アマチュア無線の醍醐味を知る 
 ジャンル別楽しみ方コレクション 


 

アマチュア無線を楽しむ  アマチュア無線は本来、科学的な趣味です。
電子部品を利用して無線通信機器を作ったり、手作り無線機やアンテナを使用して交信し、電波の飛び方などを研究してきました。
電波のいろいろな伝わり方を極め、より遠隔地へ電波を飛ばして交信することに熱心な人たちもたくさんいます。 
グループや学校、個人などでも技術の習得に努めており、衛星通信、月面反射通信など広範囲にわたった技術向上が図られています。 また近年のコンピュータ時代を反映して、デジタル通信、画像通信といったデータ通信もますます盛んになってきました。
全国各地のアマチュア無線家が積極的に開催している技術講習会には多くの熱心なアマチュア無線仲間が参加し、新しい機器の製作や活用技術の習得に励んでいる姿もよく見かけられます。









●海外局との交信を楽しむ! 


世界には260万局を越すアマチュア無線仲間がいます。日本国内のみならず、全世界のアマチュア無線仲間が、みなさんとの交信を心待ちにしているのです。

アマチュア無線の世界では遠距離ことをDX(Distanceの略)と呼び、海外局などの遠距離の局との交信をDX通信と呼んでいます。海外局とのアマチュア無線による交信は、国際親善をになう一翼もになっているのです。 海外局などとの交信には、HF帯(短波帯)がよく利用されます。短波帯の電波は地球のはるか上空に位置する電離層に反射し地球のありとあらゆるところまで飛んでくれるのです。ノイズ混じり…強度が刻一刻と変化する(フェージング)弱い電波をキャッチして、海外のアマチュア局の声や信号を聞き取り、交信できたときの感激には、またひとしおのものがあります。 

海外交信を楽しむアマチュア無線家の中には、アワードの項やコンテストの項でもご紹介しますが、単に海外と交信するだけではなく、交信する地域を細かく区分して、できる限り多くの地域との交信を競い合う方々も大勢います。アマチュア無線を通じて、地理や国際的な見識を深めることもできるのです。





●エキサイティングなアマチュア衛星通信


さまざまな人工衛星が地球を周回しています。有名なところではBSのような放送衛星、CS/インテルサットのような通信衛星、ひまわりのような気象衛星などがありますが、全世界のアマチュア無線家のために打ち上げられた、アマチュア衛星も多数あるのです。 

「ふじ3号」(FO−29)はJARLが1996年8月17日に打ち上げたアマチュア通信衛星で、地上高度約900〜1,300km上空の極軌道を周回しながら快調に運用しています。多くの衛星通信ファンのみなさんが、ふじ3号を活用して内外のアマチュア局と衛星通信を楽しんでいます。

ふじ3号にはSSB/CWを使って楽しむアナログモードの他に、1200/9600bpsのデジタルモード(アマチュア衛星を使ったパソコン通信モード)も搭載されており、全世界のアマチュア無線家がメール交換を楽しんでいます。 またふじ3号には、FMモードで宇宙からのボイスメッセージを送信してくるデジトーカという機能も搭載されています。
このデジトーカが動作している時は手軽に430MHz帯FMハンディートランシーバーによる受信実験も楽しめます。

また、ふじ3号の先輩衛星である「ふじ2号」(FO-20)もアナログモードを中心に快調に運用中です。 もちろんここで紹介した「ふじシリーズ」以外にも、数々のアマチュア衛星が地球上空を周回中です。現在運用中のアマチュア衛星は次のとおりです。



主なアマチュア衛星通信に使用する送受信設備

衛  星  名
送 信 設 備
受 信 設 備
運 用 モ ー ド
AMSAT OSCAR-10
430MHz帯SSB/CW
144MHz帯SSB/CW
アナログモード
AMSAT OSCAR-16
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
DOVE OSCAR-17
−−−−−−
430MHz帯FM
デジタルモード
WEBERSAT OSCAR-18
−−−−−−
430MHz帯FM
デジタルモード(画像)
LUSAT OSCAR-19
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
FUJI OSCAR-20
144MHz帯SSB/CW
430MHz帯SSB/CW
アナログモード
  144MHz帯FM
430MHz帯SSB
デジタルモード(1200bps)
UoSAT OSCAR-22
144MHz帯SSB
430MHz帯SSB
デジタルモード
KITSAT OSCAR-23
144MHZ帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
KITSAT OSCAR-25
144MHZ帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
AMRAD OSCAR-27
144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード
FUJI OSCAR-29
144MHz帯SSB/CW
430MHz帯SSB/CW
アナログモード
  144MHz帯FM
430MHz帯SSB
デジタルモード(1200bps)
  144MHz帯FM
430MHz帯FM
デジタルモード(9600bps)
  −−−−−−
430MHz帯FM
デジトーカ
RS-10
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-12
21MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
  21MHz帯SSB/CW
144MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-15
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード
RS-16
144MHz帯SSB/CW
28MHz帯SSB/CW
アナログモード



