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神奈川県逗子市の久木中学校で中学生たちが国際宇宙ステーションと交信に成功
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▲ARISSスクールコンタクトでの生徒の交信の様子 |
2021年1月20日、神奈川県逗子市にある逗子市立久木中学校の生徒12名は、同校に開設した久木中学校ARISSスクールコンタクト臨時局(8N1ZH)から、国際宇宙ステーションに滞在中のシャノン・ウォーカー宇宙飛行士(KD5DXB)と約6分30秒の交信を楽しみました。
今回の久木中学校ARISSスクールコンタクトは日本で101例目であり、神奈川県内では4例目、また神奈川県逗子市では初めてのARISSスクールコンタクトの交信となります。
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神奈川県逗子市立久木中学校のARISSスクールコンタクトは、2021年1月20日に国際宇宙ステーション滞在中のシャノン・ウォーカー宇宙飛行士(KD5DXB)との間で実施し無事に交信成功しました。
12名の生徒達がチャレンジした宇宙飛行士との交信はもちろん、とっておきのサプライズもあり、参加した生徒、先生、スタッフ一同、大満足の結果となりました。今回のスクールコンタクトの実施に協力頂いた皆様に大変感謝いたします。
久木中学校でおこなわれた国際宇宙ステーションとの交信の様子は、こちらでご覧いただけます。
▽YouTube
https://youtu.be/Bnp__wl2rVQ
●始まりは2017年:
今回の久木中学校でのARISSスクールコンタクトの始まりは、2017年12月。今回のスタッフが所属する「逗子・葉山アマチュア無線クラブ」で、ARISSスクールコンタクトにチャレンジしてみようと言うことでまとまり、正式な活動として本格的な準備がスタートしました。
早速、実施していただける学校を探し、クラブメンバーの母校でもある久木中学校と交渉を開始しました。今回の学校側の窓口となっていただいた鹿嶋先生が、アマチュア無線の資格をお持ちであることが判り、ARISSスクールコンタクトの意義についてご理解いただけたことで、とんとん拍子で話が進み、2018年11月に学校側の了承を得ることができました。
●チャンスは突然やってきた:
実施する学校が決まったものの、申請書を正式に提出したのは2020年3月でした。この時点で実際に交信予定が割り当てられるまで約1年半待ちと言われていたので、実施できる日を気長に待つことにしました。
ところが、新型コロナウイルスの影響で他の学校がキャンセルになり、1月18日の週に交信の割り当てが可能との連絡があり、学校側と相談の上、対応可能と回答。2020年11月9日付けで正式にARISSスクールコンタクトの割り当てが決定しました。
●本番に向けて全力で準備:
ARISSスクールコンタクトの割り当て決定から本番までわずか約2カ月半。細かなスケジュールを設定し、生徒の選抜と訓練、無線局とライブ配信等の機材準備、無線局免許の申請、広報関連の準備、新型コロナ対策の検討等を、「横須賀-逗子VEチーム」のメンバーと連携して進めていきました。
今回、国際宇宙ステーションとの交信にチャレンジする生徒は、1、2年生の男女12名。自然科学部の部員と、学内から公募した生徒たちです。
事前の訓練では、「国際宇宙ステーション」「宇宙飛行士の生活」「人工衛星と宇宙通信」「アマチュア無線」「スクールコンタクト」などの5回の講義に加え、交信体験局を使ったアマチュア無線での交信も体験もしてもらいました。さらに、宇宙飛行士への質問と自己紹介も自分たちで考え、英訳しました。
本番のライブ配信では、単に交信の様子を配信するだけでなく、国際宇宙ステーションやアマチュア無線、そしてARISSスクールコンタクトについて判りやく解説する形で番組を制作することに力を入れて準備を進めました。
▲久木中学校の屋上に設置した八木アンテナ |
▲国際宇宙ステーションと交信するコントロールオペレータ |
▲ライブ配信の様子 |
●ドキドキの思いで交信当日をむかえる:
ARISSスクールコンタクトのための設備の設営は、2021年1月10日に実施し、3時間ほどで無事に完了。無線局とライブ配信を中心に機材の確認とリハーサルをおこないました。当日は生徒たちも参加する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されたため、生徒の参加は取りやめ、本番当日に生徒を含めたリハーサルをおこなうことにしました。
そして、2021年1月20日。ARISSスクールコンタクト直前でのリハーサルも完了。準備万端、本番を迎えることが出来ました。
国際宇宙ステーションからの信号は、交信開始予定時刻の17時18分になっても、なかなか信号強度が上がってこないため、ハラハラしましたが、仰角7度くらいから良好に受信でき、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士の元気な声を聞くことができました。この日のパスは、南西から北東に向かう、仰角70度程度の良好なパスでしたが、中学校の周囲が小高い丘に囲まれたロケーションが影響し、仰角が低いところでは、信号が安定しなかったようです。
開始予定時刻を2分過ぎた頃から信号が安定。その後は順調に生徒12名の質問と宇宙飛行士からの回答を全て完了することができました。そして、生徒の質問終了を伝えた後、なんと、国際宇宙ステーションに滞在中の野口聡一宇宙飛行士から「久木中学校頑張れー!」と素敵なサブライズメッセージがあり、会場から拍手が沸き上がり、感動に包まれました。
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今回のARISSスクールコンタクトにチャレンジした12名の生徒の皆さんにとって、この体験は一生の宝物になると思います。チャレンジすることで、夢を叶えることができるという事を、自分で体験できたのは、今後の人生に必ずプラスになることでしょう。また、このARISSスクールコンタクトで学んだ、宇宙や科学、アマチュア無線にさらに興味を持って、人生の方向性を考えるような機会になれば大変嬉しいです。
[レポート:佐藤 勝(JG6MDS、JA1OGI、AI2K)]
▲逗子市立久木中学校でのARISSスクールコンタクトに参加した生徒、先生、スタッフ一同
(2月5日)
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