2002 ALL JAコンテスト 入賞者はかく戦った今回,シングルオペオールバンド部門で入賞した6 名の方に寄稿をいただきました。開局間もない初心者から,連覇を続けているベテランまで,様々な方がいますが,誰にでも上位入賞,優勝のチャンスはあるのです。入賞者のコメントを読んで,次回のブラッシュアップにつなげてみてください。
7N4JZK 仮眠をとって体力温存
電話部門シングルオペオールバンド優勝 7N4JZK 趙達来
プロフィール高校のクラブ局(JA7YCT)で運用した経験がありますが,個人での開局は2000年7月。コンテストに真面目に参加したのは翌年の6m AND DOWNからですが,それからは欠かさず参加して楽しんでいます。なぜ、この部門を選んだのか一応免許上は電信も出来る事になっているのですが,どうにも電信は苦手なのでとりあえずまずは電話で入賞を目指して行こうと昨年はもっぱらニューカマーでエントリーしていました。今年は自分でニューカマーのコンテストドナーになった関係上エントリーを回避し,オールバンドに参加しました。使用機材
改善・強化ポイントアンテナは昨年までは3.5MHzは逆V(10mh),7MHzは2エレHB9CV(22mh),50MHzは10エレHB9CV(32mh)の構成でした。しかし3.5/7MHzはDPの方が国内向けに良かったのと,50MHzの10エレはDX用であまりにビームが狭すぎるので,3.5と7MHzは15mのコン柱を二本建ててフルサイズのDP(ダブルバズーカ)を架設,50MHzはGP(15mh)を加える事にして見ました。獲得目標電話部門は今年のオールJAから新設されたため,比較できる過去のデータがありません。そこで比較的近似すると思われた2001年オールJAマルチバンドQRP部門優勝局,JI7GBI/2局の541QSO × 74マルチ,40,034点のスコアを目標とし,各バンドの目標QSO・マルチ数を設定しました。当日の行動コンテスト数日前から睡眠時間をたっぷりとってアルコールは控えます。前日までにアンテナの調整などは済ませておくようにしますが,3.5MHzの調整が上手く行かず当日も揚げ降ろしをしなければなりませんでした。自分の場合,土曜は仕事ですが大体午後には終わります。そこから近所のスーパーで食料の買出しを行います。コンテスト中の食事はカップ麺とパン,それにのど飴が私のパターンです。スタートから終了までコンテストが始まる前に一通り各バンドで電波を出し,大体60-30分くらい前からスタートする周波数を確保しておきます。10Wの場合,スタートは50MHzが無難です。最近の傾向として50MHzは局数が減っただけでなく,皆さん引き上げるのも早いので,ひたすら早いうちに局数を確保しておかなければなりません。50MHzで局数が伸びなくなったら固執しないでHFに移りましょう。特に3.5/7MHzはバンド内にたくさんの局がおりますので,片っ端から呼びまくります。ただしこちらは10WですからFBに聞こえていても相手が取ってくれるとは限りません。大体3回呼んでも全く反応がない場合は相手に聞こえてませんから次の局に移って,しばらくしてからまた呼んでみます。 7MHzはQRMが少なくなり,各局が引き上げた真夜中・早朝の時間帯を狙うとよいかもしれません。マルチを稼ぐのに絶好のバンドです。 21/28MHzは,夜間帯に聞こえてくる局はあまりありませんが,ほとんどがニューマルチになりますので,丁寧に拾い上げました。 3.5から50MHzまでを丹念に動き回って大体夜中の2,3時頃になるともうQSO済みの局しか残っていませんので,一旦QRTしました。なにしろ24時間の長丁場ですから徹夜では必ず日中に睡魔に襲われます。 7時まで仮眠をして,7MHzから21/28/50と上がっていきました。あとはバンドの開け方やこみ具合でバンドチェンジを繰り返しますが,今回は二日目に思ったより7MHzで局数が稼げたのが良かったと思います。 昼食時間帯と夕方にまた7MHzを狙ったのですが案の定比較的空いており,潰されないで拾ってもらえました。