衛星通信発祥の地の32mパラボラが月を狙う!
「ビッグ・ディッシュ・プロジェクト」情報

Project BIG-DISH専用ページもご覧ください。


貴重な体験をありがとう、IBA-4 ・・・・・ 8N1EMEの月面反射通信実験・全日程を終了:

 3月24日・25日の両日、閉所したばかりのKDDI茨城衛星通信センターから、8N1EME Project BIG-DISHの最終運用をおこないました。

 5.6GHz帯の運用は、土曜日の曇天の中、JH1KRC・渡辺美千明さんによるCWでのエコーチェックからスタートしました。1200MHzの運用の際も、その強さに驚いたものですが、5.6GHz帯のエコーはそれを凌ぐ強さでした。この周波数帯をカバーする、IBA-4のカセグレン・アンテナの最高性能を証明する結果となりました。
 2日間の運用中におけるエコーの最大強度は、599+40dBにおよび、メンバーもこの強さには驚きを隠せませんでした。

 3月24日01:03(JST)、8N1EMEのCWによるCQに対して、W5LUA局から応答があり、2way 599でQSOがスタート。これを皮切りに、23:11(JST)まで、SSB・CWで28QSOを成功させることができました。

 一方、IBA-4の局舎前では、プロジェクトメンバーのJJ1NNJ関 光一さんが持参した直径1.8mのディッシュ(さながらIBA-6…!?)を設置し、8N1EMEのエコーを受信すべく、メンバーが真剣な面持ちで取り組みました。
 曇天でもあり月の見えない中、方向あわせに苦労しましたが、至近距離の8N1EMEの送信による抑圧をかいくぐりエコーの受信に成功し、一斉に拍手が沸きあがりました。

▲局舎の前では、直径1.8mのディッシュでIBA-4のエコーのキャッチに挑戦!

 当日運用の見学に訪れた、竹内俊晴さん(JM1MNW、JARL参与、前専務理事)ほかも驚きの表情でエコーに耳を澄ましていました。

 また、佐藤和雄センター長や、小室圭五さん(JA1KAB、IARU Region 3事務局長)、IBA-4の設計者の一人である遠藤静夫さん(JE1MUI、IARU Region 3理事)や、KDDIのOBの方々も多数見学に来所されました。

 見学に来所された方々にプロジェクト代表の、JH1KRC・渡辺美千明さんが今回のプロジェクトの概要を説明し(写真右)、来所された皆さんからメンバーに向けて、労いの言葉をいただきました。

★貴重な夢と体験をありがとう、IBA-4

 最終日の3月25日は、撤収作業の関係や施設の都合で、月の出から14:10までの運用となりました。この日はCW/SSBで4QSOに留まりましたが、8N1EMEのloggerには、エコーを受信すべく全国で待機されていた多くの方から、受信レポートが多数寄せられました。

 14:06(JST)、Project BIG-DISH代表のJH1KRC渡辺さんにより、SSB・CWの両モードで8N1EMEのファイナルと73が送信され、2月23日から運用が開始された、8N1EMEのIBA-4でのEME運用は幕を閉じました。
 ファイナルの送信が終了した瞬間、誰からともなく局舎内に拍手が響き渡ったのはいうまでもありません。

 IBA-4の局舎からの無線設備等の完全撤収後、運用終了まで大変親切にお付き合いいただいた、佐藤センター長と、これまでの取り組みについてを振り返り、1時間ほど懇談の後の17:00に、お世話になったKDDI茨城衛星センターを後にしました。

 なお、8N1EMEの月面反射通信の運用につきましては、すべての日程を終了しましたが、3月31日まで移動する局は運用中です。引き続き、皆様のコールを宜しくお願いいたします。

 また、5.6GHz帯の運用を含めた、EMEに関する受信レポートは、ぜひJA5FNX田村さんに、お送りください。レポートには使用された設備(アンテナ、LNA、無線機等)や、受信地点のロケーションなどの記載をお願い致します。

