高速電力線搬送通信設備に関する 平成25年3月6日 2月7日に総務省から「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等についての意見募集」が行われています。 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000041.html 改正内容は、屋内に使用が限定されていた高速電力線通信設備(PLC)を屋外でも使用出来るように施行規則を改正するものです。 これまでの経緯を御説明しますと、JARLは、「情報通信審議会情報通信技術分科会 電波環境委員会」の基に設置された「高速電力線搬送通信設備作業班」の構成員として参画してきました。作業班での検討状況と作業班での顛末、親委員会にあたる「電波環境委員会」への意見書の提出についてはJARL WebやJARL NEWSで報告の通りです。 JARLでは、平成24年7月26日から8月27日に行われた「高速電力線搬送通信設備の屋外利用に係わる許容値及び測定法」の意見募集がこの 問題に対する最後の戦いの場と認識し、PLCの屋外使用に反対する旨の意見を提出するとともに、アマチュア無線家の皆様からも意見を提出するようお願いいたしました。しかし、9月14日に 意見の募集の結果が発表されましたが、その件数は49件と極めて少ないものでした。 意見募集結果の委員会の考え方として「日本アマチュア無線連盟の構成員からの意見書等は、委員会報告及び作業班報告に反映している」と記載されています。 このようにJARL及び会員各位が数々の意見を述べたにも係らず、ことごとく無視をされ、電波環境が悪化するであろうPLCの屋外使用を強引に推し進めようとすることに対しては怒りを覚えます。 PLCの屋外使用の実用化のための「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等についての意見募集」の締め切りは3月11日(月)です。JARLは短波帯の電波環境をこれ以上悪化させないために、これまでの主張と同様に「PLCの屋外使用の実用化に強く反対する」旨の意見を提出しました。 PLCの屋外利用に反対する 平成24年6月4日に「第9回高速電力線搬送通信設備作業班」が開催され「電波利用環境委員会」に提出する答申書と報告書案が審議されました。 しかし、作業班事務局(総務省電波環境課)が取りまとめた最終報告書案では作業班で合意を得た内容とは異なる記述に書き換えられてしまいました。JARL電磁環境委員会では報告書の内容を作業班で合意した内容に書き改めるよう2回にわたり意見書を作業班事務局に提出しましたが、記述が改められることはありませんでした。 JARLでは電磁環境委員会からの報告を受け、「高速電力線搬送通信設備作業班」の上部委員会にあたる「電波利用環境委員会」に対して、連盟として意見書を提出しましたが、7月3日に開催された「第7回電波利用環境委員会」ではJARLの意見は取り上げられる事なく、「高速電力線搬送通信設備の屋外利用に係わる許容値及び測定法」として意見募集にかけられることとなりました。 【意見募集のURL】 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000035.html
内閣府から総務省に対しての指示は、「スマートメータの普及促進に向けた屋外通信(PLC通信)規制の緩和」ですが、報告書案にはスマートメータの利用に関する提案は1件もなかったと記述されています。また、期限を切られた検討で満足な実験や検討も行われなかったことが作業班の議事要旨で明らかです。 JARLは、問題を含んだ報告書に基づくPLCの屋外利用に関する拙速な規制緩和を行うべきではないとの意見を提出しますが、クリーンな電波環境を保つために皆様も反対意見を提出していただくようお願いいたします。 一般社団法人 日本アマチュア無線連盟 平成23年11月2日掲載 JARL電磁環境委員会 行政刷新会議(内閣府)から平成22年6月に「スマートメーターの普及促進に向けた屋外通信(PLC通信)規制の緩和」について検討をおこなうよう総務省に指示があり、「情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会」の下に「高速電力線搬送通信設備作業班」が設置されて、2MHzから30MHz帯の周波数でのPLCの屋外利用について、事業者からの具体的な提案等を確認のうえ、無線システムへの影響等の検証・検討をおこない、平成23年度中に結論を出すこととなりました。 