9月2日・3日の2日間、東京都江東区有明の、東京ビッグサイト西3・4ホールで、日本のアマチュア無線界最大のイベント「アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2017」が開催されました(後援:総務省・文部科学省・東京都・NHK・読売新聞社・公益財団法人日本無線協会・一般財団法人日本アマチュア無線振興協会・日本アマチュア無線機器工業会・公益財団法人東京観光財団、協賛:電波新聞社・電波タイムス社・CQ ham radio・子供の科学)。 今年のハムフェアは「科学する心・探求する心 はじめよう アマチュア無線!」をキャッチフレーズに、青少年やビギナーの皆様方にも興味深く楽しんでいただける催事を用意して盛大に開催されました。 開催初日の開幕直前は、東日本の真横を縦断する大型の台風16号の影響を受けた雨の影響で、来場者の出足が心配されましたが、ハムフェア開会後は雨もすっかり上がり、開会後の11:00過ぎからクラブコーナーを中心に、賑わいを見せ、初日は約26,000名の来場者を迎えました。 また、JARL入会・継続受付のブースでは、JARLが現在取り組んでいる「催事限定・入会金免除キャンペーン」と「青少年お試し入会キャンペーン」等を適用した入会受付も実施、ブースでは多くの新規入会や各種手続きやサービスに関するさまざまなご相談等をいただきました。
今年のハムフェア2017特設コーナーでは、おもに青少年やニューカマーを対象とした「オリジナルQSLカードを自分で制作」「特定小電力トランシーバーを使って無線交信の体験」「モールス符号の音を聞いたり送出したりしてモールス通信を体験」「22歳未満の方を対象とした青少年のお試し入会受付」と、来場者全般を対象とした「コミュニティーFM局(FMぱるるん・FM西東京)によるサテライト放送室」「南極昭和基地からアマチュア無線60年のパネル展示」をおこないました。 ■モールス符号をユネスコの無形文化遺産へ! 特設コーナーの数ある催事の中で、特に大人気を集めていたのが、熱心なモールス通信愛好者のグループとして有名な「全国CW同好会(KCJ)」と「A1 クラブ」の協力でブース運営を進めた「モールス通信体験コーナー」です。 モールス通信体験コーナーの当初の想定は、これまでアマチュア無線になじみが少なかった若年層や子供たちが対象でした。当日は想定通りブースに訪れる多くの子供たちが楽しそうに「トンツー」を楽しんでいたのですが、その一方でナント!熱心なアマチュア無線家の方、そうではない方を問わず、大人の方々も多数ブースに訪れ、楽しそうにキーをたたく光景を多く見かけました。 そして9月2日初日の夕刻、このコーナーには、サプライズゲストをお迎えしたことを、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。同日開催のアイボールパーティに出席のため、東京ビッグサイトに駆けつけていただいた小渕優子衆議院議員(JA1LXG)です。 特設ブースでは、特定小電力トランシーバーを使った無線交信体験(FM電話による)コーナーもあったのですが、若い方からお年寄り、外国の方などその人気の差は圧倒的で、モールス通信体験の方がきわまっていたことが、ある意味印象的でもあります。 このように、アマチュア無線の世界で愛され続ける、モールス通信はまだまだ現役の通信方式として「無形文化遺産」にふさわしいものだとJARLは考えます。 ■オリジナルQSLカードを自分で制作コーナー 雨模様でスタートした今回のハムフェア。JARL特設ブースでの初の子供向けイベントで、時期も8月ではなく夏休みも終わった9月開催になり、子供たちはどのくらい遊びに来てくれるのかなぁと少しドキドキしていました。そんな心配をよそに晴れ間が見えた雨上がりの午後からは、次々に子供たちがオリジナルQSLカード作りのブースを訪れてくれました。 5歳の子から大人の方まで、みんなそれぞれ個性あふれるカラフルなQSLカードを作っていました。中には5枚も作ってくれた子や、2日間続けて来てくれた子もいて、スタッフとしてうれしい限りでした。 普段事務局におりますと、残念ながら無線を楽しむ子供たちに接する機会がほとんどありませんので、今回の特設ブースは私たちスタッフにとっても、大変楽しく有意義な時間となりました。 ■コミュニティーFM放送局サテライトスタジオ 今年のアマチュア局によるミニライブにも出演された、アマチュア無線家の演歌歌手である水田かおりさん(JI1BTL)がメインパーソナリティーをつとめるアマチュア無線の番組「CQ HAM FOR GIRLS」の公開生放送がおこなわれ、尾義則会長(JG1KTC)が出演しました。 ■南極昭和基地からアマチュア無線60年 2017年1月29日で日本の南極観測が始まってちょうど60年になりました。