【レポート送付先E-mail】ja5fnx(アットマーク)bun.dokidoki.ne.jp
※上記アドレスは、スパムメール防止のため「@」を(アットマーク)と表記しています。


▲運用終了直後、局舎に残ったメンバーの記念撮影。前列右は、アンテナの駆動やローバンドの運用でお世話になったKDDIの大桃さんです。

▲月面反射通信運用最終日、雨中のIBA-4の勇姿。ディッシュからは、まるで別れを惜しむような涙雨が降ってるようにも見えました。

(TNX JM1GSH)

(2007.3.27)


ビッグ・ディッシュ・プロジェクト公開実験大成功!/5.6GHz帯落成検査に合格:

 晴天に恵まれた3月3日、KDDI茨城衛星通信センターに、宇宙や衛星通信に興味を持つ小・中学生やアマチュア無線家約150名を集めて、ビッグ・ディッシュ・プロジェクトの公開実験が実施されました。この見学会は同センターの協力のもとで実施されたものです。

 佐藤和雄センター長は見学会の打ち合わせ会議の際に「この施設に、今回のような大人数の見学者を一度に受け入れるのは初めてです。しかし各地から多くの皆様をお迎えするからには、センターとしては最大限のおもてなしをして、来所いただいた皆様に十分に満足していただいてお帰りいただきたいのです」と語っていましたが、そのとおり、KDDIのスタッフの方々の周到な準備のもとで見学会はおこなわれました。


▲午前の部参加者の記念撮影

▲午後の部参加者の記念撮影

 午前の部は、8N1EME(移動する局)のPR運用などでプロジェクトに協力している、JARL茨城県支部の見学希望者約50名が施設の見学をおこないました。
 間近に見る巨大な32mカセグレン・アンテナや、局舎内に設置されたEMEの送受信設備に見学者の方々は大いに興味を抱いていたようです。

 午後の部は、事前登録をいただいた一般アマチュア無線家50名(グループA)と、小・中学生特別枠にご応募いただいた小・中学生と保護者、さらに茨城高専の先生と学生さんも含めた50名(グループB)の2組に分けて実施しました。

 グループAとグループBには運用実験の見学の前に、佐藤和雄センター長ならびに同センターの酒井さんによる、KDDI茨城衛星通信センターの施設紹介、JH2COZ井原康博さんによる月面反射通信の解説、JH1KRC渡辺美千明さんによる「Project BIG-DISH」の企画から実施までの経緯、センター施設見学などが時間をずらしておこなわれました。

 月面反射通信の解説や「Project BIG-DISH」の説明では、特にグループAに参加のアマチュア無線家のみなさんは、たいへん熱心に話しを聞いていたようで、講演したお二人も予定時間をオーバーするほどの熱演ぶりでした。

 この日の月の出は17:00ごろです。見学はグループA・Bをさらに2班に分けておこなう予定でしたが、結果的には全員が局舎内に入り月のエコーに耳を澄ましていました。

 局舎内に見学者の方々を迎え、オペレータの渡辺さんが昇り始めた月に向けて17:30から、1200MHz帯の電波を発射。約2.5秒後に返ってきたエコーを聞いた見学者たちからは、感激の表情が感じ取れます。

 そして渡辺さんのCQに対して、アメリカ・インディアナ州のK9SLQ局からSSBのクリアーなコールバックがありました。1200MHz帯の信号は月から反射されたものとは思えないほど強力で、59と言ってもいいほどです。

 オペレーターの渡辺さんは、見学するグループBの小・中学生たちを、隣に座らせて名前を聞いて、アメリカの交信相手局に伝えて、その名前を呼んでもらいました。自分の名前を月からのこだまで聞いた子供たちにとっては、恐らく忘れられない思い出になったことでしょう。