作業班は、電気通信大学の上 芳夫(かみ よしお)名誉教授を主任とし24名で構成され、平成23年3月11日に第1回検討会開始以後、平成24年2月末までに7回の作業班と実証実験がおこなわれました。 JARLではこの検討に関して電磁環境委員会が対応しており、同委員長の芳野が作業班構成員として参画しています。作業班発足から約1年が経過しました。作業班での検討状況と今後の対応について報告いたします。 【PLCの屋外利用】 作業班設置の目的に「スマートメーターの普及促進」との記載があり、「スマートグリッド実現のための一つの技術としてPLCの採用」を検討しているかに見えましたが、実際には電力事業者からの提案は一つもなく、単に屋外に設置するネットワークカメラや電気自動車(EV)の充電時に車内蓄積情報や地図情報等のダウンロード/アップロードをおこなう提案に限定しており、目的の「スマートメーターの普及促進」とはかけ離れたものでした。 JARLは、「PLCの屋外利用の必然性がないこと」や「短波帯の無線システムに妨害を与える可能性が高い」ことから、今後の「なし崩し的な利用範囲拡大に反対」を表明しています。 【作業班の検討スケジュール】 作業班のスケジュールとこれまでの開催実績は次の通りです。各作業班の配付資料も下記のリンクから入手できます。
JARLでは、「屋外実証実験案について」(資料4-8)で提示された実験場所の環境雑音が高く、この背景雑音値で基準値が設定される恐れもあるため、環境雑音が低い実験場所への変更を強く提案しました。その結果、JARLの提案した多摩川も実験場所として追加されました。 第7回作業班で提示された実験報告書は中間報告であり完全なものではありませんでした。 3月27日に実施された第8回作業班の議事は、
6月4日に開催された第9回作業班では、「屋外広帯域PLCの許容値」と「答申書(案)及び報告書(案)」について検討がおこなわれました。議事の争点は許容値で、「対象とする周波数全域でコモンモード電流許容値を10dB下げた値」についてPLC推進派と懸念派の双方から不満の声が上がりました。JARLは、実験で得られた結果をそのまま採用するのではなくマージンも考慮した値とすべき、と強く主張しましたが、受け入れられませんでした。 屋外PLCの導入に対して懸念を示している構成員から、「屋外広帯域PLC装置により生じるコモンモード電流の許容値」の章に次の文章を追記したいとの提案があり了承されました。提案された追加文章は次の通りです。 「ただし、本作業班で実験及びシミュレーションを実施した範囲外の設置状況について、十分な漏洩波電界強度について確認をしたものではない。このため周囲状況の構成等、これまでおこなった実験等の結果では表現しきれない事態も考えられる。この数値はこれまでの実験で得られた目安である」 しかし、作業班終了後に送られてきた報告書に記載された内容は、 作業班事務局(電波環境課)により全く内容の異なる文章に改竄されていたため、 芳野から2回意見書(1回目の意見書(PDF形式)、 2回目の意見書(PDF形式))を提出しましたが、 当該部分の修正はおこなわれませんでした。2回目の意見書に対しては、 1回目の意見書に対する返信と全く同じ文章をコピーアンドペーストした ものが送り届けられました。 作業班事務局に対しての報告書修正要望が無視された事を受けて、7月3日に開催された「電波利用環境委員会(第7回)」 の藤原主査宛に稲毛会長名で意見書(PDF形式)を提出しました。 第7回の電波利用環境委員会(会議資料)では、JARLが作業班で主張してきた内容と同じ意見が委員からも指摘されました。しかし、JARLからの意見書が取り上げられることもなく「高速電力線搬送通信設備の屋外利用に係わる許容値及び測定法」が、意見募集にかけられることになりました。 7月25日に「電波利用環境委員会報告(案)に対する意見の募集」が総務省のWebページで発表されました。 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000035.html
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