アマチュア無線でよく使われる運用モード

電波にはさまざまな種類があります


 ひとことで“電波”と言っても、その種類は実にさまざまです。周波数による飛びの性質の違いもありますが、変調の方式(モード)によってまったく違う種類の電波になってしまいます。



アマチュア無線でよく使用されている各モードの概略は次のとおりです。

●FM(Frequency Modulation=周波数変調)
 無線にあまり詳しくないみなさんが、「FM」と聞くと「ああ、FM放送のことね!」と思うでしょう。確かにそれも間違いではないのですが、FMとは放送の種類を表わすものではなく、電波の型式を表わす記号なのです。
 FMは周波数変調のことで、送信したい音声によって基準となる周波数の電波(搬送波)の周波数を変化させ(変調)信号を伝送するものです。
 FM方式の特徴は、品位の高い音声が送れること、比較的ノイズ強い点ですが半面、広い占有帯域幅(アマチュア無線の場合一般に20kHz幅)を必要とする弱点があります。
 また、FM方式の電波は混信すると、弱い信号がつぶされてしまう特徴があります。
 144/430/1200MHz帯のハンディートランシーバーやモービルトランシーバーの多くは、このFM方式で電波を送受信するようになっています。

●AM(Amplitude Modulation=振幅変調)
 FMと同様に無線にあまり詳しくないみなさんが、「AM」と聞くと「ああ、AM放送のことね!」と思うでしょう。確かにこれも間違いではないのですが、AMとはFMと同様放送の種類を表わすものではなく、電波の型式を表わす記号なのです。
 AMは振幅変調のことで、送信したい音声によって基準となる周波数の電波(搬送波)の振幅を変化させ(変調)信号を伝送するものです。
 AM方式の特徴は、FMにくらべて狭い周波数帯域幅(6kHz)で音声が送れることですが半面、音質が若干落ちる点、ノイズに弱い点などの弱点があります。
 また、AM方式が電波は混信しても、双方の信号が聞き取れる場合があります。
 アマチュア無線の世界でこのAM方式が使われるケースは少なくなりましたが、50MHz帯の愛好者の間で生き残っています。

●SSB(Single Side Band=振幅変調単側波帯抑圧搬送波)
 SSBの電波は基本的には先に紹介したAMと同様に振幅変調によって作られる電波ですが、SSBでは搬送波のエネルギーと変調波のエネルギーの半分をカットして信号を送ります。
 SSB方式の特徴としては、無信号時に不要なエネルギー送信しない点や占有帯域幅が狭い点(3kHz)などが上げられますが半面、音質がよくない、チューニングが難しいなどの弱点もあります。
 なお、SSBには変調波のエネルギーのカットの仕方によって、USB(UpperSide Band=搬送波と搬送波より低い周波数の成分をカット)とLSB(LowerSide Band=搬送波と搬送波より高い周波数をカット)があり、アマチュア無線の交信の際には7MHz帯以下のバンドではLSB、14MHz帯以上のバンドではUSBを使用することになっています(10MHz帯はSSBによる運用はできません)。

●電信 (CW=Continuous Wave)
 CW(電信)は電気通信の世界で最も伝統的な通信モードです。
 搬送波の断続で信号を送信するもので、アマチュア無線はCWによる通信を覚えることによって,いっそう楽しく味わい深いものになります。
 CWは古い通信技術ではありますが、もっとも新しい技術であるコンピューターも同じ原理で成り立っています。電信は「長点」と「短点」を約束にしたがって組み合わせてあり、無線電信でいう電波の「ある」「なし」にかえて送ったり受けたりするからです(モールス符号が一般的)これはコンピューターの基本的な原理である、電流が流れて「いる」「いない」の「0」と「1」に置き換えているのと同じなのです。
 電波の「ある」「なし」さえ聞き分けられれば通信ができるということは、雑音の中から音声を聞き取るよりははるかにやさしいはずです。無線電信は雑音よりも4デシベルくらい信号が弱くても了解でき、無線電話はこの逆に雑音よりも7〜10デシベル信号が強くないと内容が了解できないといわれていますが、SSBと比較するとS/N比がよく、アマチュアにとってCWは有効な通信手段の一つです。占有する周波数幅も狭く、しかも同じ電力なら電話と比べてはるかに遠くの局と交信できるのです。アマチュア無線家のなかにはたいへん熱心なCW愛好家がたくさんいます。(参考:JARL発行アマチュア局運用ノート)


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