▲見学中の局舎内は熱気と緊張に包まれていた。

▲月から子供たちの名前が返ってきた。

 また、もう一つのサプライズがありました。横に座った中村洸友くん(三重県松坂市、11歳)が1アマの免許の所持者であることを聞いて、渡辺さんはこのとき、洸友くんにマイクを譲ったのです(写真下)。小学生による32mディッシュでのEMEオペレートは過去に前例がありませんし、今後も(たぶん)ないことでしょう。

 Project BIG-DISHメンバーとJARL事務局に向けて、後日、会場に同行したお父さんの中村裕紀さんから、次のようなお礼状が届きましたのでご紹介しましょう。

 幸運をいただきました中村です。土曜日には小学生枠での見学をさせていただきました。衛星通信の発祥の地での見学に参加できると言うことになり、心より感謝いたします。

 当初、我が家では参加などできない(距離もあるし)と思いながら、夕食時に「このようなイベントを全国の高校生(無線クラブ)や中学生の皆にもっとPRできると良いのになあ〜」なんて会話をしていたら、子供が「行ってみたい」と言い出し、我が家からの参加を急にお願いすることになりました。
 私も心の準備もなにもなく、突然の旅行が決まり、その実感は高まるばかりでした。

 EMEですからCWくらい受信できないと見学していても「何も判らない」、「どこの国かも判らない」では寂しいからということで、参加に向かう道中はCWの受信の練習をしながら茨城に向かいました。
 名前の紹介と言うことでしたが月面反射通信のDX局への紹介だったので、「自分のコールサインも知らせたいなあ」なんて言っていました。
 まあ、名前を乗せていただけるだけでも「素晴らしい想い出になるなあ〜」と喜びました。

 公開運用で家の子の順になった時、コールサインを伝えたいということをメイン・オペレーターの方に伝えたら、「ライセンスは?」と聞かれたので、「1アマです」と答えましたところ、4回位確認で聞き返された後……突然の「オペレーター交代!!」
 思わぬ状況に感激と不安がいっぱいで、子供も私も目を白黒状態でした。全く英語でのQSOの練習もしていない!! 果たしてどうなるのか?

 普段の交信はFMがメインでSSBには慣れていない、緊張のあまり平均変調度を上げるほどの元気が無い、声にまどろっこしさもありましたが、メイン・オペレーターの方の親切なサポートの中、無事に素晴らしい体験、経験をさせていただきました。とにかく、突然の幸運といいますか感激には、お世話をいただきました皆様方に感謝するのみです。

 オペレートされた渡辺様、その他関係の皆様には、「心より感謝」の旨をお伝えいただきたくお願いいたします。

 この度は本人も一生の思い出になることは間違いありませんし。私も強力なSSBによるエコーには感動させられました。どうもありがとうございました。

JQ2LVT 父 JF2AGB 中村

 こうして、ビッグ・ディッシュ・プロジェクト運用実験見学会は無事大成功を納めました。

 当日のようすは、3月3日19:00のNHKニュース(テレビ)や、3月5日22:00のNHKジャーナル(NHKラジオ第1)でも紹介されました。

★5.6GHz帯の運用に向けて!

 運用見学会が無事終了後、3月3日〜5日早朝まで引き続きプロジェクトのメンバーによる運用がおこなわれ、144/430/1200MHz帯は5日早朝の運用をもって終了となりました。そして、残る5.6GHz帯の運用に向けて準備が進められました。

 5.6GHz帯はIBA-4のカセグレン・アンテナ自身がカバーする周波数レンジに当たり、このアンテナが持つ最大限の性能を引き出すことができる周波数といえます。

 5日午前には、副反射鏡部に設置した144/430MHzフィード部(ループアンテナ)やLNA、導波口部に設置した1200MHz帯フィード部(3mパラボラ)などの撤収工事をおこないました。
 スタッフの一人、JJ1NNJ関さんによると、「設置工事は4日もかかったのに、取り外しの工事は2時間足らずで終了。ひもがゆるんで何回も張り直した144/430MHz帯ループフィードなどが撤収されて、もう登ることもない主鏡の上から、もとのまっさらになった、サブレフを見上げた時には、ちょっとこみ上げるものがありました」とのこと。
 また取り外し工事終了後にかけて、センター付近は春の突風に襲われた模様です。工事に当たったメンバーは「無事工事が終了できたのはお天気の神様が味方してくれたんですね」と語っています。


