2波種目について |
マルチオペの「2波種目」は,「小規模なクラブ局でも楽しめる種目を」という要望によってできた種目です.2波種目では次のような楽しみ方ができます.
このように,リグやアンテナ,オペレーターの数が少なくても,十分に参加できるのが2波種目です.
2波種目のルールは次のとおり.
2波は,いかなる場合も同時に送信できるのは2波(異なる2バンド)以下とし,2波それぞれに「10分間ルール」を適用する.「10分間ルール」とは,バンドを変更したときは受信時間を含めて少なくとも10分間そのバンドにとどまらなければならない,というルール.
10分間ルール
2波種目における10分間ルールについて詳しく解説します.
10分間ルールは,2波の制限を守って頂くための大切なルールです.
<ポイントその1> トランシーバの使用台数は無制限.ただし,同時に送信できるのは2波以下.
使用するトランシーバの台数に関する制限は一切ありません.ただ同時に送信できる「電波の数」は,最高2波までと決まっています.送信に使用している2台のトランシーバに関しては,10分間ルールの適用により,「バンドを変更」してから10分間は他のバンドへの変更は行えませんが,それ以外のトランシーバでの受信に関しては制限は全くありません.
<ポイントその2> 「バンドを変更した」とみなすのは,バンドを切替えて初めてのQSOを行った時.
「バンドを変更した」ことになるのは,「バンドを切替えて最初にQSOを行った」時点です.例えば,12時15分にバンドスイッチを7MHzから14MHzに切替えたとします.しかしそれから14MHzで交信相手を探しているうちに5分経過してしまい,14MHzでの最初のQSOが12時20分になってしまいました.この場合「バンドを変更した」時間は12時15分ではなく,12時20分ということになります.従ってそれから10分間,すなわち12時30分になるまでは,他のバンドでQSOをしてはいけません(図1).他のバンドの受信だけならOKです.
図1 「バンドの変更」の定義
この例で,12時15分にバンドスイッチを14MHzに切替えた後,交信する相手が全く見付からずQSOに至らない場合もあるでしょう.この場合は,QSOを行っていないので,「バンドを変更した」ことにはなりません.つまり14MHz以外の別のバンドにすぐに切替え,そこでQSOを行っても何ら問題はありません(図2).QSOを行って初めて「バンドを変更した」とみなされるからです.
図2 バンドを切替えてもQSOに至らない場合は「バンドを変更した」ことにはならない.
<ポイントその3> 10分間の経過は,次にバンドを変更した時の初めての交信で確認.
コンテスト審査の段階で,10分間ルールが正しく守られているかを見る場合,「バンドを変更」した時間(ポイントその1で説明した通り,バンドを切替えて最初にQSOを行なった時間)と,その次に「バンドを変更」した時間を見て,10分以上経過しているかで判断します.つまり,あるバンドでの最初のQSOと最後のQSOの差が10分以上経過している必要はありません.
... 7MHz 12:10 JA1ABC 14MHz 12:20 JA1RL <--14MHzに「バンドを変更した」時間. 14MHz 12:21 JA2RL 21MHz 12:30 JA3ABC ... 図3 10分間ルールを守っている例
上の図3では,12:20が14MHzにバンドを変更した時間とみなされます.従って,12:30までは14MHz以外ではQSOしてはいけません.しかし10分経過した事を示すためにわざわざ12:30分以降に14MHzでQSOした実績を作り,それにより14MHzに10分以上いた事を示す必要はありません.この図の例では12:20から12:21までしか14MHzにいたということにはなりません.12:20から12:29まで14MHzにいたと判断され,10分間ルールを守っていることになります.
一方,次の図4の場合は明らかに10分間ルール違反とみなされます.
... 7MHz 12:10 JA1ABC 14MHz 12:20 JA1RL <--14MHzにバンドを変更した時間. 14MHz 12:21 JA2RL 21MHz 12:29 JA3ABC <--10分経過する前にバンドを変更したことが明らか ... 図4 10分間ルール違反の例
<ポイントその4> 10分間ルールは2波それぞれに適用される.
送信波系列1と送信波系列2は同時に同じ周波数帯を 使用しないことを除いて,10分間ルールを守りながら,任意にバンドの変更ができます.タイムチャートの例を書くと図5の通りです.
ログは送信波系列1と2について別々に作成するか,または当該QSOが 送信波系列1か2かを明記しなければなりません.
デュープチェックは送信波系列1と2での両方のQSOを合わせたものについて行ないます.
各送信波系列は必ずしも1台の送信機である必要はありません. つまり図5に示している通り,物理的な送信機(TX1,TX2,TX3)を送信波系列が渡ることもOKです.この例では,TX2は初めから(a)時点までの間は送信波系列2
として使われていますが,(b)時点から最後までの間は送信波系列1として使われています.
図5 送信波系列の推移
Q&Aコーナー
Q.送信波系列1と2の区別をしませんでした.どうなりますか?
A.通常のマルチオペ種目への参加として扱われます.
Q.10分間ルールに違反してしまいました.
A.違反した場合でも得点を0として申告すれば問題ありません. なお間違ったからといってログから削除はしないでください.交信が確認できなくなり相手局に迷惑がかかることになります.
Q.2波というのはトランシーバーを2台しか使えないということですか?
A.いいえ違います。同時に送信できる電波が2波までということです。トランシーバーは何台使っても構いません。
Q.2波というのは2バンドを選んで参加する種目ですね?
A.いいえ違います。バンド数に制限はありません。同時に送信できる電波の数に制限があるということです。
Q.ログの書き方がわからないのですが。
A.交信ごとに送信波系列が分かるように記入してください。
または2系列の送信波ごとに時間順に並べて記入してください。
マルチオペレータ種目ですので、全オペレーターのコールサイン(コールサインがない場合は氏名)をサマリーシートの意見欄(同欄に全部記入できない場合は、サマリーシートの裏面または別紙に記入、JARL電子ログ形式では〈MULTIOPLIST〉)に記入してください。
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