■SuitSat-1のその後
【2008年9月26日】
発行が遅れていたSuitSat-1の受信記念証等について、先頃ARISSからARISS Japanに到着しましたので、当時、ARISS Japanに受信報告書をお送りいただいた皆様への発送を完了しました。
受信報告書をお寄せいただいたみなさん、遅くなりましたがご笑納ください。
なおここではARISSから発行された、3枚の記念証等をみなさんにご紹介しましょう。
▲受信記念証
▲Chicken Littleコンテスト・アワード
▲SuitSat-1ミッション協力者向け感謝状
ARISSでは、宇宙服衛星2号機の放出に向けて、現在、SuitSat-2の準備をおこなっています。
SuitSat-2には、1号機SuitSat-1には搭載されていなかった太陽電池を搭載し、また送信機についてはSDR(ソフトウェア無線)を使用したものとして、開発が進められています。
SuitSat-2のハードウェアの紹介や、放出に関する情報については、ARISSから正式発表がありしだい、JARL Webでも逐次お知らせする予定です。
2号機SuitSat-2の「新たな宇宙の旅」。今から楽しみですね。
【2006年9月11日】
AMSAT(アマチュア衛星通信協会)によれば、送信停止後も長期にわたり、宇宙の周回を続けていたSuitSat-1は、2006年9月7日16:00(UTC)ごろ南緯110.4度、東経46.3度付近(オーストラリア西部のルーウイン岬の南南西1400km地点)の上空で大気圏に突入したもようです。
世界で初めての宇宙服衛星SuitSat-1の長期に渡った宇宙の旅は、約7カ月でその幕を閉じました。
AMSATはサイト上で、 SuitSat-1の大気圏突入日を当てる「Chicken Littleコンテストの結果」を発表しています。
ARISS/AMSATでは、今回のSuitSat-1プロジェクトの経験を元に、さらに改良を加えた宇宙服衛星2号機SuitSat-2の放出計画の準備に当たっています。
改良された、2号機SuitSat-2が、どんな形で「新たな宇宙の旅」を見せて、そして聞かせてくれるのか今から楽しみです。
【2006年8月25日】
ARRLのニュースによれば、2006年2月3日(UTC)国際宇宙ステーションから放出され、世界のアマチュア無線家の注目を集めた 宇宙服衛星SuitSat-1(AO-54)は、2月18日に送信を停止して以来、約7カ月となる8月24日現在も、宇宙空間を周回中であると報じています。
宇宙工学の専門家は「SuitSat-1は120日間は、軌道上の周回するであろう」と予測していましたが、予想に反して、放出後約7カ月を経過した現在も、地球の上空約164マイル(約284km)上空の軌道の周回を続けている模様です。
ARISSとAMSAT(アマチュア衛星通信協会)は、2006年2月19日付けで、SuitSat-1の送信停止の正式表明とミッションの終了と同時に、2号機SuitSat-2の放出計画があることを発表しました。
さらにAMSATは、送信を停止したSuitSat-1が大気圏に再突入する期日を予想する「Chicken Little Contest」というコンテストを、 AMSATのWebサイト上で実施していましたが、送信を停止したSuitSat-1が予想を遙かに超えて、2006年8月24日現在も宇宙空間で周回を続けていることから、同コンテストの結果が出るのはもう少し先となりそうです(コンテストの詳細はAMSATのWebサイトをご参照ください)。
2006年8月24日時点で、ARISSとAMSATはロシア連邦宇宙局(Federal Space Agency : FSA)と、SuitSat-2計画について接触をおこなっており、ARISSのアメリカ代表者の一人であるARRL事務局のロザリー・ホワイト女史(K1STO)を連絡窓口としてチームを組織したもようです。
2006年10月5日〜10日に開催が予定されている、ARISS/AMSATの国際会議では、その運用寿命を延ばすために、バッテリーに加えて太陽電池パネルを装備したSuitSat-2の可能性について検討を進めていきます。
なお、8月24日現在で周回を続けている、送信を停止したSuitSat-1が、いったいいつまで宇宙空間の周回を続けるかは今のところ定かではないそうです。
【2006年5月1日】
2006年2月3日(UTC)国際宇宙ステーションから放出され、世界のアマチュア無線家の注目を集めたSuitSat-1ですが、 ARRL Webの4月28日発表のニュースによれば、2月18日に送信を停止して以来、約2カ月半となるSuitSat-1が、現在も地球を周回中であると報じています。