▲5.6GHz帯設備の親機

▲5.6GHz帯設備のパワーアンプ

 無線設備の準備は5日午後〜6日早朝にかけて、突貫工事でおこなわれました。電波障害の有無の確認、電力やスプリアスの計測などが夜を徹して実施され、6日午後、いよいよ落成検査に望みました。

 関東総合通信局の検査官により、無線設備の確認、電力の計測などがおこなわれました。途中、送信機の調整などに若干手間取って、144〜1200MHz帯の落成検査の際よりも時間がかかりましたが、無事落成検査に合格し、関東総合通信局の検査官からプロジェクト代表の渡辺さんに、本免許が手渡されました。


▲落成検査のひとこま

▲無事落成検査に合格。免許が手渡された

 この日の夜の運用は当初予定されていませんでしたが、センターのスタッフの協力を得て、20時ごろの月の出を待ちIBA-4のディッシュから5.6GHz帯の電波を月に向けて発射しました。しかし短時間のこともあり、この日は残念ながら5.6GHz帯での交信成功には至っていません。

 今後、閉所を前にしたセンターの工事などの関係で、5.6GHz帯の運用は3月24日・25日に予定されています。なお、この3月25日の運用をもって、8N1EMEの月面反射通信運用実験はすべて終了となります。

(2007.3.7)


5.6GHz帯が予備免許される:

 2月27日(火)、8N1EMEの5.6GHz帯500W局が予備免許されました。ローバンド(144〜1200MHz帯)と異なり、本省決裁が必要となるハイバンドの500Wのため、多少時間がかかりましたが、ようやく予備免許の段階までこぎつけたといったところです。
 5.6GHz帯設備の落成検査は3月6日、運用は3月24日を予定しています。

(2007.3.1)


8N1EME(移動しない局)落成検査に合格!運用を開始:

 Project Big Dishメンバーによって、KDDI茨城衛星通信センターのIBA-4で準備が進められてきた、特別局8N1EME(移動しない局)の落成検査が2月23日に実施されました。
 当日の天候は、あいにくの雨でした。

▲2月23日のIBA-4。落成検査に備えて、月の方向を見つめゆっくりと自動追尾を続けている

 この日の落成検査は関東総合通信局の検査官を迎えて14:00ごろから開始されました。
144/430/1200MHz帯の各バンドの測定データは事前に計測し準備書面として提出済みで、当日は無線設備の設置状態の確認、ダミーによる出力検査、実通試験などがおこなわれ無事合格。
 検査官から「Project Big Dish」の渡辺美千明代表(JH1KRC)に本免許が手渡されました。


▲430MHz帯の実通試験

▲144MHz帯での出力確認

▲1200MHz帯設備の説明中

▲検査に合格し、JH1KRC渡辺さん(プロジェ
クト代表)に免許が手渡された

 そして、この日からIBA-4を使用した8N1EMEの運用がスタートしました。23日夕刻から夜半にかけての運用では、日本はもちろん、オーストラリアやオランダなど世界の13局との交信に成功しました。

 翌24日には、JARL原会長(JA1AN)と、根本茨城県支部長(JH1UBU)が、8N1EME運用の見学とメンバーの激励のため、茨城衛星通信センターを訪れました。
 この日は、センターには春疾風を思わせる強風が吹いていましたが、好天に恵まれました。


