受像設備側に原因がある受信障害

 テレビの受信障害のうち、アマチュア局の電波によるTVIと間違えられやすい障害が、「テレビ受信ブースター」が発振して起きるTVIです。

■テレビ受信ブースターによる障害の特徴

 テレビ受信ブースターが発振して起きるTVIには、次のような特徴があります。

  • 特定のチャンネルに障害が起こるのが一般的。
  • 画面全体に縞(しま)模様が現れ、この縞模様は不安定。
  • 比較的、長時間にわたって連続して障害が出る。
  • そのお宅や近所では、テレビ画面が真っ白または真っ黒になり、場合によっては音声がとだえることもある。
  • 風の強いときは、間欠的に障害が起きる。
  • 台風の通過後や豪雪時などに障害が起きる。

 アマチュア無線の電波による障害と大きく異なるのは、長時間にわたって連続的に起きるという点です。

<第1図>ブースター自体、または出力ケーブル、受信アンテナに飛び込み、このレベルが大きくなると発振する




<第2図>入力ケーブルと出力ケーブルをいっしょにまとめると、発振の原因になりやすい

 電波障害について、近隣の方から相談があった場合は、まずこの点を確かめることが重要です。
 テレビ受信ブースターが近接するアマチュア無線の電波の影響を受けて、引き起こす受信障害もあります(原因と対策はこちら)ので、相談を受けた近隣の方とお互いに協力しながら、原因を究明して対策を施すようにしましょう。

■受信ブースターが発振する原因

 テレビ受信ブースターの発振は、第1図のようにブースターの出力ケーブルから輻射された電波が入力ケーブルや受信アンテナに飛び込むことが主な原因です。
 つまり、カラオケなどでマイクとスピーカーの配置関係などでハウリングが起きるのと同じように、ブースターの出力信号がブースターに入力されてしまうため、発振を起こしてしまいます。
 第2図の例のような悪い配線や取りつけ方をおこなうと発振の原因となります。
また、利得調整を最大にするとかえって画質が悪くなったり、発振を起こす要因になりますから、適正に利得調整をおこなう必要があります。

■ブースターの発振による障害の調査

 ブースター発振によると思われる障害が発生した場合、その調査は非常に根気がいる作業になります。
  • ブースターの発振が非常に不安定である(障害が起きる日、時間が一定していない)
  • 1件あたりの被障害世帯数が数10世帯から多い場合には150世帯と広範囲である。
  • 障害が起きている地域を1軒ずつ調査しなければならない。

 具体的な調査は、該当すると思われる家庭のブースターに供給されているAC電源のブレーカーを「断」にして障害がなくなるかどうかのチェックをおこなっていくのが一般的ですが、アマチュア局が善意で協力できることには限度がありますから、障害が発生している家庭の方と十分に話し合って、NHKなどに相談するほうが良いかもしれません。

■テレビ自体の故障と思われる問い合わせ

 あまり数は多くはありませんが、希にテレビ自体の故障と思われる問い合わせもあります。
 たとえば、「テレビのリモコンを操作していないのにテレビがついた」とか、逆に「テレビを見ていたら突然テレビが消えた」といった症状です。
 このような現象が起きたお宅の近所にアマチュア無線の大きなアンテナが建っていたら、ほとんどの方がアマチュア無線の電波による障害と勘違いしてしまいます。
 この症状の原因は、リモコンでON/OFFする電源回路のスイッチの不良によるテレビ自体の故障と考えられ、実際にJARLから該当メーカーのサービスマンに対応をお願いしたケースもあります。
 電波障害を受けているお宅では、それが実際にアマチュア無線局の電波による電波障害でない場合も、アマチュア局の電波によるものと考え、しかも近くということで、アマチュア局側には言いにくいこともあって長期間、我慢しているケースが非常に多いようです。

 アマチュア局側から定期的にでも近くのお宅に声をかけ、電波障害の有無の確認を普段からおこなえば、今回ご紹介したようなアマチュア局の電波による障害以外の問題は早期に解決できることになります。
 電波障害の問題解決には、日頃からのご近所とのつき合いが大切です。


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