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極屋の昭和基地で高層気象観測用気球を係留しているところ
▲極夜の昭和基地で15時の高層気象観測をするために気球を係留しているところ。 太陽が出るようになるのは、7月14日。

 IARU HF Championshipコンテストに参加します

 前回のリポートで南極の昭和基地が極夜を迎えたことをお知らせしましたが、あと一週間ほどで太陽が上がり始めます。太陽が顔を見せなかったのは一ヶ月半という短い期間でしたが、やはり太陽が待ち遠しいものです。
 さて、8J1RLは今年のIARU HF Championshipコンテストに参加することにいたしました。今まで8J1RLと言うと、日本国内ではご存じの方が多いのですが、海外の局に対して更に認知度を上げ昭和基地と南極観測のPRをするということ、それからこのコンテストに参加する世界中のコンテスターに貴重なマルチをサービスすることが目的です。
 したがって、チェックログという形でしか書類は出しませんが、昭和基地のアマチュア無線担当隊員一同張り切ってサービスをしたいと考えていますので、日本の皆さんもワッチをお願いしたいと思います。
(注:今年のIARUコンテストにJARLから「HQ局」として参加するのは 8N2JHQ と 8N3JHQ の2局です。この8J1RLは、HQ局にはなりませんのでご注意ください)

 しかしながら、前回お知らせしたとおり、南極域では5月末から激しい太陽活動に伴う磁気嵐や電波のじょう乱が一ヶ月以上も続いており、日本の電波はサッパリ聞こえて来ないという状態です。ですから、コンテスト当日も、急にコンディションが回復することは無いかもしれませんが、期待を込めて参加したいと思います。日本とのオープンがあった場合の交信可能バンドですが、今までの実績からすると大体以下の時間帯になるかと思いますが、あくまで予想ですので参考として見てください。なお、モードはCWが主体になるかと思います。SSBはヘッドセットが無いため、少々もたつく運用になるかと思いますが、コンディションさえ良ければSSBでも電波を出すかもしれません。

 7/12 21-24JST  14, 21MHz
 7/13 00-09JST  7, 14MHz
     09-18JST  オープンはない?
     18-21JST  21, 28MHz

 それから、参加する皆さんはパソコンを使用してコンテストログのソフトをお使いになる方が多いでしょう。その場合、カントリー・エンティティが事前にデータとして準備してあるかと思います。8J1RLでもあるコンテストログを使って参加しますが、8J1RLのITUゾーンナンバーが「74」になっていました。ソフト作者の方を責めるつもりは毛頭ありませんが、8J1RL(および8J1RF, 8J1RM)のITUゾーンナンバーは「67」ですので、できればデータの修正をしておいて頂ければ混乱が少ないかと思います。

 さて、今回はアマチュア無線と直接関係は無いのですが、無線機を使った気象観測の話を少しお届けします。昭和基地では、1日に2回、上空約30kmまでの大気の状態を観測するために、レーウィンゾンデという観測機器を直径約1.5mの気球に吊り下げて飛ばしています。このゾンデは、日本国内で気象庁が観測に使用しているものと全く同じもので、昭和基地でも気象庁の隊員により観測が実施されています。

 このゾンデには、気温、湿度、気圧を測るセンサーがあり、気球が割れる上空約30kmまでの観測結果を1600MHz帯、0.1Wの送信機で昭和基地に向けて送ってきます。地上では2mのパラボラアンテナでこの電波を受信し、アンテナの方位角、高度角及び気圧、気温から求めた高度を用いて上空の風向風速を求めています。
【7月7日昭和基地発】

(第44次南極地域観測隊 芝崎)

Tnx 国立極地研究所