HFのハイバンドは意外と近場の局が取れないものです。21/28MHzはあらかじめローカル局にお願いしておきましょう。 アドバイスマラソンと同じでコンテストも途中で疲れてくるともう止めた!という衝動に駆られますが,そこを我慢してやり遂げると実に爽快です。とはいえ,いきなり完走は無理ですからまず局数を決めて参加されることをお勧めします。 DXと比べてコンテストの一番良い所はOMさん も新人もその時点で同じ土俵で勝負できる事です。DXは長年やってらっしゃるOMさんには到底追いつけませんが,コンテストは一回一回が勝負ですから,若い方に是非お勧めしたいです。 まずはいつもお使いのリグとアンテナで気軽に参加されてみてください。そしてQSLカードはコンテストであっても出してみましょう。 フルタイム参加をしてみよう
電信部門シングルオペオールバンドH優勝
JG1ILF 松本潔
プロフィール1974年開局,6m,HFにQRV。2mより上はほとんど出たことがありません。1984年 からQRT,1999年から再びオンエアするようになりました。自宅は千葉市,シャッ クのある君津市まで週末出かけています。コンテストは,1982年に一年間,精力 的に出ました。1999年から再び,時間を見つけて参加するようにしています。コ ンテスト歴で言えば5年目の初心者です。 使用設備
なぜこの部門を選んだのか参加したのはCAH部門です。最近,電話で叫ぶ気力がなくなってきたので,電信 部門にしました。シングルバンドだと局数が途中で頭打ちになり飽きてしまいま すので,マルチバンド。バンドチェンジの面白さも楽しめます。 獲得目標オールJAに個人でフル参加するのは3回目ですが,1回目の参加は1982年なので参 考になりません。前回2000年に参加したときのスコアを参考に1,350局260マル チの目標を立てました。バンド別運用プランをおおざっぱに立てましたが,あと はコンディション任せにしました。 改善・強化ポイント7MHzのアンテナを2エレから3エレに変えました。国内コンテストにはマイナス要 因なので,呼ばれ方を見ながら場合によっては他のバンドに逃げることにしまし た。 50MHzのリグにFT920を使っているのですが,CWの受信特性がひどく,コンテス トにはつらいものがありました。今回,受信用にIC756PROを導入しました。フィ ルタ特性の変更,ボコボコ音対策をしてあるので,快適でした。 スタートから終了まで21時のスタートは7MHz。いきなり周波数確保に失敗,うろうろするうちに時間が どんどん過ぎていく。1局目のQSOは3分後であった。はじめの1時間は良くも無し 悪くも無しといった感じ,しかし100局は行かない。22時過ぎに周波数を乗っ 取られ,さまよいはじめる。3エレなので国内に落ちない? しばしのんびりとCQ出して休息。でもこのおかげで局数は悲惨なものである。 0時を境に3.5MHzにおりる。ちょうどみんなが呼びにまわる頃らしく,時間81局と, この時間にしては局数がのびた。明るくなるまでローバンドと50MHzを行ったり来 たり。40局のペースを維持できたのは驚きである。朝5時を回ってGWねらいで 50MHzに上がる。CQを出すと西方面か ら次々呼ばれ,マルチが次々に獲得できる。44まで呼んできたのは驚いた。結局朝6 時の時点で前回に比べ局数120%,50MHzのマルチも前回終了時を上回る。これは高 得点が期待できる... と思ったが,日が昇ってからが悲惨であった。頼みの14MHzがぜんぜん呼ばれな い。コンディションもふわふわしていて,前回のようなガツンという信号が来 ない。7時台は目標の半分くらいである。9時台まで粘ったがコンディションは 上がりきらず,21MHzへ。こちらもいまいち開けきらない。弱い信号を拾い つつ,昼まで粘る。この間に,朝までに稼いだアドバンテージがどんどん失われ ていく。 午後はスキャッタとの戦いである。地方のビッグガンの信号を頼りに伝搬方向 を探る。