南極観測60周年の中で隊員の方によるアマチュア無線の運用は、1957年6月16日、第一次隊のJA1JG作間敏夫OMによる運用からスタートしました。当時の南極地域からの運用は、日本のコールサインによる公海上の運用扱いでした。 ■大好評だった陸上自衛隊第1師団音楽隊の演奏会 今年のハムフェアにおける初めての試みの一つに、吹奏楽団による演奏会があります。陸上自衛隊第1師団音楽隊による、軽快なリズムの楽曲による演奏会は、来場者の注目を集め、演奏開始直後から席数約200席のイベントコーナーの座席は一気に埋まりました。 一方、2日に分けて開催された、「アマチュア無線家の歌手の水田かおりさん(JI1BTL)、Masacoさん(JH1CBX)、渡部まいこさん(JJ0SDQ)、青木小夜子さん(JJ3WWS)によるミニライブも満席で、かなりの人数の立ち見が出るほど大好評でした。
今年の特設コーナーの大きなテーマの一つは「青少年に向けたアマチュア無線の楽しさ啓発」だったのですが、イベントコーナーで2日目、若い世代のアマチュア無線家が挑戦するそんな啓発活動に相当する2例の事例紹介が披露されました。 その活動事例の一つが、全国高等学校アマチュア無線連盟による「ジュニアハムの集い」で、参加メンバーによる詳細な活動報告や記念のじゃんけん大会などで大いに盛り上がっていました。 もう一つの事例は、IARUの第一地域(ヨーロッパ・アフリカ地域)が進めている、若者による子供たちへのアマチュア無線育成プロジェクトYOTA(Young sters On The Air「若者にオンエアーを!」というような意味)の活動に関して、キーメンバーの一人である、リサ・リーンダーズさん(PA2LS)の講演がおこなわれ、YOTAの活動の経緯や活動の効果などに関する詳細な報告がおこなわれました。 なお両イベントの冒頭では、JARLの尾会長による開催挨拶がありましたが尾会長は、JARLが現在取り組んでいる「アマチュア無線の青少年向け啓発活動」や「今後の取り組みの方向性」ほか、新イベントとして10月29日(日)に秋葉原で開催予定の「WAKAMONO(22歳未満)アマチュア無線イベント」への取り組みについて、来場者の方々に紹介しました。
今年のハムフェア会場内で感じ取れたのは、例年にも増して「行列ができるハムフェア」という印象です。 たとえば、総務省の電子申請のブースです。電子申請入力体験や説明を受けることができるこのブースでは、アンケートに答えるとプチ・エコバックやステッカーなどの記念品がもらえたのですが、今年のハムフェアの総務省ブースは、比較的間口が広いブースを一回りぐるーっと取り囲むような勢いで行列が伸び続ける光景も見られ、長い時間にわたって続いていました。 同様な行列が、アマチュア無線関連機器メーカーのブースやビジネスコーナーに出展のブースの一部でも見られたほか、製品展示やプレゼンテーションに関しても、まさに「黒山の人だかり」という言葉がよく似合う雰囲気でした。 ★ ★ 今年のハムフェアを象徴するイベントや出来事などを、駆け足でご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。 もちろん毎年熱気むんむんのクラブコーナーの大混雑は、例年と同様でアイボールや掘り出し物散策を楽しむ方が多く見られたかたわら、特別記念局8J1HAMもアクティブに運用がおこなわれ、親子連れの方々に大人気の「工作教室」や「電気の散歩道」では、子供たちが工作や科学体験に目を輝かせている姿も多数見かけることができました。 また、今年のハムフェアでは例年にも増して、海外のアマチュア無線団体の出展や来場者も多く見られ、国際色も豊かなアマチュア無線のお祭りとしての成長も併せて遂げていることがわかります。 初日の夕刻には、2010年以来の約7年ぶりとなる「アイボールパーティ」も盛大に開催され、200名を超える参加者の方々が、アマチュア無線談義を楽しみました。 ここからは、楽しかったハムフェアの各コーナーのようすを、オムニバス的に写真でご紹介します。
【ご参考】ハムフェア2017工作教室ご用意しました教材の、「FMスピーカーラジオ」と「モールス練習機」につきまして、「組立マニュアルを見てみたい」というお問い合わせを多数いただいております。閲覧をご希望の方は「FMスピーカーラジオ組立説明(PDF形式)」「モールス練習機組立説明(PDF形式)」でご覧いただけますのでご利用ください。 (TNX JH1CRF功力芳郎さん(教材制作))
★ ★ なお、来年のハムフェアは2018年8月25日・26日の2日間、東京ビッグサイト西2ホールで開催予定です。来年も東京ビッグサイトでお会いしましょう。
Copyright © 1997-2017 by The Japan Amateur Radio League, Inc. |