みなさんも、地上局同士の交信では味わうことができない、受信信号音の独特の変化やエコーのようにちょっと遅れて返ってくる自分の声を聞いてみると、衛星通信の不思議な魅力にとりつかれてしまうはずです。
 また、宇宙通信をさらに壮大なスケールで楽しむものとして、月面反射通信(EME=Earth Moon Earth)があります。地球から月面に電波を当てて、その反射を利用して海外のアマチュア局と交信してしまおうというものです。ここまでくると、非常に高度な技術を要しますが、本当に夢いっぱいな楽しみ方です。 
好奇心旺盛なみなさんは、ぜひアマチュア衛星通信に挑戦してみてください。





●コンテストでハッスルしよう!

 「一定時間内にどれだけたくさんの局と交信できるか」を競い合うのが、アマチュア無線のコンテストです。国内の局との交信局数を競うもの、海外の局との交信局数を競うものなど、さまざまなコンテストが毎週、土・日・祝日を中心に日本国内はもとより全世界で多数開催されています。
 JARLが主催しているコンテストとしては、ALL JA、ALL ASIAN、6m&DOWN、フィールドデー、全市全郡などがありますが、全国の地方本部、支部、クラブが開催するコンテスト、海外のアマチュア無線関連団体などが開催するコンテストもあり、さまざまな局がこのコンテストを活用して、交信を楽しんでいます。また、厳密に言えばコンテストではありませんが、JARLでは毎年1月2日〜3日に新年を祝うQSOパーティー、毎年実施される情報通信月間の行事の一つとして6月1日〜7日にテレコムQSOパーティーを開催しています。
 コンテストに上位入賞するには、運用のテクニックも大事ですが、無線機やアンテナの整備、電波の飛び方の把握も重要です。それに、長時間の運用に備えて体調の整備も大切な要素です。もちろん、はじめから上位入賞をめざす必要はありませんし、「多くの局と交信するための絶好のチャンス!」ぐらいの気持ちで、初心者のみなさんもぜひ参加してみてください。コンテストファンのみなさんの中には、「何度となく参加しているうちに楽しくなって、いつの間にかヤミツキになってしまった方」も決して少なくないのです。




●個性豊かなQSLカードコレクションを楽しもう
アマチュア無線局がお互いに交信した後、その証明として取り交わす交信証がQSLカードです。QSLカードは通常、ハガキ大きさサイズで、片面に交信した際のデータを記入する欄がついた絵ハガキのようなものです。QSLカードの絵柄は、人によって実にさまざまで、イラストや美しい写真、版画によるものなど、発行者の個性やお土地柄が感じられる工夫をこらしたものも多く、見ているだけでも楽しくなってきます。JARLでは会員を対象として、QSLカード転送サービスを行なっていますが、熱心なハムは「毎月JARLからQSLカードが到着するのを楽しみにしているんですよ」という方も非常に多いようです。もちろん、海外局ともQSLカードを交換できますから、お国柄に富んだユニークなQSLカード交換を楽しみとして、日夜交信に励んでいる海外交信ファンもいます。





●アマチュア無線の自分史を残そう!

アワードに挑戦! アワードは、一定の条件を満たした交信記録を達成し、QSLカードを集めて申請すると発行してもらえる賞状のことです。 JARLでも各種のアワードを発行していますが、地方本部、支部、クラブ、新聞社、をはじめ個人発行のものなど、独自の申請要件で入手できる、さまざまなアワードが発行されています。もちろん、海外のアマチュア無線関連団体などからも、多数のアワードが発行されており、アマチュア無線の自分史を賞状の形で残すことが可能です。さらに、同じアワードでも運用周波数帯やモードを限定したり、地域を限定挑戦するなど、自分なりの条件や目標を定めてチャレンジすることで、アワードハンティングの楽しみ方は工夫次第で無限に広がっていきます。 みなさんもアワードハンティングでアマチュア無線の自分史づくりに挑戦して見ませんか。





●とっても便利なパケット通信に挑戦! 