同ニュースによると、カナダのオンタリオ州ブロックヴィルの天体観測家ケビン・フェッター氏が、2006年4月18日、同氏の家の上空を飛行中のSuitSat-1のビデオ撮影した画像を4月28日、 Spaceweather.comのサイトで発表したと報じています。
SuitSat-1はもうしばらくの間、軌道上の周回を続けた後、大気圏に突入して燃え尽きる模様です。
なおARISSでは、2号機SuitSat-2の放出を計画しています。
【2006年2月21日】
AMSAT(アマチュア衛星通信協会)の掲示板やSuitSatリアルタイムレポートによせられるSuitSat-1の受信レポートが、2006年2月17日を最後に途絶えたそうで、残念ながらSuitSat-1は電波の送信を停止した模様です。
AMSATは2006年2月19日付けで、「End of the Line for the SuitSat Mission?」として、AMSATのWebサイト上でSuitSat-1の送信停止を報じています。
SuitSat-1は短命な衛星でしたが、AO-54のオスカーナンバーが与えられ、一般マスコミなどからも大いに注目を集めたユニークなアマチュア衛星として、アマチュア衛星史上にその名を残しました。
(TNX 7M3TJZ)
【2006年2月17日】
ARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)によれば、「この数日の世界各地のレポートを見ていると、SuitSat-1の信号がさらに弱くなってきているようです」とのことです。
またJAMSAT(日本アマチュア衛星通信協会=AMSATの日本組織)のメーリングリストなどにも流れているそうですが、入間市児童センター無線クラブの3人メンバーによって録音された、SuitSat-1の日本語メッセージは、カナダのRobert Stanley King氏(VE6BLD)が8日の朝(現地時間)、非常にクリアーな受信に成功しています。
【VE6BLD局が受信したSuitSat-1の日本語メッセージ(WMA形式)】
(TNX 7M3TJZ)
【2006年2月13日】
上の画面は、Calsat32で表示したSuitSat-1のOrbit#141
(2006年2月13日06:19のパス)での、SuitSat-1(ピンク色)と国際宇宙ステーション(黄色)の軌道です。北西から北東を抜けて東南東に消える軌道です。
軌道計算ソフトで見る国際宇宙ステーションとSuitSat-1の位置関係は、SuitSat-1が国際宇宙ステーションに先行しているのは変わりませんが、2006年2月6日に紹介したものと見比べてみると、かなり離れてきたことがわかります。
ARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)によれば、430MHz帯での国際宇宙ステーションのクロスバンド中継の方は、距離が離れすぎてきたので、そろそろ難しい時期に入った模様です。
安田さんに計算していただいたところ「2006年2月13日現在のSuitSat-1の高度差は約2.5km、期間差は約3分40秒、国際宇宙ステーションの周回速度は7.9km/sですので約1,700km離れています。この数値からみても、国際宇宙ステーションによる中継はそろそろ限界ですね」とのことでした。
また145.99MHzの方は、アンテナのゲインが20dBi 程度ないと受信が難しいそうです。
世界から集まっているボイステレメトリーのレポートによれば、バッテリーの電圧はまだ26V以上あるようで、SuitSat-1はもうしばらく送信を続けてくれるようです。
安田さんによれば、「入間市児童センター無線クラブ(JK1ZAM)でも、プリアンプを入れて、再度受信に挑戦してみようと思っています」とのことでした。
(TNX 7M3TJZ)
【2006年2月9日】
ARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)の情報によると、本日(2006年2月9日)、NASAから「SuitSat-1の現在のバッテリーの電圧は26V」という報告があったそうです。
本来のバッテリー電圧(28V)に近い電圧が出ていますので、SuitSat-1は、まだしばらくの間動作を続けることができる模様です。
各地のレポートの分析結果の詳細は来週にはわかるとの事ですが、パワーが上がらないのは、バッテリーが原因ではなく送信機自体の故障である可能性が高いということでした。
(TNX 7M3TJZ)
【2006年2月8日】
ARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)によると、本日(2006年2月8日)09:05のパスで、入間市児童センター無線クラブ(JK1ZAM)のシャックにおいて再度、145.99MHzの受信に挑戦し、天頂近くでVoice IDの一部のコールサイン(RS0RS)の部分の受信に成功しました。