一度パスを見つけても,しばらくすると方向が変わるから困ったものだ。 13時過ぎに初めて28MHzに上がる。こちらもビームを回しつつマルチを取る。 でも聞こえているのはビッグガンだけ。局数がなかなか延びない。14時台は行 くバンドを失って,時間40局を切ってしまった。16時を過ぎるとハイバンドの コンディションが上がってくる。マルチの少ない28MHzでがんばるが,東南アジア のピヨピヨがうるさくて効率が上がらない。あまりにも疲れたので7MHzに降 りてしばし休息。 19時近くになって,28MHzのマルチがぜんぜん少ないことに気づく。50MHzより少ない。 必死に28MHzでCQを出す。ちょうどコンディションもピークとなる時間だか,ピヨ ピヨもものすごく強くなる。こんな時,キーイングのスピードが遅い局は全くと れない。東京近辺の,Sが9つ振ってくる局でもだめである。高速電信でピヨピ ヨの合間に2〜3文字とれる局のみ,パーシャルチェックの助けを借りてQSOでき る。ここで稼いで28MHzのマルチもまあまあとなった。後で聞いたらこの時間, 50MHzも南南東スキャッタが開けていたそうである。 19時台は,どこに行っても呼ば れない。前回は14MHzでかなり呼ばれたが,今年は全然ダメである。あやうく時間 20局台に落ちるところだった。フィニッシュはどこにしようかと迷ったが,3.5MHz に踏ん張ることにした。結果は正解で,55局と終了間際にしては局数が延びた。 反省点結果は1,282局,244マルチと局数,マルチとも目標を下回ってしまいました。 夜が明けるまでは調子が良かったのですが,日が昇ってからハイバンドのコンディ ションがあがらなかったのが誤算でした。 バンドごとでは,ローバンドは局数,マルチとも少なすぎです。国内コンテスト に向けたアンテナのチューンアップが必要です。14MHzはまあまあ,21MHzと28MHzは マルチが少なすぎます。ほとんど呼びに回らなかったためで,丁寧に探せばあと 5ずつは増えそうな気がします。50MHzも夕方のスキャッタを逃さなければ,もう 少しマルチが増えたと思います。コンテスト数日前から,バンドコンディション をチェックしておく必要がありそうです。 アドバイスシングルバンド,マルチバンドに関わらず,フルタイム参加してみることをお勧 めします。時間ごとのコンディション変化がよくわかり,楽しめると思います。 28MHzに出られる方へのお願いなのですが,電信は30wpm以上でお願いします。関東 地方(とは限りませんが)からは東南ビームでスキャッタを狙うことが多いのです が,東南アジアからのQRMをもろに被ります。遅い電信だとつぶされて受信でき れません。QRMの合間に2〜3文字ピックアップできる高速の電信の方が,格段に 了解度が上がります。 具体的な目標を立てて参加
電信部門シングルオペオールバンドM優勝
JK1XDB大久保 祐志
プロフィール1978年高校の無線部で参加したALL JAコンテストが1st QSOで,それ以来国内 コンテスト中心に無線を続けて来ました。移動運用中心でコンテストに参加し ていましたが,数年前からは固定からも参加できるようになりました。 使用機材
なぜこの部門を選んだのかマルチバンド参加を前提に考え,固定からのMパワーではSSBで局数・マルチを 稼ぐのが難しいと判断してCAM部門にしました。昨年はCMM部門で3位(955×213 =203,415)だったので,今年は1位を取りたいと思いこのCAM部門にしました。 獲得目標昨年CMM1位(JK1JHU/1)が1,025×230=235,750だったので,それを少し上回る 24万点(1,050×229=240,450)を目標にしました。目標達成のためには局数・マ ルチの両方を増やす必要があり,(1)局数はローバンド中心で増やす(2)マルチは ハイバンド中心で増やす,と言う方針にしました。 改善・強化ポイント昨年は3.5/7MHzを1本の同軸ケーブルで同時給電していたので,両バンドを同 時ワッチすることができませんでした。