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「ふじ3号」 |
受信レポート 運用編 |
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JARLでは,学生のみなさんの自由研究などに役立てていただくために,2000年の夏休みの期間中に「ふじ3号」のデジトーカ運用をおこないました。衛星管制局にはデジトーカの受信に挑戦されたみなさんからの受信レポートが多数寄せられています。 ここでは,この運用期間中にお寄せいただいたレポートの一部を抜粋して紹介いたします。なお,今回の運用以前にお寄せいただいたレポートの一部も別ページで合わせて紹介していますので,ぜひご覧ください。 |
宇宙からのメッセージに子どもたちも大喜び! JA1JBF・小倉勝雄さんのレポート 7月23日23:50ごろのパスで人工衛星(FO-29)の勉強会をおこないました。参加者は中学1年生1名,中学3年生2名,大人3名。
マスプロ電工の8エレ八木アンテナに同軸1.5m,受信機にはアイコムのIC-T81(FMハンディー)を2台使用しました。
まずTrakBox(編注:衛星の軌道追尾ソフトの一つ)により自宅のアンテナが自動追尾を始めたことを確認し,庭先でデジトーカの受信を開始しました。
IC-T81のチューニングステップを5kHzにして435.920MHzで待機しました。
するとすぐにデジトーカが聞こえはじめ,子どもたちは喜びのあまり歓声を上げていました(真夜中のことでした)。
この歓声にご近所の方々が何事かと集まってきました。ワケをお話ししましたところ,常々私のアンテナが天空を向いていることがわかり,安心されたようでした。
そこで「ふじ3号」をPRし,さらにアマチュア通信衛星についての理解を深めていただきました。集まったご近所の方からも質問ぜめで,次のような質問を受けました。
- デジトーカの音声録音テープが欲しい。宇宙からの初めて聞いた音声だから。
- 人工衛星を打ち上げる費用はどれほどか?
- 主たる目的は何か?
- 衛星の大きさは?肉眼で見えるのか?
- どうして衛星が飛んでいる方向がわかるのか。
- その他
●受信レポート
- 八木アンテナの場合,ハンディー機のSメーターが50%ほど振れました,非常に強力に入感しました。受信環境は周囲が建物で囲まれていてBFでしたが,建物の壁面からの反射波を受信でき面白かったです。また偏波面を変えてみると,デジトーカの音声が歪んだり,信号が弱くなったり,子どもたちはいろいろ試していました。
- ハンディー機のホイップアンテナでも,場所とアンテナの角度を選ぶとノイズなしで受信できました。
- IC-T81のチューニングステップは最小の5kHzにして,ドップラー効果に対応させましたが,実用上全く問題なく追従できました。
●反省点
- 深夜の勉強会は河原などで,人に迷惑がかからないようにする。
- 事前に子どもたちに予備的な知識を与えておく(必要条件)。受信が始まってからでは追尾に説明がついていけない。
- ノートパソコンを野外に持ち出し,軌道計算,表示に使えば効果的でした。
- 夏休みの自由研究としては,欲張らずにテーマを絞った方がよい。また何人かのグループで作業を分担するのもよい。
【管制局から】多くのアマチュア無線家のみなさんから受信レポートをいただいていますが,一般の方からの感想も盛り込まれたレポートをいただいたのは初めてです。
また、反省点などもレポートに記載されていますので,今後挑戦される方の良い参考となると思います。ありがとうございました。
部活動で宇宙からのメッセージ受信に挑戦! 東京都立本所工業高校無線部からのレポート ●受信日時 7月25日10:39〜10:46,12:31〜12:46/28日09:36〜09:46
●場所 東京都立本所工業高等学校屋上
●受信強度 2〜3
●使用した無線機 スタンダードC520(FMハンディー)
●アンテナ ホイップアンテナ
●部員の感想
- ハンディーによる受信を試みました。受信できるか半信半疑でしたが,とても楽しく作業ができました。
- 微弱信号でありながら,はっきりと聞き取れたときは嬉しかった。
- なぜ鳥の鳴き声なのだろうか?
- 初めて聞き取れたのでうれしかった。1000km上空からの送信内容に魅力があった。
- 受信回数3回試みて,最大仰角に達したときが好感度でした。
- 衛星受信する位置が徐々に変わるのを実感して楽しかった。
- 夏休み期間はたいへんうれしい。今後もよろしくお願いします。
【管制局から】離れた地域の学校と協力して,「衛星の軌道評定」をしてみるというのも,面白い研究テーマとなります。
また、アナログモードの時に送られてくる電信のテレメトリーデータを解読して、衛星の温度や発生電力の変化などをみるのもおもしろいですよ。日食と衛星の太陽電池発生電力の関係や,太陽と地球の距離変化と衛星の温度の関係など天文と衛星の関わりなども面白い研究テーマです。
3回目のトライで受信に成功!! 7M4JUO小林 修さんからのレポート ●受信日時 7月25日23:42〜23:45
●場所 神奈川県秦野市の常置場所で室内受信
●受信強度 41(ノイズの中にかすかに聞こえました)
●使用した無線機 ヤエスFT-50N(FMハンディー)
●アンテナ ダイヤモンドSHR36(36cmハンディホイップ)
●感想
JARLでデジトーカの情報を入手(アマチュア無線FAXサービスも利用),3回トライして初めて受信に成功しました。
はじめどの程度の入感になるかわからず,とりあえずスケルチを浅めに設定して2回挑戦しましたが失敗。3回目,スケルチをはずして再度挑戦し,やっと受信にこぎつけました。
苦労した分,受信できたときの感動は,たとえようもないほどでした。
聞こえはじめはかすかな信号音でしたが,すぐに何とか内容が分かる程度に上がってきました。ここから衛星の動きの速さも体験できました。
また聞こえなくなりはじめたとき,無線機の位置を変えるとメッセージがまた聞こえてきました。
「次回は,自作アンテナで再度挑戦したい!」と,今意欲をかきたてているところです。
【管制局から】簡単に製作できて,「ふじ3号」のデジトーカ受信にも最適なアンテナの製作方法が,アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)のホームページで紹介されています。
また、JARL NEWS 1997年1月号で紹介しました,「ターンスタイルアンテナ」(「ふじ3号」受信資料セットにもコピーを同梱)を製作して受信してみませんか。
手作りアンテナで快適にデジトーカを受信することができますよ。