JARL90年 |
モールス符号をユネスコの無形文化遺産へ
JARL創立90周年を迎えるにあたり、JARLがモールス符号のユネスコ無形文化遺産登録を目標に掲げることは、通信の原点であるモールス信号とアマチュア無線への関心と意識の高揚に大きな意義を持ちます。この活動をとおしてアマチュア無線のファンを増やしていくため、つぎの行動を推進します。
ユネスコ(UNESCO;国際連合 教育科学文化機関)の文化遺産は、「有形文化遺産」と「無形文化遺産」に分類されます。1972年に採択された世界遺産条約により、「有形」の文化・自然遺産が保護されましたが、伝統的音楽、舞踊、演劇、祭礼のような、「生きた文化」については、ようやく2006年に至って無形文化遺産条約が発効しました(日本は2004年6月に締結)。
無形文化遺産で保護する内容は、「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」として、現在まで90件が宣言され、その中には日本の能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎の3件も含まれています。
モールス符号は、米国のサミュエル・モールスが1837年に発明し、現在まで170 年以上利用され、通信業務の活用のほか、音響や発光信号などでも会話や通信がおこなえるものであり、万一の災害時においても有用な手段です。しかし、日本のモールス電信の取扱いは1996年に海上保安庁が「モールス符号を使った業務」を停止しており、現在使用しているのはアマチュア無線と業務局関係のごく一部です。
DARC(ドイツの連盟) は2014年、ユネスコ委員会にモールス符号の無形文化遺産登録を申請しました。ユネスコは、1国から1年につき1件しか推薦を受け付けないため、ドイツの国内選考には残れませんでした。またユネスコが、「複数国からの無形文化遺産リストへの推薦は優先して取扱う」としているため、 DARCとIARU第1地域会長から2012年12月にIARU本部、IARU第2地域、第3地域のメンバーの連盟への協力要請がありました。
JARLはこの協力要請を踏まえ、モールス符号がユネスコ無形文化遺産の日本の暫定リストへ早期に盛り込まれるよう活動を推進いたします。
なお、日本国内において、世界遺産への登録の申請ができる対象者は、無形文化遺産保存憲章を批准している「日本ユネスコ国内委員会」だけが申請をおこなえる機関ですので、類似の申請内容等を入手するなど、情報収集をおこなってまいります。
当面はつぎの活動をおこないます。
- 現在実施しているJARLおよび各地方本部と支部、クラブ、関連団体等のモールス通信に関する各種活動を継続・拡大して推進していきます。
- JARL、IARU第3地域事務局、IARU本部との連携を密接に保ち、日本ユネスコ国内委員会事務局などへの折衝を開始します。
- モールス通信に関連する各種行事の実施にあたり、「モールス世界遺産/モールス符号の無形文化遺産登録を推進しよう!」、あるいは、「モールス符号を無形文化遺産へ!」等のテーマやキャッチフレーズを定め,キャンペーンとしての組織的な意思統一とPR活動の推進を図ります。
(1)ユネスコの世界遺産について
http://whc.unesco.org
【文化遺産】文部科学省 文化庁文化財部記念物課
【自然遺産】環境省 自然環境局自然環境計画課
(2)日本のユネスコ活動について
日本ユネスコ国内委員会事務局(文部科学省内)
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
http://www.mext.go.jp/unesco/
(3)広報文化外交・文化遺産(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/index.html