そこで今年は7MHz用ロータリーダイポ ールを新設し,別の同軸ケーブル給電することにしました。その結果昨年ロー バンドはRIG 1台(TS850)だったのですが,今年は3.5MHz(TS940)/7,21MHz (TS850)と2台に増やすことができました。これで例えば3.5MHzを運用中に 7MHzをワッチすることも可能になり,3.5/7MHz中心になる夜間効率アップを狙い ました。 ハイバンドはトライバンド八木(14〜28MHz)1本のみなので21MHz送信中は14/ 28MHzはワッチできず,昨年は短時間のopenを見逃してしまいました。今年は7 /21MHzロータリーダイポールの新設で,21MHzが2系統になりました。 21MHz送信中に28MHzをワッチすることも可能になり,コンディションの変化に対 応したQSYが可能になると考えました。 事前準備上記7MHzロータリーダイポールは10mの釣竿を2本使った全長20mのフルサイズ のものを製作しました。強度的にはやや心配なので,コンテストの時だけタワ ーの上部(地上高23m)に仮設して終了後に撤去しました。 コンテスト当日昼間はいつもの日曜日と同じく家庭サービス(子守り)を中心に過ごしました。 移動運用のときは移動,設営準備と忙しかったですが,固定はそれが無いので体 力的にも楽です。 スタートから終了まで直前:子供を風呂に入れたり最後の家庭サービスをしていたらすっかり遅くなっ てしまった。シャックに入ったのが20:55,CQを出す周波数など空いて いないだろうと思いながらローエッジを避けて探すと7.019MHzでそれなり に空いているところを発見。50MHzをワッチするが局数はまばらにしか聞 こえないので,7MHzで行くことに決定する。 21時:時報とともにサイドのかぶりもひどくなるが,負けずにCQを出す。 21:02 JH0RNNが1局目,その後も呼ばれ方は悪く,最初の5分で3局という スロースタートとなった。もう少しするとみんな高い周波数まで上がっ てくると考えて我慢のCQを出す。 22時:最初の1時間で64局,私にとっては上出来である。少しずつペースも上 がっているので,ペースが落ちるまでこのまま7MHzに居座ることにする。 ただみんなが寝てしまう前にVHFも出たいので,22:50に50MHzにQSY。 23時:50MHzは1分1局を下回るペースであったので,すぐに3.5MHzにQSYして盛り 返すことができた。23時台は67局。 00時:強気に3.5MHzでCQを出すがさすがにペースが落ちてくる。暇な時間に裏 で50MHzをワッチして未交信局を拾うことにした。自分のCQと相手のCQ のタイミングが合わないのでなかなか呼ぶことができずにイライラするが, 50MHzは1時間に11QSOと少しだが3.5MHzの落ち込み分を補うことができた。 01時:3.5,7,50MHzを交互にQSYして出ている局を呼び回る。夜中でも盛んに出 ているのは常連局ばかりである。そのまま4時台までこの3バンドで耐え る。 04時:50MHzでJH4UTPが安定して入感しているのでコンディションは良さそうだ が,他の局が聞こえない。みんな寝てしまったのか?! 05時:まだ早いかもしれないが,他に行き場が無いので14MHzにQSY。1エリア 内のクラブ局が中心であるが,Scで弱いながらも他エリアが取れた。 06時:14MHzもだんだん賑やかになってきたが,強いのは6,8エリアでそれ以外は Sc気味で弱い。 07時:21MHzにQSY。まだ本格的にopenしていないが,GWを中心にそこそこ聞こ える。4elトライバンダと7MHz用ダイポールを聞き比べたが,あまり違 いが感じられない。試しにダイポールでCQを出したところGWでは呼ばれ るが,Scは無理なようだ。 09時:忘れないうちに28MHzにもQSY。さすがに局数が少ないので呼びに回って もすぐ終わってしまう。