわれたケースは少なく、2006年1月14日・15日にビル・マッカーサー宇宙飛行士が実施しました。このときは、JN1GKZ新井雅裕さんやJH3BUM石原正次さん等が交信に成功されています。
 また詳細は確認できていませんが、インターネット上などでは2009年ごろに、マイク・フィンク宇宙飛行士(少しですが日本語を話すことができます)や若田光一宇宙飛行士が、日本のアマチュア無線家の方と一般交信をおこなった記録が見られるようです。

 一つだけ確実に言えるのは、「ARISSスクールコンタクト以外で、ISSに長期滞在中の宇宙飛行士によって、日本国内を対象としたアマチュア無線による一般交信がおこなわれるケースはかなり珍しい」ということです。

 今後も、大西宇宙飛行士をはじめISSに滞在の宇宙飛行士の方による一般交信の実施に大いに期待したいところですね。
【ARISSの交信とコールサイン】
 アマチュア無線家の間では「ARISSの交信」というと「スクールコンタクト」をイメージされる方が多いようですが、実は次の3種類に分けられています。
  1. 日時を決めておこなう学校交信:スクールコンタクト(Scheduled School Contact)
  2. 宇宙飛行士の希望する相手との交信(Crew QSO)
  3. 一般交信(General QSO)
 これらは、アマチュア無線の免許を持った宇宙飛行士により、1と2は、勤務時間内に、3は余暇時間におこなわれます。
 なお、ISS上のアマチュア局のコールサインは、DP0ISS(ドイツ)、NA1SS(アメリカ)、OR4ISS(ベルギー)、RS0ISS(ロシア)が使われています。

 大西卓哉宇宙飛行士との一般交信に成功された、島村隆久さんから当日の交信に関する、詳細レポートをお送りいただきましたのでご紹介しましょう。

■JM3DUR島村隆久さんのレポート

 8月28日(日)、午後から大阪府池田市の池田市民文化会館で、今年の関西アマチュア無線フェスティバルKANHAM2016の反省会があり、夕方には打上げ会が大阪伊丹空港の展望レストランで開催され、KANHAMスタッフ十数名が集まっていました(上左の写真)。

 そこでANAの飛行機を見ながら(ちなみに、大西宇宙飛行士の前職はANAのパイロットです……)飲んでいたときに、私が『大山町立大山小学校でのスクールコンタクトの後、google+の大西宇宙飛行士のメッセージに「一般交信がしたい」という内容が記されていた』ことを話題にしました。
 すると、JL3JRY屋田純喜KANHAM実行委員長から「大西宇宙飛行士にリクエストしてみたら?」という意見が出たので、さっそくスマホのアプリを使って次のパスを調べてみると、日本時間の翌日(8月29日)06:38ごろから約10分間のパスがあることに気づきました。

 「これは国際宇宙ステーションタイムでは28日(日)の21:38ごろだなぁ?ということは、国際宇宙ステーションでは休日の自由時間だから、交信のチャンスがあるかもしれない?」と、ほろ酔いの勢いもあって、その場で大西宇宙飛行士のブログに、ダメモトで次のようなメッセージを書きこんでみました。

 大西さん、私は宇宙へアンテナを向けてアマチュア無線を楽しんでいます。
 宇宙ステーションの大西さんとぜひアマチュア無線で交信したいと思っています。
 次回(国際宇宙ステーションで)、今晩21時38分ぐらいに日本上空を通過されるようですね。聞いてみたいと思っています。ぜひご連絡をお待ちします。

島村隆久 京都市

 とりあえず確証はありませんが、KANHAM実行委員会スタッフにもこの情報を流しました。

 家に帰ってから周波数(受信:145.80MHz、送信:144.49MHz)をメモリーしておいて、翌日8月29日の06:00の目覚ましをセットして寝ました。

 翌朝目が覚めていよいよ、「まさか?聞いていないだろな〜」と思いつつスタンバイし、パスが近づく06:35ごろからアンテナの追尾を開始しました。
 使用するトランシーバーには、普段衛星通信用に使っているトランシーバーではなく、交信内容がデジタルレコーディングできるIC-7100Mを使うことにしました。

