アマチュア衛星AO-40を利用するには
      いよいよアマチュア衛星AO-40の試験運用が開始されました。北米・欧州・日本をはじめ世界のアマチュア衛星通信愛好者が,AO-40のアップリンクに挑戦し交信に成功しているようです。
 現在AO-40は,ビーコンやダウンリンクにSバンド(2400MHz)を使用した運用が中心で,アップリンクにUバンド(430MHz帯)を用いたMode-USと,同じくアップリンクにLバンド(1200MHz帯)を用いたMode-LSにより運用がおこなわれている模様です。

2400MHz帯の受信…機器の入手事情

 現在AO-40でダウンリンクに利用されている2400MHz帯は,市販の受信機が少ないこともあって,アマチュア通信衛星愛好者の間では,JARL NEWS1998年6月号で紹介した,米国ドレーク社の2400MHz帯受信コンバーターを改造し,V/UHF帯広帯域受信対応のトランシーバーを親機として,接続して受信しているケースが多いようです。
 この受信コンバーターは東京や大阪のマイクロウエーブ関連部品に強い一部の販売店などに多数出回っていたものですが,AO-40の打ち上げ成功,2400MHz帯でのビーコン送出開始とともに,アマチュア衛星通信愛好者の間で購入者が殺到し,現在はかなり品薄になっている模様です。

 マイクロウエーブ機器メーカーの一つ,マキ電機ではAO-40のダウンリンク受信に便利に活用できる,2400MHz帯受信コンバーターの発売を開始するとしています。受信に使用する2400MHz帯のアンテナについても同社の取り扱い製品のラインナップの中にあります。
 また,AO-40のアナログモードの運用はSSBやCWによるものですので,親機はもちろんSSBやCWが受信できるモデルでなければなりません。

AO-40の運用周波数と利用上の注意

 AO-40はHF帯の21MHz帯から24GHz帯まで,さまざまな周波数のトランスポンダーを搭載していますが,現在の試験運用で使用されているMode-LS/USのアップリンクとダウンリンクの周波数関係は次のとおりです(周波数の単位はMHz,ドップラーシフトは含まず)。なお,アップリンクとダウンリンクはスペクトラムが反転するので,SSBで運用する場合はアップリンクにLSBを,ダウンリンクにUSBを使用してください。FMでの運用はおこなわないでください。

アップリンク

ダウンリンク

ミドルビーコン

Uバンド

Lバンド

Sバンド

435.780〜435.495

1269.211〜1269.496

2401.495〜2401.210

2401.323

 運用時に絶対注意して欲しいのは次の3点です。

●まずは,ビーコン受信!

 最初に確認すべきことは,ビーコンの受信です。ビーコンが受信できない場合には,アップリンクを試みてはいけません。衛星側の運用の都合でビーコンが停止しているかもしれませんし,あるいは,自局の受信感度が悪くてビーコンが受信できないのかもしれません。後者の場合,ビーコンが受信できない設備は,交信をおこなう設備としての能力不足です。まずは,アップリンクを試みる前に,十分なワッチをおこなってください。

●送信パワーは小さく,受信感度はできるだけよく…

 次に,絶対に注意しなければいけない点としては,「アップリンク時にミドルビーコンの信号強度と同レベルのダウンリンクの信号強度を狙ってはいけない」ということです。ミドルビーコンの信号強度より−10dB以上低くというのが一応の目標値です。これをきちんと守らないと,トランスポンダーのAGC回路が動作し,トランスポンダーの感度を下げてしまうため,多くの利用局に迷惑をかけることになります。「送信パワーは小さく,受信感度はできるだけよく…」というのが,衛星通信の鉄則の一つです。無線機のSメーターの振れ方には個体差がありますので,帰り信号はできるだけ低いレベルで押さえてアップリンクするようにしましょう。

●ミドルビーコンに影響を与えないために次の周波数は送信禁止!

 Sバンドのミドルビーコンは,ダウンリンクのパスバンドのほぼ中央に位置しています。ミドルビーコンはAO-40の状態など情報を送信する重要な信号です。従ってアップリンクする際にはこの周波数に影響を与える可能性がある,1269.400〜1269.360MHz,435.685〜435.645MHzの間ではアップリンクをおこなってはいけません。

★        ★

 AO-40の今回の運用は,機器の動作確認のための試験段階のものです。今後の管制作業などの都合で,突然運用周波数やスケジュールなどが変更になる場合もあります。
 「1日も早く運用してみたい!」という方は,ここで紹介した運用マナーをしっかり守り,衛星に負担をかけたり他の利用者に迷惑をかけないよう十分注意しましょう。

(資料提供:JAMSAT)



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