その後しばらくは各バンドを渡り歩く。 11時:50MHzは西ビーム中心でCQを出したところ,今回最も遠い32から呼ばれた。 13時:7MHzを捨てて14MHzを軸にハイバンド中心に未交信局を拾い歩く。午後 から夕方にかけてハイバンドのマルチ増を狙うが21,28MHzのマルチがなか なか増えない。CQを出すがビームを南方向に向けるとノイズレベルが高 いことが判明しScを拾うのが苦しくなる。 18時:ハイバンドをあきらめてローバンドに主軸を移す。定石では7→3.5MHz の順にQSYするところだが,弱小局ははじき飛ばされそうなので逆にまず3.5 MHzにQSYした。まだ3.5MHzは空いていてCQを出すことができたが,その 分呼ばれるペースも悪い。呼びに回っても悪いのは同じと思い同じ周波 数で2時間半も粘ってしまった。 20時:3.5MHzに長居をしたので最後の7MHzは20分の短時間になってしまったが, 4時間ぶりなのでハイペースで稼ぐことができた。もう少し早くQSYすれ ばよかった。 今回は大きなトラブルも無く24時間を乗り切ることができました。これが何 よりの成果であると思っています。 反省点目標 1,050×229=240,450に対して結果は1,079×219=236,301で,約2%の未達でし た。マルチが目標-10でしたが今年はハイバンドのコンディションが良くなか ったと聞いていますので,私にしては上出来だったと思っています。ローバンド(3.5/7MHz)の局数は昨年より82局増だったので改善の効果はあった ようです。ローバンドは局数が増えたためにマルチも昨年より+3でした。ま たCQを出している時間に他のバンドをワッチして未QSO局を探したことも局数ア ップには貢献していると思います。 ハイバンド(14/21/28MHz)のマルチは昨年より+2で期待ほど伸びませんでし た。ハイバンドの大きなopenが無かったので,ワッチしていてもなかなかnew マルチを見つけることができませんでした。 アドバイス私の場合できるだけ具体的な目標を立てるようにしています。「**部門で 1位になる!」ではなく,1位になるために必要な局数とマルチを見積もって,そ れを実現するために何をすればいいのかを考えるようにしています。今回は局 数・マルチとも不足していたので上記改善を実施し具体的な成果が得られました。 このように現状より改善する施策を考えて実行し,コンテストに参加して確認 していく。そして次回までに何をしたらいいかを考えて行きます。こう書く と堅苦しい作業のように見えますが,一つ一つの施策の効果が確認できその結果 がコンテスト上位入賞に結び付くのですから,やっている本人はとても楽しいと 感じています。最後にものをいうのは体力,気力
電信部門シングルオペオールバンドP優勝 JA3MVI/1 山本勝美
プロフィール1967年,兵庫県でJA3MVIを開局。コンテストには開局前のSWL時代から関心を持っていて,従事者免 許の取得とともに学校クラブ局のメンバーとして参加するようになりました。 徐々に熱が高じて,70年にはローカルとともにコンテスト・クラブ(QRVクラブ,JA3ZFN)を設立 して,移動運用を行うようになりました。 その後,結婚,仕事が多忙,等のお決まりの理由でほぼQRTという状態が続い ていましたが,97年に東京都八王子市の自宅で運用を再開しました。 使用機材
獲得目標コンテストに参加する目的は,各個人でいろいろあると思いますが,再開後の 当局の場合には第1に体力・気力総合での持久力テストとして自分の能力を確認 することにあり,その結果として入賞できれば大いに喜ばしいということです。 また,仕事や家族への影響が許容範囲内であることも,参加する条件のひとつ と考えています。これらから,24時間のフル運用は無理,基本的に自宅からの 運用ということになり,運用技術が結果に反映されやすい,また交信局数が少 なくても入賞のチャンスがあるQRP部門,それもQRP CWを選んできました。