四国初のARISSスクールコンタクト「こちらは、8N5ARISS」
高知市立横浜小学校が国際宇宙ステーションと交信に成功


 7月4日、高知県高知市立横浜小学校が、ARISSスクールコンタクトで国際宇宙ステーションとの交信にみごと成功しました。
 全体のとりまとめ役と、コントロールオペレーターを努めた、JA5GSG大村育子さん(JARL評議員)に当日のレポートをいただきましたので紹介しましょう。


勉強会のようす  それまで青空だったのに、今日(7月4日)の本番を目前に、雨が降り止まず恨めしい限りです。高知市立横浜小学校の体育館の中には、各担当者が機器の点検やテストを繰り返し、準備に余念がなく動いています。そのうち、外はいつの間にか小雨となり、そのまま本番まで持ちこたえたのは幸運でした。
 会場の横浜小学校体育館には、16:30を過ぎた頃から見学者が訪れ、場内に用意した椅子は、開会式までにすっかり埋まってしまい、来場した教育関係者や来賓の方々も続々と増えるに従って、子供たちも私も緊張感で胸が高鳴り、一緒に深呼吸をして気分を和らげました。
 今回のスクールコンタクトは、地域の3校(横浜中学校、横浜小学校、横浜新町小学校)から、交信希望の生徒・児童を募集し、横浜小学校区青少年育成協議会として実行委員会を結成して準備を進めてきました。
 5月の上旬に、実施の決定通知を受けてからは、さらに周到にスタッフの役割分担や備品の調達などの討議を重ね、不十分な点は即座に修正し、関係機関やスタッフに周知するなどしながら、チームワーク体制を作ってきました。
 6月に入って、教育プログラムに取りかかると、報道各社(9社)や高知市民会議、横浜・瀬戸地区町内会連合会なども積極的に加わって、プロジェクトの推進力は一層力強くなりました。
 私も学校を通して「アリス・スクールコンタクト通信」(A4サイズ1枚、4回)発行して、地域のPRに努めるとともに、子供たちから「頼りになるおばちゃん」を目指して接するように心がけました。
 子供たちの夢や期待のこもった10分間を自覚すれば失敗は許されず、多くのサポーターの援護は、特にARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)をはじめ、音響設備や運用面のチェックは大阪府支部の方々が、また高知市教育委員会や各学校、P.T.A.、そして他の地区の青少年協議会など、みなさまには多大なご支援をいただき、たいへん感謝・感激しております。
交信中に成功した子供たちと記念撮影  18:17、タイムキーパーの合図を見て、ISSへのコールを繰り返し、Phillips宇宙飛行士と確実にコンタクトができることを確認し、マイクを子供たちにまわすと次々にスムーズな交信ができ、余計な心配は徒労と終わりました。
 Phillips宇宙飛行士はスクールコンタクトのエキスパートで、応答にはジョークも飛び出して、子供たちも安心感からか、落ち着いた態度で質問をし、練習時とは違ったようすにとても感心ました。
 子供たちは、今回の貴重な経験に充実感いっぱい。そして、多くの協力者の方々に対して謝辞を述べるなど、会場の聴衆から大きな拍手を受けていました。
 私も地域や多くの子供たちに、大きな感動を与えられるこのプロジェクトへの参画に、大きな喜びを感じた一瞬でした。
 今回の横浜小学校のスクールコンタクトに生徒が参加した、高知市立横浜中学校はスクールコンタクト以外にも、ARISSが計画している「School Spacewalk」にも応募しています。全世界の学校の175作品とともに、宇宙をアート・ウオーキングすることとなりました。横浜中学校の作品が、8月〜9月ごろ打ち上げ予定の貨物シャトルで旅立ち、ISSから宇宙空間に放出されるのを楽しみにしています。
 最後に、国際宇宙ステーション船内でさまざまな研究や実験の合間を使って、宇宙飛行士が子供たちに夢を与えてくれるARISSスクールコンタクトですが、このプロジェクトが子供たちの「挑戦する力」や「解明したい宇宙への興味」など、新しい能力を向上させる側面があることを強くアピールする必要がありそうです。
 明日を担う青少年の育成のために、私たち自身のさまざまな知恵を出し合いながら、一方でその活動の援護に必要な環境の整備も望まれるところです。

(レポート:JA5GSG・大村育子JARL評議員)