信号は非常に弱く、QRMの中からようやく聞き取れたものだそうです。
JK1ZAM(埼玉県入間市)で、2006年2月8日
に受信したVoice IDの一部(wmaファイル形式)
(ヘッドホンを使って聞いてみてください。SuitSat-1のコールサインが聞き取れます)
JK1ZAMの144MHz帯受信設備は、受信機はFT-847、アンテナは12エレメントのクロス八木(写真の左のアンテナ、動作利得は12dBi)、追尾をしっかりおこなっての受信だったそうです。
2006年2月8日もSuitSat-1は、極めて弱いながらも宇宙からシグナルを送信し続けています。そして144MHz帯での受信の可能性も、まだまだ十分にあることがわかりました。
(TNX 7M3TJZ)
【2006年2月7日】
AMSAT(アマチュア衛星通信協会)は、2月6日付けで、SuitSat-1にAO-54(AMSAT OSCAR 54)のオスカーナンバーを付与すると発表しました。
これによりSuitSat-1はオスカーシリーズのアマチュア衛星の仲間入りを果たしました。
またARRL(アメリカの連盟)はARRL Web上に2006年2月6日付けで掲載となった、SuitSat-1の現状等に関する記事の中で、A.J Farmer氏(AJ3U)のホームページに、世界のアマチュア無線家が受信した、SuitSat-1の音声信号やSSTVの信号のオーディオファイル等が多数紹介されていると報じています。
多数掲載されている受信音声ファイルは、MP3形式で録音されています。
Farmer氏のホームページにはSSTVの再生映像なども紹介されています。
興味のある方は、ぜひご覧になってください。
【2006年2月6日】
上の画面は、軌道計算ソフトのCALSAT32で表示した、国際宇宙ステーションの2006年2月6日01:54のパスの画面です。SuitSat-1は現在、国際宇宙ステーションの前方下側を先行するような形で周回しています。
国際宇宙ステーションのアマチュア局がSuitSat-1の145.99MHzの信号を受信して、437.80MHzで地球に向けて再送信してくる、クロスバンド中継が昨晩深夜より開始されました。
SuitSat-1の145.99MHzでの送信信号は、国際宇宙ステーションでの受信においても非常に弱く、さらに衛星本体にスピンがあるため、その受信状況は衛星本体の姿勢によって信号が強くなったり弱くなったり、フェージングを繰り返している模様です。
国際宇宙ステーションがダウンリンクしてくる437.80MHzの10Wの中継信号は、この受信信号音そのものとなります。SuitSat-1の姿勢やバッテリーの温度変化にともない、信号の状況が大きく変化しますので、常時クリアーな音声が聞こえるわけではありません。
7M3TJZ安田さんからの情報によると、ボイスIDの一部を何度も繰り返すような現象もレポートされているようです。温度変化等による電源電圧の低下等で、コントロール回路が一時的にリセットされたような状態になっているのではないかと推測されます。
なお海外では、SuitSat-1のボイステレメトリー受信に成功したハムから、「SuitSat-1の電源電圧は7.0V(本来は28V)というアナウンスが聞き取れた」というレポートもあるようです。
【2006年2月5日】
ARISSの代表者のフランク・バウアー氏(KA3HDO)は、SuitSat-1の送信動作不良の原因は、
次の3点が考えられると語っています。
- バッテリーの凍結
- 何らかの原因で、無線機の出力が出ていない(無線機の故障)
- アンテナの接続不良
ARISS運用委員の安田さんの情報によれば、日本時間で昨日夜半から、「SuitSat-1が不完全ながらも動作を開始している」という、復旧に関する情報がAMSATの掲示板などに徐々に入り始めているそうです。完全復旧が望まれるところです。
NASAでは米国時間で2006年2月5日お昼(日本時間では今晩深夜)から、国際宇宙ステーションのアマチュア無線機を動作させて、SuitSat-1のシグナルを437.80MHzでクロスバンド中継送信することを試みる模様です。
国際宇宙ステーションからの430MHz帯の信号は10Wの予定ですが、ドップラーシフトの幅が広くなります(受信のアドバイスを参照してください)。
【2006年2月4日15:00現在】
AMSATが開設しているSuitSat-1のリアルタイムレポートのサイトには、世界のアマチュア無線家からレポートが書き込まれていますが、2006年2月4日15:00現在までに書き込まれたレポートによれば、SuitSat-1のシグナルは「極めて弱い」「内容が聞き取れない」という物がほとんどで、この時点では衛星の動作状況が完全に把握できていません。
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