今年は,規約が大幅に変わり参加部門もかなり再編されましたが,やはり昨年 の参加種目である電信オールバンドL部門に近い,電信オールバンドQRPを選び ました。得点目標としては,昨年のL部門での自己記録78,351点を超えること, そしてあわよくば昨年のCW L部門優勝スコア96,320点に近づくこととしました。 コンテスト前今年は3.5 MHzの得点能力向上を目指して,ロングワイアーを張りました。 といっても,敷地が広くもない自宅ですのでルーフタワーにグラスファイバー の釣り竿を2本縛り付け,屋根の1端から釣り竿の先端へ,そして釣り竿に沿わ せてもう1本の釣り竿の先端から屋根の別の端へと引き回しました。さらに,カ ウンターポイズとして約20mのビニール線を屋根の上に這わせ,これらをマニュ アルのアンテナチューナに接続して整合をとることにしました。チューナは,そのまま雨よけのビニール袋に封入して屋根の上に置き,そこか らシャックまで同軸をひいてSWRを再確認して準備完了としました。 コンテスト当日21時になり,予定通り50MHzから運用を開始し,一通り呼んで回った後,しばら くランニング,呼ばれなくなるとまた一通りバンドをスイープという繰り返し。 これも予定通り,22時から7 MHzにQSY,さらに23時からは3.5 MHzにQSYして, ここまでは順調。ここまで3時間で100局あまりの交信数は,QRPとしては満足で きるところ。日付が変わって,今度は50MHzから順次バンドを下げて局数を積み 重ね,次の3時間でも100局をキープして,仮眠に入る。 約2時間の仮眠の後, 3.5 MHzから運用を再開し,夜明けまではローバンドでがんばる。その後,50 MHz からまたもや順にバンドを下がってきて,7時半頃から開けていた14 MHzでしば らくがんばる。それで,仮眠明けの3時間も何とか100局ペースを維持できた。 ここからは,さすがにペースを維持できず,11時までの3時間は約90局,14時まで の3時間は約85局とジリ貧になってきた。それでも16時前には交信局数が500局 を超えたものの,16時台は20局と低迷。ハイバンドに見切りをつけ,再び3.5 MHzに下りるが,こちらも続かない。結局,1時間20局ペースがやっとの状態で, 我慢,我慢。17時半に一応の目標である,昨年の交信局数を達成。後は,どこ まで積み上げられるか,最後の粘りどころ。しかし,結局20時過ぎに,得点が 9万点を超えたところで,もうこれまでとした。 反省点得点的には初期目標を達成し,上位目標にもある程度接近できたので,満足 といえる。特に3.5 MHzのアンテナを一応の長さのあるロングワイアーにしたのは有効で,昨年 と比べてハイバンドが悪かったのだが,3.5 MHzでその分をカバーして余りあっ た。今後に向けて,できれば3.5 MHzのきちんとしたダイポールを上げたいところだ が,ワイアーで張るには敷地が不足しているし,本格的なロータリーダイポー ルを上げるにはタワーの上がこみ合ってきてるし,どうしたものか。まだ,妙 案はない。 少しばかりのノウハウノウハウというほどではないが,いくつか気がつくことを並べてみる。●自局のコールサインのアナウンスが少ない局があるが,やはり数局交信す る毎にはアナウンスした方が,全体としては効率がいいのではないだろう か。 ●QRP運用で余計に感じるのだが,信号が強いのに耳が伴っていない局は ただQRMをばら撒いているに等しい。オペレータの問題なのか設備の問 題なのか,考えて改善してもらいたい。 ●電信のコンテストでは,ほとんどの参加局がナローバンド・フィルターを 使っており,200 Hzも離れて呼ばれると気がつかない。呼ぶ側はゼロ インに,呼ばれる側はRITの戻し忘れに注意したい。 ●マルチ拾いのテクニックとして,ニューマルチの局が呼びに回っていると きには,周波数を上がっていっているのか,下がっていっているのかを見 極めて,先回りしてCQを出す。必中というわけではないが,5割以上の確 立では取れる。 ●最後にものを言うのは体力・気力なので,その調整も設備の調整に劣ら ず重要。また,コンテスト中も適宜飲み物,食べ物をとれるように準備し ておきたい。 辛抱強く,最後まで粘ろう