▲KDDI茨城衛星通信センター内に設けられ
た、衛星通信館内に開設の8N1EME(移動
する局)を見学する原会長

▲見学を前に佐藤和雄KDDI茨城衛星通信
センター長(左)から、センターの歴史や設
備などに関する興味深い説明を受けた

 この日は、1200MHz帯での運用がおこなわれました。局舎を訪れた原会長は、1200MHz帯をオペレートする、JH1KRC渡辺さんが送るシグナルのエコーを聞いて、38万km宇宙を往復したとは思えない、強力な受信シグナルに感激の色を隠せなかったようです。
 なお、8N1EMEはこの日も、国内やアメリカをはじめ20局以上との交信に成功しました。その後、25日には1200MHz帯を中心に130局あまりと交信できました!


▲IBA-4を案内する佐藤和雄センター長(左)
と、原会長(中)、根本支部長(右)


▲1200MHz帯を運用するJH1KRC渡辺さん
(前列右)とオペレートを見守る佐藤センター
長、原会長、根本支部長


▲昼の三日月の方向を見つめているIBA-4
のディッシュ

(2007.2.26)



ビッグ・ディッシュ・プロジェクト見学会(小・中学生特別枠)参加者の直前募集:

 3月3日14:00〜18:30、KDDI茨城衛星通信センター(茨城県高萩市石滝字呉坪650、JR常磐線 高萩駅よりバスまたはタクシーで約10分)で実施予定の、ビッグ・ディッシュ・ プロジェクト見学会の小・中学生の参加希望者を、保護者を含め52名限定で募集いたし ます(アマチュア無線の資格の有無は問いません)。
 宇宙や衛星に興味のある小・中学生の皆さんのご参加を心よりお待ちしています。

 当日、必ず保護者1名を同伴して来所していただくことが参加の条件となります。
 また見学会場までの交通費などは、すべて参加者のご負担となります。
 応募者多数の場合は、先着順(申し込みメールのタイムスタンプで決定します) とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
 また、参加は地元の小・中学生を優先させていただく場合があります。

【申し込み方法】
 E-mailのみでの受付となります。
 表題を「ビッグ・ディッシュ・プロジェクト見学会(小・中学生特別枠)参加 希望」として、次の各項目を記載したメールを申込先までお送りください。

  1. 参加希望の小・中学生の氏名
  2. 学校名
  3. 同伴の保護者(1名)の氏名
  4. 住所
  5. 連絡先電話番号
  6. 来所方法(自家用車利用・公共交通機関利用等)

【申込先】  JARL運用課  E-mail:oper(アットマーク)jarl.or.jp
    ※上記アドレスは、スパムメール防止のため、「@」を(アットマーク)と表記 しています。

 お申し込みいただいた方への、参加の可否につきましては、メールで返信いたします。

 なお参加者の募集は、2月26日(月)をもって締切とさせていただきますが、定員に 達し次第、締め切らせていただく場合もありますのであらかじめご了承ください。

(2007.2.22)



アンテナ工事完了。144/430MHz帯の試験電波を発射:

設置の状態をみたい方はクリック

 2月17日、IBA-4への144/430/1200MHz帯のフィードの設置が完了しました。
 同日夕方には、144/430MHz帯のインピーダンス測定(アナライザ)でほぼ計算値通りの特性を示しました。
 (設置の状態はこちらでご覧いただけます)。
 2月18日はあいにくの雨模様でしたので、屋外作業は中止し、すでに設置済みの430MHz帯設備のほか、144MHz帯の設備を設置、また雨の上がった午後には144/430MHz帯のフィードの再確認をおこないました。
 雨の影響もあり、落成検査前にフィードの微調整の必要がありそうです。
 天頂ロック状態で144/430MHz帯の送信系統のチェック(ダミーロード使用)、受信系統の切替点検を実施しました。
 KDDI茨城衛星通信センターのサービス業務設備に対する影響確認のために、16:21に試験電波の発射をおこないました。
 まず144MHz帯で10W、50W、100W、200W、300W、400Wと段階的に送信電力を増加させて、指定の500Wを送信しましたが、センターのご担当者のかたからセンター設備に対しての影響はない、『OK』が出た瞬間、全員から割れんばかりの拍手が出ました。
 その後、430MHz帯の送信チェックを実施しました。
 1200MHz帯の設備は、現在準備中で今週半ばには設置が完了できる予定です。
 IBA-4の副反射鏡周辺への144/430MHz帯フィードの設置は、何とか想定通りにできましたし、1200MHz帯のパラボラもディッシュの導波口部分に計算通り設置できたことから、メンバー一同、ホッとした半面、いよいよ運用に向けて一歩前進したことで、さらに身が引き締まる思いです。

