(社)日本アマチュア無線連盟
   会長 原 昌三



「2.4GHz帯を使用する無線システムの高度化」について


 情報通信審議会(会長 秋山喜久氏)では,同審議会の情報通信技術分科会に設置された「2.4GHz帯高度化方策委員会」において 2.4GHz帯の小電力データ通信システム(無線LAN),移動体識別システムの高度化に関する技術的条件について検討してきました。
 これは,本年3月28日に総務大臣から「2.4GHz帯を使用する無線システムの高度化に必要な技術的条件」について諮問を受け検討していたもので,このほど同方策委員会からその検討結果が情報通信審議会に報告され,それを受けて同審議会から9月25日総務大臣に答申がありました。
  




今回の答申の概要は,

(1)小電力データ通信システムに,20Mbps以上の高速通信が可能な伝送方式(OFDM方式)を導入すること。

(2)同システムにおいて,通信距離を伸ばすことを可能とする高指向性アンテナの使用を認めること。

(3)移動体識別システムに,混信に強い伝送方式(周波数ホッピング方式)を導入すること。

 の3点が骨子となっています。

 今回の答申ではっきりしたこととして,アマチュア無線と無線LANとの位置関係があります。
JARLとしては,無線LANは免許を要しない無線局であり,このような局については,電波法第4条(無線局の開設)及び同法第82条(免許を要しない無線局及び受信設備に対する監督)の規定が適用されるものであること,アマチュア無線局は免許を要する無線局であることから,これまでの無線LANが一次業務でアマチュア局は二次業務であるとの考え方は妥当でないことを述べてきました。

 今回,この関係が明白となり答申に次のように盛り込まれています。
 @無線LANの制度,技術諸元の中で「無線LANの運用においては,免許を要しない局である条件として,電波法第4条に他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるものと規定されている」との記述が加えられたこと。

 A高指向性アンテナの運用にあたっての考え方の中で「2.4GHz帯を用いる無線LANは,免許を要しない無線局として,アマチュア局や移動体識別システム等の他の無線局に対して運用を阻害するような混信を与えないように運用すること」との記述が加えられたこと。

 B民間レベルでガイドライン等の運用ルールを定め,啓発活動を促進する等によって,混信回避をより確実なものとすること。

 C万一,混信またはその他の障害が生じた際には,混信の回避に向けて関係者が協調して対応することが望ましいこと。

 これらが盛り込まれたことについては,方策委員会の公聴会におけるアマチュア無線家からの意見も十分に反映された結果となっています。また,このときの意見の概要は,答申に参考資料として添付されています。




 産業科学医療用のISMバンドは,電子レンジ,医療用機器などが使用しており,他の無線局はこれらからの有害な混信を容認することを条件に使用しているバンドでもあります。
 近年の無線技術の発展とともに周波数の逼迫を考慮した場合,このようなISMバンドにおけるアマチュア無線,無線LAN,移動体識別システム等の無線局がお互いに協力して周波数を有効に共用していくためには,いろいろな制約が必要となります。このような意味からも今回の答申は有意義なものと考えます。



総務省報道発表資料−情報通信審議会からの答申−はこちらをご覧ください。



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