電信電話部門シングルオペオールバンドH優勝
JH4UYB 岡野正樹
プロフィール1977年開局以来,国内・DXコンテストを楽しむ。優勝300回以上。 ALL JAコンテストは最も好きなコンテストで1997年から6連覇中。
使用機材
なぜこの部門を選んだのかたくさんの局とQSOできるオールバンド部門こそが,コンテストの醍醐味を満喫できる と思い,ここ数年は必ずこの部門に参加している。 改善・強化ポイント2つのバンドを同時にワッチできるようにリグ,アンテナを2系統用意。事前準備zLogWinの最新版で入力練習。リグ,アンテナの切り替えを間違えないよう練習。コンテスト当日休日だったのでゆっくり昼寝して,夕方から各バンドのワッチ。スタートから終了まで定石通り50MHzからスタート。例年通りの呼ばれ方ながら東方面(1,2エリア)の信号が 弱い印象だった。28-21-14MHzと順次下のバンドにQSYして主だった局を拾った。 7MHzはスキップも無く良くOpenしていた。AM2時に3.5MHzにQSYしてCQを出す傍ら,50MHzの Newマルチを探した。1エリアは例年より弱いものの,マルチが30に達したので夜明け前に 50MHzは終了とした。 日の出とともに7MHzから14-21MHzと上がって行った。14MHzは不安定な Openで呼ばれ方にムラがあった。21MHzはスキャッターのみで弱い信号相手に苦戦を強いられた。 AM10時台に28MHzCWで弱いながら全国的なOpenがあったので,一通り呼びに回ってCQを出し始めた 途端,リニアAMPが故障した。原因が分からず予備機と接続したりするもうまく行かず,気が動転 してあせってしまった。これでリタイアかと落胆したが,獲得マルチは既に250,局数は1,000QSOを超 得ていることに気付き,屋外の空気を吸いながら後半の作戦を冷静に考えた。 50MHz用の設備をHFに 接続変更して少々のパワー不足はCW中心で出来るところまでやる,と決意して再開した。14MHzCWで CQを出すと1エリアから程よいパイルが沸き起こった。丁度1-2局ずつ呼んでくる感じでとても効率が 良い。この状態が丸々3時間続き,トラブルによるロスタイムを十分挽回出来た。21,28MHzもCW中心 に未交信局を丹念に拾っていると16時には1400QSOに到達した。最後は7MHz勝負と考えてCWとSSBを 交互にひたすらCQを出して局数を稼いだ。夕方に50MHzでスキャッターがOpenしそうだったが, もはやQRVできる状態ではなかった。結果的にもう少しマルチの上乗せが可能なCONDXだったと いうことになるが,私自身のベストから3番目の成績に大いに満足した。 反省点中盤でリニアAMPが故障してリタイアの危機が あったが,別系統の設備でどうにか乗り越えた。コンテストは24時間の耐久レースなので 日頃から機器のメインテナンスが重要と痛感した。2つのバンドの同時受信など さらにテクニックを磨いて来年に臨みたい。アドバイスコンテストの開始前・開始早々は皆さん元気一杯でバンド中にぎやかですが,時間の 経過とともに飽きて(あきらめて)脱落する局が多いように感じます。コンテスト中 はなかなか思い通り局数も伸びませんが,辛抱強く粘って最後までやり遂げると心地よい 達成感が得られます。最後までがんばった局に,入賞というご褒美が与えられるのではないで しょうか。一度入賞してしまえば,もうコンテストの虜になっていることでしょう。部門を選べば入賞・優勝の可能性が
電信電話部門シングルオペオールバンドP優勝
JE1SCJ 吉田卓斗