このホームページをご覧になっているみなさんは、すでにある程度パソコンを使いこなされていることと思います。インターネットは有線回線を使った全世界規模のパソコン通信ネットワークですが、アマチュア無線の世界でもパソコンを有効に活用した通信ネットワークが張りめぐらされています。アマチュア無線版パソコン通信のことを一般的にパケット通信と呼びます。パケット通信は430MHz帯、1200MHz帯を中心としてさまざまなバンドで運用され、全国各地のアマチュア無線家たちがボランティアで開設したRBBS(ラジオBBS)局がリンクを結び、データや電子メールなどが全国的な規模で交換されています。さらに日本国内のみならず、アマチュア衛星やHF帯を使って、海外とのメール交換も行なわれていますから、まさに「アマチュア無線版のインターネット」といったところでしょう。





●画像通信に挑戦(
SSTV、ATV、FAX) 

「声や文字、電信などによる交信だけでは物足りない!」という人もいらっしゃるかもしれません。インターネットの世界でも、さまざまな型式の画像データや動画データの交換を楽しんでいますが、アマチュア無線の世界でも多くの愛好者が映像交換を楽しんでいます。1200MHz帯以上の周波数帯で、ビデオ動画映像を送信するATV(Amateur Television=アマチュアテレビ)、HF帯をはじめとしたさまざまなバンドで手軽に静止画像が送れるSSTV(Slow Scan Television=スロースキャンテレビ)やファクシミリ、その他にも先に紹介したパケット通信を活用して、圧縮したパソコン画像を交換しているケースも多いようです。ビデオカメラ、パソコンやデジタルカメラ、イメージスキャナー等の普及でグーンと取り組みやすくなった画像通信は、アマチュア無線の世界でも新たに注目を集めています。



●簡単!便利なレピータ活用! 

「パワーの小さいハンディートランシーバーでも、より遠くの仲間と交信したい!」 そんな願望をかなえてくれるのがレピータ(中継局)です。430MHz帯や1200MHz帯を中心として、全国津々浦々にレピータ局が設置されています(29/2400MHz帯などにもレピータ局があります)。レピータ局はJARLが地元の管理団体の協力で設置しています。 最近の430MHz帯や1200MHz帯ハンディートランシーバーやモービルトランシーバーは、レピータ運用周波数帯に周波数をセットすると、自動的にレピータ運用モードに切り替わってくれる機種がほとんどなので、レピータ運用の際に必要となるトーン周波数や周波数シフトなどの面倒な設定をしなくても、手軽にレピータを使用することができます。





●マイクロウェーブに挑戦! 

アマチュア無線をはじめとする無線通信の歴史は、低い周波数からスタートしています。国際通信へのHF帯の有用性を証明したが黎明期のアマチュア無線家たちであったことは、無線通信の世界で今も語り継がれる有名な話です。さて、マイクロ波帯と呼ばれる非常に高い周波数帯にも、アマチュア無線に割り当てられた周波数帯があります。マイクロ波帯の電波は光に近い性質を示します。アマチュア無線家にも、このマイクロ波帯に熱心に挑戦している人たちがいっぱいいます。大手メーカーの無線機やアンテナがほとんど登場していないため、マイクロ波に挑戦している人たちは、無線機やアンテナを自作してさまざまな通信方式による交信や実験を行なっています。移動体通信や業務衛星通信などの業務分野でも、マイクロ波帯の積極的な活用が進んでおり、それらの分野から利用者がまだ少ないマイクロ波帯アマチュアバンドが狙われています。さまざまな可能性を秘め、広大なバンド幅を持つマイクロ波アマチュアバンドを今後より活性化していくことが期待されています。





●クラブ・ミーティングの楽しみ! 

アマチュア無線の楽しみは、電波による交信だけではありません。ミーティングやイベントで親睦を深めることができるのも、アマチュア無線という同じ趣味を持つ仲間同士であればこそなのです。共通の話題あり…先輩から聞くアドバイスあり…いつもの交信では教えてもらえなかった運用のテクニックの伝授などなど、さまざまな楽しみが盛りだくさんです。また、普段の交信では気がつかなかった意外な事実(!?)に気がつくこともあります。とても落ち着いた上手なオペレートをする先輩ハムにミーティングで出会ったら、ナント親子ほど年の違う好青年だった!なんてことも…。全国各地でJARL各支部主催の支部大会や技術講習会、セミナー、そしてクラブ主催の各種行事などが開催されています。会員の方以外でも参加できる行事もありますから、みなさんも参加してみてはいかがでしょうか。





●ARDF競技を楽しもう! 

ARDFとは“Amateur Radio Direction Finding”の略称です。
アマチュア無線の電波を使った方向探査競技のことで、フィールドにセットされた送信機は一定の規則で電波を発射しますが、その電波の発信源を受信機で探査して見つけだすのです。
ARDF競技大会は通常、小高い丘陵地帯などで開催されるケースがほとんどなので、まさに電波を使ったオリエンテーリングと呼ぶことができます。
受信機を上手に操作して方向を探査する技術と、フィールドを駆けめぐる体力の限界への挑戦がARDF競技大会の神髄であり、またおもしろさでもあります。








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