(レポート:Tks to JM1GSH)

(2007.2.19)



予備免許おりる。運用スケジュール発表:
 2月14日(水)、8N1EMEの144〜1200MHz帯500W局の予備免許がおりました。予定では2月23日(金)には落成検査、その後、EME運用がいよいよ開始されます。
運用スケジュールはこちら。 (2007.2.15)



特別局8N1EME(移動しない局)開設準備進む:
 2月11日、KDDI茨城衛星通信センターで、ビッグ・ディッシュ・プロジェクトのアンテナ工事が本格的に始動しました。今回、月面反射通信の特別局8N1EMEのアンテナは、同センターに開設されているIBA-4(第4アンテナ:イバ4)を使用します。
 IBA-4は4回反射収束ビーム方式のカセグレンアンテナで直径32m。昭和58年10月に完成し、最近までインテルサット衛星を使用した衛星中継に現役で使用されていたものです。

 2月11日、12日の両日は、IBA-4の副反射鏡部分にFEED部を設置するための予備調査・準備や同軸・電源ケーブルの配線などがおこなわれました。
 準備を前にして、中継業務開始後から常にインテルサット衛星の方向を見つめ続けてきたIBA-4のディッシュが、ゆっくりと天に向けて移動し、天頂を仰ぎました。



ズームアップ写真はクリック


常にインテルサット衛星の方向を見つめ続けてきたIBA-4のディッシュが天頂を仰ぐ!写真左下は鏡面内の調査・工事に向かうスタッフ

 長年地元に在住の、今回のプロジェクトメンバーの一人、JM1GSH根本浩次さんによれば「地元の人間として、長年このIBA-4を目にする機会がありましたが、私はこのアンテナが天頂に向くのを見たのは初めてです」とのことです。

 その後、スタッフによる鏡面内工事などに関する調査や、ケーブル等敷設の準備、局舎内の8N1EME(移動しない局)開設の準備などが着々と進められています。

 一方、センター内の衛星通信館で茨城県支部メンバーが中心となって運用される8N1EME(移動する局)のHF帯アンテナの設置が進められました。
 局開設の準備は次週にも引き続きおこなわれ、近日中にもおこなわれる試験電波発射、落成検査、そして運用に向かって、その準備は急ピッチに進行しつつあります。

(2007.2.13)

【豆知識】日本の衛星通信発祥の「往年の第1アンテナ」は
現在のIBA-4の設置場所にあった

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 今回のビッグ・ディッシュ・プロジェクトに使用されるIBA-4は、昭和38年から昭和43年まで、日本の衛星通信の初期に活躍した、直径22mの第1アンテナが設置されていた地点に設置されています。

 当時、第1アンテナのシステムは直径22mのディッシュ(通信用)と、そのそばに設置された直径6mのディッシュ(追尾用)をセットで使用するシステムで、昭和38年11月23日08:58、アメリカの通信衛星「リレー1号」を使用した太平洋を隔てた通信実験で、「アメリカのジョンFケネディー大統領暗殺」を伝える衝撃的なニュースをキャッチしたのです。

 運用を終了した第1アンテナは残念ながら昭和55年11月に撤去され、その跡地に今回の月面反射通信に使用されることとなった「第4アンテナIBA-4」が建設され、つい先頃までインテルサット衛星を使用した衛星通信業務を継続。そして運用終了後の現在に至ります。