プロフィール1972年50MHz AMで開局する。しばらくの間6m中心に活動。リグやアンテナの自 作や移動運用を多少したものの,コンテスト経験はあまり多くなかった。 1994年アマチュア無線活動を復活。UECコンテスト 50MHzで優勝したのをきっかけに,コンテスト中心の活動となる。50MHzシング ルバンドのみで参加していたが,きゅうあーるえるクラブ発行のコンテストガ イドブックに刺激を受けて,1998年秋からマルチバンド部門に出始める。1999 年の全市全郡でCML部門優勝したのをきっかけに,全面的にマルチバンドへ移行 した。 現在,国内を中心にコンテストに参加しているが,クラブ対抗得点となるALL ASIAにも参加したり,2.4GHzから10GHzまでのSHFバンドにも力を入れ始めてい る。東京都世田谷区在住 三文字クラブ在籍 入賞経験: ALL JA 6回,6m AND Down 3回,全市全郡 2回他多数 使用機材
なぜこの部門を選んだのか本気で参加するからには,入賞が目標(もちろん,軽く流しているコンテストも あります)。 TVI等インターフェアの心配が無いから。 設定した獲得目標2001年FML部門で自分が獲得した126,480点を上回る事。 改善・強化ポイントCI-Vインターフェースを自作した。リグのバンドスイッチでzLogのバンドが追 従してくれるのが,こんなに楽な事だと,初めて知った。もっと早く作ればよ かった。 事前準備自宅の無線室なので,特にこれと言った準備はしていない。夜食やドリンク剤を少々仕入れる程度。 コンテスト当日の行動子供たちのお守りをしながらも,できるだけ昼寝をした。 スタートから終了までいつものように50MHzからスタート。QRPなので,ロケットスタートとは行かな いが51分で47局と良いペースでバンドチェンジ。28MHzから短い間隔で降りていっ て,7MHzをスキップして23時には3.5MHzに行く。3.5MHzは昨年もう少しできそ うだと言う気持ちが強かったので,早めに行って呼び回りとCQを繰り返す。QRP でも夜が更けてくると,局数が減るせいか潰されずにすむ。朝6時まで7MHzと 50MHzを加えた3バンドで局数とマルチを稼ぐ。この時点で362局104マルチとか なり強気に設定した目標値も大きく上回る。 6時から14MHzにQRVし,そこそこのペースで局数もマルチも積み上げる。ところ が,8時から21MHz,28MHzにQRVし始めたハイバンドが不調である。スキャッター が出ているのが分かるが,QRPなので,弱い局を呼んでも取って貰えない。仕方 ないので,強い局だけしか呼び回れない。CQを出してみても無駄に時間が過ぎ ていくだけ。ハイバンドは局数もマルチもあきらめて,早めにマルチ飽和状態 の7MHzにQRVする。15時過ぎから1.5時間で73局,マルチは増えなかったが,こ の時間帯では大正解。残り4時間3.5MHzでたっぷり局数を稼いだものの,他には 50MHzしか行き場がなく,ラストスパートは不発に終る。50MHzは昼夜を問わず 散発的に運用したが,コンディションの良い時間に当らず,マルチがさっぱり だった。 昼寝したのが効果あったのか,夜中一睡もせずに24時間オペレート出来た。 反省点ハイバンドでのマルチが激減した分をローバンドの局数とマルチで取り戻そう としたが,ハイバンドが悪すぎた。総得点で昨年の得点には至らなかった。 QRPはコンディションに大きく左右されるのは仕方ないが,短くてもオープンし ていたはずで,そのタイミングを逃がさないように,複数リグによる同時ワッ チを行ないたい。 来年もXAPで辛い24時間を過ごして,入賞を目指すのか,入賞を諦めてもう少し のびのびとコンテストを楽しむのか悩み中。 アドバイス目標を持って参加すれば,必ず結果がついてくると思います。 私のように移動せずに,ルーフタワーしかない貧弱な自宅アンテナからの参加 でも,部門を選べば,優勝や入賞の可能性は十分出てきます。自分の得意なバ ンドやモードは何かと分析した上で,過去の成績を十分検討して作戦を練ると 良いと思います。
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