■野口聡一宇宙飛行士が出身小学校の後輩の児童たちと交信に成功 斑鳩小学校ARISSスクールコンタクト 「宇宙に自分の声が届いたよ」
3月9日、兵庫県太子町「斑鳩小学校」の子供たち15名が、現在国際宇宙ステーションに滞在中の野口聡一宇宙飛行士とアマチュア無線を使った直接交信「ARISSスクールコンタクト」に成功しました。
今回の成功で日本国内では42例目、関西では14例目の成功となります。
このスクールコンタクトのサポートをおこなった、「関西ARISSプロジェクトチーム」のJL3JRY屋田純喜さんから、準備から実施当日に至るまで詳細なレポートをお送りいただきましたのでご紹介いたします。
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今回のARISSスコールコンタクト開催は、クルーペック(搭乗員による指定校との交信)による日本語でのコンタクトで、開催校である兵庫県太子町「斑鳩小学校」は野口宇宙飛行士が小学5年生まで過ごされた母校です。
昨年末にARISS委員会よりお話があり、関西でのARISSスクールコンタクト開催をサポートしている「関西ARISSプロジェクトチーム」として現地兵庫県太子町へスクールコンタクト開催の打診をおこないました。
野口宇宙飛行士が名誉町民でもある太子町は、「大変光栄なこと」として、町を上げての取り組みとして協力が決定し、斑鳩小学校でのARISSスクールコンタクト開催に向けた準備がスタートしました。
「斑鳩小学校」では、さっそく実際に交信する子供たち(15名)の選出と野口宇宙飛行士への質問についての検討がおこなわれました。
当初学校では希望する子供たちの中からの選出を予定していたそうですが、希望者がたいへん多く、質問内容については各クラスの代表の質問として、また交信する子供たちは公平にくじ引きで決定されたそうです。
年明けからは、近畿総合通信局へのARISSスクールコンタクトのために臨時に開設する社団局(8J3NS)の開局申請、そしてコントロールオペレーターは地元太子町のアマチュア無線家、妻鹿さんJA3EGZに決定しました。
NASAよりARISS委員会を通じてARISS開催候補日の連絡があった2月下旬頃からは、開催校屋上へのアンテナ設営とコンタクトに参加する15名の子供たちへ、これからはじまるARISSスクールコンタクトの説明や国際宇宙ステーション(ISS)について勉強してもらおうと「ARISS教室」をおこないました。
今回子供たちがおこなった野口宇宙飛行士への質問の中には、野口宇宙飛行士がISSでおこなった年始の行事の書き初めの中で書いた「和」という漢字について、斑鳩小学校ゆかりの「聖徳太子」との関係への質問など、さすがは野口宇宙飛行士の母校だけあって、ISSなどに詳しい子供たちが多かったようで、それだけにARISS開催を楽しみにしているという強い印象が残りました。
会場となった開催日当日の体育館には、同校の子供たちや保護者の350名を超える来場者のほか、太子町長そして来賓として近畿総合通信局をはじめ多くの関係者が集まりました。また多くのメディア報道(テレビ局5社・新聞社8社)からの取材があり、緊張の中、野口宇宙飛行士と15名の子供たちの交信を見守りました。
しんと静まり返った16:28、3度目の8J3NSコントロールオペレ−ターのコールにISSの野口宇宙飛行士の返信があり、会場は張り詰めた緊張から大きな感動へと変わりました。
途中ISSからのパケットのダウンリングがあり、少し中断するというハプニングもありましたが無事混信もなく15名の子供たちの質問がおこなわれました。
またコンタクトの最後には会場の子供たちへ「日本へ帰ったら太子町にお伺いしたいと思います」という野口宇宙飛行士からのメッセージがあり、終了後は来場者の大きな歓声と拍手が沸き起こりました。
交信イベント終了後、「宇宙に自分の声が届いた!」と最高の笑顔を見せてくれる子どもたちや、ARISSコンタクトの感動を涙ながらに寄せる地元太子町の職員など、私たちサポートチームにも大変印象深い感動的なイベントとなりました。
【関西ARISSプロジェクトチームとは】
関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM)の実行委員を中心としたボランティアメンバーで、2002年に大阪池田市でのARISSコンタクトより、関西でのARISSスクールコンタクトの開催をサポートしています。
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(TNX JL3JRY)
(3月15日)
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