照明機器が原因となる電波障害

 照明機器から発生するノイズが,テレビやラジオ,アマチュア無線に与える電波障害とその対策の例を紹介します。

■街灯から発生するノイズ

 「毎日夕刻になるとテレビ画面に斑点をともなった帯状の障害が入る」、「近所にアマチュア無線の大きなアンテナがある」という問い合わせがありました。
 アマチュア局が電波を出して障害の有無を確認したところ、その電波による障害はまったくなく、原因はアマチュア局でないことが判明しました。
 後日、申告者がNHKなどに相談したことろ、申告者のお宅の道路に面した街灯(暗くなると自動的に点灯する)の、白熱球型の蛍光灯の電球が接触不良を起こし、ノイズを発生していたことが判明し、障害は取り除かれました。

■LED電球を使用した街路灯による電波障害

 2010年(平成22年)4月に新聞でも報道されておりますが、東北地方の商店街に設置された街路灯の電球をLED電球に取りかえたところ、街路灯が点灯している間、アナログテレビやFMラジオにノイズが入る受信障害が発生しました。
 この事例では、町やLED電球を製造していたメーカーが協力して解決できましたが、他の地域などでも障害が発生する可能性があることが予想できます。
 LED電球を製造しているメーカーも受信障害対策を施した電球を製造しているようですが、LED電球はインバーターの影響により、多少のノイズが発生します。
 今までの街路灯でも点灯時や球切れ時に瞬間的なノイズが発生する場合がありましたが、LED電球の場合は、点灯している間は続いてノイズが発生しますので注意が必要です。

■蛍光灯から14MHz帯にノイズが発生

 アマチュア局が電波障害の対策のために隣のお宅を訪問した際に、「以前から14MHz帯に混入するノイズについても併せて調査をおこなったところ、訪問先の2階にあるインバーター式の蛍光灯がノイズの発生源であることを突き止めた」と連絡がありました。
 さっそく、JARL事務局から該当メーカーの本社に問い合わせたところ、品質保証部門から連絡があり、サービス部門から人を派遣して対策に対応するとの連絡がありました。
 一方、蛍光灯の所有者は、アマチュア局からノイズ源は蛍光灯であることを聞かされ、購入した販売店を通してメーカーに対策を依頼したとの連絡がありました。

●メーカーが対策を実施

 2日後、販売店から依頼されたメーカーのサービス部門が所有者宅を訪問し、アマチュア局の立ち会いのもとで対策が実施されました。
 対策は、ACラインから照明器具に接続されているコードを市販のノイズフィルターに巻きつける方法でおこないました。
 アマチュア局側で確認したところ、1台の蛍光灯はS9まで振れていたノイズがS3までに低下しましたが、もう1台はS5までしかノイズレベルが落ちませんでした。
 メーカー、所有者およびアマチュア局の三者で話し合った結果、S5までしかノイズレベルが落ちなかった蛍光灯は、インバーターを使用していない普通の蛍光灯と交換することとし、とりあえず対策を終了することにしました。

 このように最近はさまざまな機器から、いろいろなノイズが発生しているケースがあります。当然、機器メーカーでも各種の対策を実施していると思いますが、すべての条件に対して完璧なノイズ対策を施すのは、なかなか難しいようです。
 同様なノイズでお困りの方の参考になればと思いますので、このようなノイズの対策について経験をお持ちの方がいらっしゃいましたら、JARL事務局業務課までご連絡いただければ幸いです。


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