京都府宇治市の北小倉小学校で<br> 国際宇宙ステーションと交信に成功

京都府宇治市の北小倉小学校で
国際宇宙ステーションと交信に成功


▲令和4年7月21日、交信に成功!

◆企画の発端
 令和4年、宇治市立北小倉小学校は創立50周年を迎えますが、4年後には近隣小中学校との統廃合により、閉校になることも決まっています。
 アマチュア無線を通じて50周年を祝うとともに、消えゆく学校の名前を歴史に刻む一大イベントとなることを願い、記念事業の一環としてのARISSスクールコンタクトを計画しました。

◆準備から実施に至るまで
 申請書は3月1日付で提出しました。ほどなく実施週の打診が届き、7月18日の週の実施が決まりました。校内では、次のような手順で取組みを進めました。

  • 4月……アマチュア無線体験局(8N3YAA)の開設、体験運用の開始
  • 5月……参加児童の募集・決定
  • 6月……質問募集、事前学習会(参加児童対象)の実施@・アンテナ設置、ARISS臨時局(8N350K)の申請
  • 7月……交信日時確定、事前学習会の実施AB
 参加児童は、20名を上限に5・6年生から一次募集。さらに4年生を対象に二次募集をおこないました。事前学習会は3回とし、これとは別に全校児童と保護者向けにニュースを頻繁に発行しました。ISSが観測できる日や観測の仕方等も案内したところ「先生、見えたで!」と、全校的に関心も高まっていきました。
 学習会の際に参加児童に常に意識させていたのは、約10分という時間の制約です。20名が質問を終えるため、英語の練習や「偽宇宙飛行士」を仕立てての模擬交信練習を何度もおこないました。回を重ねるごとに真剣さも増し「後ろの友達が質問できるように」という責任感や一体感も生まれてきました。

◆いよいよ当日
 新型コロナウイルスの第7波の影響が心配される中、奇跡的に本校では感染者ゼロで当日を迎えることができました。
 午後1時から関西ARISSプロジェクトチームの方々が、着々と準備を進めて下さいます。午後4時半には交信会場であるランチルームに参加児童が全員揃い、体育館ではZoomによるパブリック・ビューイングの準備も整いました。
 校長による挨拶、JARL関西地方本部長によるARISS概要の説明に続き、児童が最後のリハーサルに臨みます。家でも練習してきたのか、一人一人の英語にも自信が感じられ、頼もしい限りです。

▲屋上でアンテナの最終チェック

▲交信前の生徒たちと、会場設営中のスタッフ

 午後5時42分、「NA1SS,this is 8N350K.Do you copy?」の呼びかけに対し、ISSのKjell N. Lindgren宇宙飛行士(KO5MOS)から元気な声が返って来ました。児童との交信は順調に進みます。
 終始信号は良好。子ども達の英語も好調です。20人目の児童が質問を終えた時、まだ余裕があるように思えました。

 交信が終わった時、児童はもちろん、そこに居合わせた全ての人達が笑顔になりました。パブリック・ビューイング会場の体育館からも拍手が聞こえ、改めて会場に拍手が広がったのが印象的でした。Kjellさんは、質問に答える際に、20人全ての名前を呼んでくれました。また、コントロールオペレータとの会話の中で、学校の創立50周年に対する「おめでとう」の言葉をくれました。
 この体験は、参加した20人だけでなく、北小倉小学校にとって大きな思い出・大きな宝物となりました。

 最後になりましたが、実施に力を貸していただいた諸団体の皆さん、どうもありがとうございました。


▲交信中の様子。体育館ではその様子をパブリック・ピューイングで見守っていた

※北小倉小学校では、ARISS臨時局とは別に、今年度中(令和4年4月1日〜令和5年3月31日)、体験局「8N3YAA」を開設し、全校の児童が随時アマチュア無線体験運用をおこなっています。

[レポート:杉浦雅人(JF3PLF)]