第15回 IARU ARDF
世界選手権大会
2010年9月13日〜18日
クロアチア共和国で開催

 2010(平成22)年9月13日〜18日、クロアチア共和国のアドリア海 に面した風光明媚な都市、オパティアで33カ国の代表選手約400名が参加 して、ARDFのオリンピックと称される国際アマチュア無線連合(IARU) 主催ARDF世界選手権大会が盛大に開催されました(ホスト団体:HRS、 クロアチアアマチュア無線協会)。

 選手団としてはウクライナの37名が最高で、日本がそれに次いで34名 (出場選手28名)でした。
 以下、ロシア、ドイツ、チェコ、中国と続きます。地理的に近いブルガリ アの2006年の大会と比較して、5カ国が抜け、8カ国が加わっています。
 また今大会にはイスラエルからも2名が参加しました。

 昨年10月に茨城県土浦市で開催された全日本ARDF競技大会の上位入賞 選手によって結成された日本代表選手団28名(団長:JA2HDE 木村時政ARDF 委員長)は、9月13日にオパティアに全員集合しました。
 長旅にもめげず翌14日(火)は全員元気にトレーニングに参加し、ヨーロ ッパの野山の感触を確認しました。

 この日の夕方に開催された開会式では、静岡県立御殿場高校のJA2-34555高杉 佳那江選手とJA2-34548鈴木裕太選手が日本チームの代表として堂々と入場、 各国の代表がズラリと並び、会場はいっきに熱気にあふれ盛り上がりました(写真上)。

 今回の世界選手権大会には、茨城県立土浦工業高校、秋田県立横手清陵高校、 奈良育英高校、那珂市立第一中学校、茗溪学園中学校から元気はつらつの学生が 多数参加し、同年代の世界のトップレベルの強豪とARDFの技を競いあいました。

 これは彼ら/彼女たちにとって生涯忘れられない経験となったことでしょう。

 さて、今回の世界選手権大会では、クラスごとに144MHz部門と3.5MHz部門 に割り振られて同時におこなわれ、第2競技では部門を換えておこなう方式が 取り入れられました。
 さらにW60(60歳以上の女性)とM70(70歳以上の男性)クラスが新たに追加 されました。

 15日(水)は快晴で、ARDFには最適な気温と湿度でした。
 M70クラス(144MHz部門)でJI1JLV池永治郎選手の7位とJA1ANF小森田克比呂 選手の12位の好成績により、ウクライナ、ロシアに次いでチームとして3位に 入賞し銅メダルを獲得!!(写真右
 またM60クラス(144MHz部門)もわずかの時間差で4位になりました。さらに M50クラス(144MHz部門)個人ではわずかの時間差でJR1EYZ大野政男選手が7位 でした。7位といっても世界レベルでの7位であり、個人の成績としては日本の ARDFの歴史に残る成績です。

 9月16日(木)は休息日で競技はおこなわれず、オパティア周辺の観光がHRS によって企画されました。
 古代ローマの遺産が多いプーラの古代ローマ円形劇場(下の写真)やポレチュにある世界遺産のエウフラシウス 聖堂他を見学。民族舞踊を見ながらの昼食など楽しいひとときを過ごして、翌日 の第2競技の英気を養いました。

 9月17日(金)は激しい雨にみまわれ、スタート前の待機用テントの中まで 水浸しという状況でしたが、日本選手団は全身ずぶ濡れになりながら健闘し、 W60クラス(144MHz部門)でJQ1LCW山上淑子選手とJK6XEY甲斐和枝選手により チームとして2位に入賞、銀メダルを獲得しました!!(写真右
 またM60クラス(3.5MHz部門)個人でJR1CHU金重好美選手が7位となり、これも輝かしい成績でした。

 この日はTXが一時停波するほどの激しい雨で、受信機が故障した選手も 多かったのですが、日本選手は全員が自力でフィニッシュしてクロアチアでの 競技を無事に終えることができました。

 かつては日本チームが世界大会に参加するたびに「世界の壁は厚かった」 という声が聞こえたものでした。しかし今回の日本選手の奮闘ぶりは、世界の 壁は薄くなりつつあり、金メダルを手にする日も近いのではないかと思わされる たいへん印象深い大会でした。

 この日は表彰式に引き続いて閉会式とフェアウェルパーティーが催され、日本 の選手達は外国チームとお互いに健闘を称え合い、記念写真を撮るなどして友好 を深め合っていました。

 JA1HQG有坂芳雄IARU第3地域ARDF委員長、JF1RPZ出田洋コーチをはじめとする サポートチームが選手団とともに参加してチームを支援。今大会では、少しでも チームとして上位の成績が残せるように、各選手の特質を考慮して最も効果的な 出走順を割り当て、第2競技では初日の結果を考慮して一部を修正しました。

 スタート前にスタートとゴール地点が記入済みの競技地図(写真下)が公表されたため、 地形やTX設置予想地域、緊急時の帰還ルートなどを出走前の各選手にコーチから のアドバイスがあり、このようにサポートチームによる協力もあって各選手は実力 を発揮してもらえたと思います。
 他のサポーターもフィニッシュで日の丸を振って日本選手を迎えるとともに、 スタート地点から続々と届く選手の荷物の中から日本選手の物を探して確保して おくなど、選手が競技に集中できるよう支援につとめました。

 また、国際大会で選手としての経験が豊富なJR0AIJ新井喜雄IARU国際ARDF審判員 は今大会の審判員として大会運営に協力しました。

 なお、オパティア市内で世界大会としては記念すべき第1回目のブラインドARDF 世界選手権大会(1st ARDF World Championships for the blind)も開催されました。

 次回の世界大会は2012年にセルビアで、IARU第3地域大会が来年オーストラリアで開催されることも決定しました。

【参考】競技大会に使用された地図(地図をクリックすると細かい地図がご覧になれます、PDF型式)


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