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JARL南極局8J1RLのこどもの日特別運用を実施
南極昭和基地に開設されたJARL南極局8J1RLは、毎年5月5日のこどもの日に併せて、日本国内の小・中・高校生を優先して交信をおこなう「こどもの日」の特別運用を実施しています。今年は、第60次南極地域観測隊が「こどもの日」の特別運用を実施しました。
東京都豊島区のJARL中央局JA1RLは、この日に併せて8J1RLとの公開運用を実施。16:00から、事前に参加申込みがあった熱心な小・中・高校生ハム9名および保護者が集まりました。
16:00から交信会場のJARL会議室では、JG1KTC尾義則JARL会長(JA1RL運用委員会委員長)の挨拶、JA1RL運用委員会委員、当日集まった子供たち、公開運用に南極OB会アマチュア無線クラブのJR1FVH小林正幸さん、JH7JCX氏家宏之さんの自己紹介がおこなわれ、その後、氏家さんにより南極昭和基地でのアマチュア無線運用にまつわる興味深いお話しがあったほか、7K2GMJ新谷一徳さん(JA1RL運用委員会)から南極昭和基地との具体的な交信の方法等の説明がおこなわれました。
17:00から呼出を開始。最初の30分間は昭和基地方面のオープンの兆しを感じることができませんでしたが、8J1RLのシグナルが微かに入感しはじめたのは、呼出開始か約30分を過ぎた頃です。HF帯の伝搬特有の信号の浮き沈みの中、3アマの子供たち7名が50Wで交信を開始したのは17:40ごろからです。
運用する子供がオペレーターチェンジをアナウンスすると、8J1RLからも、「こちらもオペレーター変わります」というサービス振りで、交信会場は楽しい和みの雰囲気に包まれました。
また呼出を開始した17:00頃にはとても想像もつかなかった、信号強度の変化に子供たちはもちろん、運営スタッフも同伴の保護者の方々も大興奮のようすでした。
さて、3アマの7名の交信が無事終了し、今度はJA1RLの無線機を10Wに切り替えて4アマの2名の交信の番ですが、ちょうどこの頃、突発的なコンディションの低下が実感されました。一時的に8J1RLからのシグナルが全く聞こえなくなってしまったのです。
しかも、10Wでの運用と4アマの2名の交信の成否がかなり心配されましたが、その後、奇跡的とでも言うのでしょうか? 8J1RLのシグナルは急激に、まるで国内局か?と思えるほどの強力なシグナルに変化し、2名の子供たちも無事交信に成功することができたのです。
これぞ、HF帯の電離層反射通信の醍醐味であり、おもしろさと言ったところかもしれません。
9人の子供たち全員の交信が終了し、尾会長がお礼の挨拶とファイナルを送ると、無線機からは8J1RLのオペレーター全員の声で「ありがとう!さようならー」のファイナルが響き渡り、交信会場は歓声と大きな拍手の渦で包まれました。
交信に成功した子供たちは、保護者の方と共に笑顔で交信会場を後にされたようです。
協力:国立極地研究所
(5月5日・速報掲載、5月27日・詳細レポートを追加)
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