 そして国際宇宙ステーションが上空に見え始めた06:41ごろです。なんと大西宇宙飛行士の呼出が聞こえてきたのです。

 その後、大西宇宙飛行士と私が交わした交信は次のような内容です。

  • NA1SS…「こちらはNA1SS、国際宇宙ステーションです。日本の方いらっしゃいますか?」
  • JM3DUR…「NA1SSこちらは、JM3DUR京都からです。とれますか?どうぞ」
  • NA1SS…「はい、よく聞こえます。そちらはどうですか?」
  • JM3DUR…「こちらも良好に聞こえております〜。おはようございます、こんばんは。京都市の島村と申します。どうも交信ありがとうございます。どうぞ」
  • NA1SS…「いえいえ、とんでもないです。こちらこそ、ありがとうございます。はじめてです、アマチュア無線で話をするのは。何回かトライしたのですがやっぱり時差の関係とかで難しかったです」
  • JM3DUR…「はい了解です。私も何度か呼んではいたんですけど、なかなかつながらなくて、今回つながって光栄に思っております。またお時間あるときに交信していただきたいと思っております。レポートは59でした。NA1SS大西宇宙飛行士、こちらはJM3DURでした」
  • NA1SS…「はいどうもありがとうございました。またよろしくお願いします」
  • JM3DUR…「ありがとうございました。また他にもお聞きの方がいらっしゃると思いますので呼んでみてください」


 そして次にJH3BUM石原さんも、大西宇宙飛行士をコールされて交信ができました。
 その後もしばらくの間、聞いていましたが、今回は私と石原さんの2局だけが交信に成功したようでした。大変ラッキーでした。
 大西宇宙飛行士がブログを読んでくださって、リクエスト通りに出てきていただいたことについては「まさか」と思いましたが、とてもうれしかったです。
 これからも日曜の夜(日本時間では月曜日の早朝)に、日本上空を通過するパスがあるときは、ぜひワッチしてみたいと思います。

 日本人宇宙飛行士によるアマチュア無線の一般交信の前例について、インターネットなどを調べてみますと、2009年3月24日におこなわれたアメリカ人クルー(マイク・フィンク宇宙飛行士)とJR6LDE三ヶ島靖男さんとの一般交信の際に、このころちょうど初の長期滞在が始まった日本人宇宙飛行士の若田光一さんとオペレータチェンジをされて交信した、という記録が見られます。
 しかし、歴代の日本人宇宙飛行士で宇宙飛行士自らが呼出をおこなって交信が実施されたケースは、南極昭和基地8J1RLとのクルーQSO成功させた野口聡一宇宙飛行士の交信例以外は見かけることができませんでした。
 今回の大西宇宙飛行士による一般交信は、一人のアマチュア無線家のブログへのリクエストの書き込みを、見てくださった大西宇宙飛行士自身が、積極的に呼びかけていただき交信に至ったものです。
 大西宇宙飛行士の今回の試みは、日本のアマチュア無線界にとっても、たいへん喜ばしいことでもあり、夢いっぱいの、より一層交信への興味をそそられる出来事ではないかと思っています。
 これからも、大西宇宙飛行士をはじめISSに長期滞在の宇宙飛行士の方々との一般交信のチャンスがあるかもしれません。
 みなさんも、そんな次なるチャンスの到来の時を願って、まずは日頃からマメなワッチに取り組んでみてはいかがでしょうか。

【野口聡一宇宙飛行士は南極昭和基地8J1RLとクルーQSO(2010年4月29日)】

 日本国内の一般のアマチュア局との交信ではありませんが、野口聡一宇宙飛行士は第22次/第23次長期滞在期間の、2010年4月29日(昭和の日)に、南極昭和基地第51次越冬隊隊員の方が運用する南極昭和基地(8J1RL)とクルーQSO(宇宙飛行士が希望する相手との交信)により交信に成功しました。
 「昭和の日にアマチュア無線でおこなわれた、昭和基地と国際宇宙ステーションとの交信」という、アマチュア無線の世界にとっても楽しいニュースでした。
 このQSOは、当時国際宇宙ステーションとの交信世界最南端記録となりました(それ以前の記録は、前出のビル・マッカーサー宇宙飛行士により、2006年2月13日に実施された、ピーター1世島DXペディション3Y0Xとの交信でした)。

▽詳細
http://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2010/2010_news-5.htm#0513

レポート:JM3DUR島村隆久さん
NPO日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)理事、
関西ARISSプロジェクトチーム、
JARL京都府支部幹事、JARL京都クラブ

(9月2日)


   
| 2015年のNEWS |