 なおKDDI茨城衛星通信センター内に設置された衛星通信館の横には、衛星通信発祥の当時活躍した第1アンテナの一部である副反射鏡が展示されています。


事前登録は予定数に達しました:
 3月3日の公開実験への見学希望者の事前登録は、おかげさまで多くの方から申し込みをいただきました。ありがとうございます!
 今後、地元の小中学生(と保護者の方)の参加数がまだかたまっておりませんので、とりあえず事前登録は終了させていただきます。
 なお、また変化あれば本ページでPRさせていただきます。(2007.2.8)



公開実験を見学したい方は事前登録を: ←(事前登録は終了しました)
 EME実験に向けてプロジェクトメンバーの方々は準備の毎日です。3月3日には公開実験をおこなう予定でいますが、これに見学希望される方はKDDI茨城衛星通信センター入局のための事前登録をしていただきます。登録は左下のバナーから。(2007.2.5)




移動する局の免許がおりました:
 2月1日付けで、移動する局の免許が関東総合通信局から発給されました。コールサインは8N1EME。2月1日以降、土日を中心に運用が予定されています。みなさん、交信をお願いいたします。(2007.2.1)



特別局の概要:
 コールサインは8N1EMEを予定。EME実験用「移動しない局」として、144MHz帯、430MHz帯、1200MHz帯、5600MHz帯の各バンドで最大出力500Wを申請する予定です。この他に、HF帯から1200MHz帯まで、最大出力50Wの「移動する局」も申請して2〜3月の間PR運用をおこなう計画も立てています。

公開実験のスケジュール:
 まだ詳細は確定していませんが、2月下旬〜3月上旬にかけての実施を目指して、ビック・ディッシュ・プロジェクト メンバーが準備を進めています。(2007.1.18)


●日本の衛星通信の発祥の地

 KDDI茨城衛星通信センターは、日本の衛星通信発祥の地です。
 日本の衛星通信の幕開けは、1963(昭和38)年11月20日、当時の国際電信電話(株)(KDD、現在のKDDI)が、茨城県高萩市と茨城県多賀郡十王町(合併により現在は日立市)の境界付近に、茨城宇宙通信実験所を開設。インテルサット受信用の大型パラボラを設置し、太平洋を隔てた日米間を通信衛星インテルサットで結ぶ実験を開始して始まりました。

 運用実験開始3日後の11月23日、カリフォルニアのNASA地球局との中継実験において、アメリカから送られてきたのは、「ジョンFケネディー大統領が暗殺される」という衝撃的なニュースだったのです。

 その後も、この茨城の地で衛星通信の実験を続けてきた国際電信電話(株)は1966年、同地に「茨城衛星通信所」(後の茨城衛星通信センター)を正式に開設し、日米間のテレビ放送の伝送中継を本格的に開始しました。同所が日本の衛星中継や国際通信に果たした役割は大変重要なものでした。

 近年の光ファイバーネットワーク網の充実等の環境変化を反映し、KDDIは衛星通信の運用体制を再編し、業務を山口県山口市のKDDI山口衛星通信センターに集約する予定です。

●32mパラボラが月を狙う!

 この機をチャンスに、センターに設置されたカセグレン・アンテナを利用したEME(月面反射)通信実験がJH1KRC渡辺美千明さんほか、国内のEME愛好家により予定されています。この通信実験は、KDDIの協力のもと、JARL特別局を開設して実施します。

 直径32mにおよぶ大型カセグレン・アンテナを使用したEMEの運用は国内では初めてのケースです。

 運用は公開実験の形として実施します。一般の方々にもEMEの運用を通じて、アマチュア無線の魅力を広くPRしていきます。今回の運用は青少年の科学への探求心や興味を呼び起こす有効なデモンストレーションとしての効果も期待されます。(2007.1.17)


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