平成22年9月11日に準天頂衛星(QZS=Quasi Zenith Satellite)の初号機である「みちびき」(QZS-1)がH-IIAロケット18号機で打ち上げられ、現在試験運用をおこなっています。 準天頂衛星システム(QZSS=Quasi Zenith Satellites System)は、現在使用している米国のGPS衛星システムの補完機能(測位可能時間の拡大)と測位精度や信頼性を向上させる補強機能等を有する無線航行衛星システムです。 平成23年9月30日に「実用準天頂衛星システム事業の推進の基本的考え方」が閣議決定され、その後は内閣府の主導により事業が推進されています(閣議決定の内容やシステム整備の意義については下記のURLを参照してください)。 ▽「準天頂衛星システムについて」(内閣府) 準天頂衛星「みちびき」の測位信号等は6種類あり、それぞれの送信周波数は、第1表のとおりです。準天頂衛星とアマチュア無線の関わりですが、中心周波数1278.75MHzのLEX(L6)と呼ばれる補強信号がアマチュア無線の周波数とオーバーラップしていることです。この信号は42MHzの帯域幅を使用していて、1200MHz帯のアマチュアバンドの1260〜1300MHzの全帯域と重なってしまいます。 測位衛星からの送信電力は123W(EIRP)ですが広帯域に拡散していることなどから、アマチュア無線業務への実質的な干渉問題は、ほとんど発生しないと考えられます。 しかし、LEX(L6)信号を使用した地上の測位システムが、アマチュア無線の電波により影響を受けることが「みちびき」を使用した実証実験で判明しています(下記URLの国土地理院の屋外実証実験報告書を参照)。 ▽高精度測位補正等技術(精密測量向け)の実証実験(国土交通省国土地理院) 測位システムのイミュニティー向上等の技術的な対策も進められているようですが、国際的にも無線航行衛星の業務は一次業務であり、1200MHz帯のアマチュア業務は、二次の業務に位置づけられています。 この周波数帯で運用する際は、優先される一次の業務に有害な影響を与えないことが前提となっていますので、その動向や関連の情報などに、十分に注目していく必要があります。 なお、政府(内閣府)は今後10年間程度を視野に入れて、平成25年度からの5年間を対象とした新たな宇宙基本計画の検討が進められています。 ▽「宇宙基本計画(案)」に関する意見募集について(内閣府) <第1表>準天頂衛星「みちびき」の使用周波数
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