3,150円の真空管ラジオキット発売中!

 5月26日、学習研究社の「大人の科学マガジン別冊」として、真空管工作 が発売になり、書店の店頭などに並んでいます。

 今回、発売になった「真空管工作」には、バリオメーター式1球真空管ラ ジオキットが付録となっています。
 大人の科学製品版として現在も発売されている、「真空管ラジオ(Ver.1、 Ver.2)」はともに、開閉式のバリコンを使用して選局する再生式のラジオ でした。アマチュア無線家のみなさんの中には、発売当時すぐに購入して 製作したという方々も決して少なくないと思います。

 今回の「真空管工作」付録の1球ラジオは、バリオメーター式と言って、 同調コイルを動かしてインダクタンス変えることで選局をおこなうもので、 同書テキストによるとバリコンが普及する以前の、1920年代に使用された 方式ということです。
 周波数の可変範囲が広く取れないこともあり、キットではコンデンサを 抱き合わせて、ハイバンドとローバンドの切替ができるようになっています。
 バリオメーター式コイルを使った同調回路には、トリマータイプのバリコ ンが組み合わされていますので、周波数の微調整も可能です。
 また受信回路は、レフレックス方式が採用されています。レフレックス 方式は1本の真空管を高周波増幅と低周波増幅の両方に使用する回路方式で、 少ない部品数で比較的高感度なラジオが手軽に作れるというメリットもあり、 往年の入門者用のラジオキットなどによく採用された回路です。

 このラジオに採用されている真空管は、1A2という中国製の7極管です。
 1A2は先に発売された「真空管ラジオVer.2」にも使用されている真空 管で、「真空管ラジオVer.2」では低周波増幅用として使用されていました が、この真空管はもともと中間周波増幅用に使われる、通称「コンバーター 管」と呼ばれるものであり、今回の1球ラジオのような回路により適した 真空管です。

 今回の1球ラジオの検波段には真空管は使用されておらず、ゲルマニウム ダイオードを用いた倍電圧検波となっています。
 電源としては、A電源(ヒーター電源)に単2乾電池1本(1.5V)、B電源 (プレート電源)として、006P電池を直列で3本(27V)を使用するように なっています。

 基板上の部品はすべて実装済みで、製作は巻き枠にリッツ線を巻いて作る コイル部の組み立て、ネジ止めによる配線作業、コイル、真空管などの部品 の取り付けのみで完成できます。
 コイル巻きがメインの作業と言ってもいいかもしれません。

 手先が器用な方ならば、さほど時間もかからず完成できると思いますが、 外枠コイルと内枠コイルのリード4本を基板にネジ止めする際に、どのリー ドが内枠なのか外枠なのか、間違えないようにしてください。なおキットの 製作説明には「リードの先端近くに、判別するための、マークを付けておく ように」としています。

 キットを実際に入手して、製作した事務局女性スタッフからできあがった 感想を聞いてみたところ「説明書の指示を読み違えて、コイルを何回か巻き 直ししなければならなくなって大変でした。でも、真空管の工作は、初めて だったので、できあがったラジオが鳴ったときは超感激でした」とのことで した。

 前2作の「真空管ラジオVer.1」「真空管ラジオVer.2」はちょっと高価なキットでしたが、今回の「真空管工 作」の1球ラジオは、3,150円でかなりお手ごろ価格です。前2作のように、スピーカーを鳴らすことはできませんが、気軽な気分で 作って楽しめるラジオです。

 また、テキストとなる本には、微弱電波モールス送信機や1球スーパーへ の改造のアドバイスなども紹介されていますので、完成の充実感を味わった 後で、これらの改造に挑戦してみるのもおもしろいかもしれません。

▽学習研究社「大人の科学.net」
http://otonanokagaku.net/

▽大人の科学マガジン別冊「真空管工作」の紹介
http://otonanokagaku.net/magazine/vtradio/index.html