■茗溪学園高等学校・中学校科学部無線工学班(JJ1YAF)の
生徒たちが星出彰彦宇宙飛行士との交信に成功
10月23日、茨城県つくば市にある、茗溪学園高等学校・中学校の科学部無線工学班(JJ1YAF)の生徒たちが、国際宇宙ステーションに長期滞在中の星出彰彦宇宙飛行士との交信に成功しました。
既報のとおり茗溪学園は星出彰彦宇宙飛行士の出身校。JJ1YAFのスクールコンタクトは、8月17日に1回目がスケジュールされ、実施に至りましたが、残念ながらこのとき交信は失敗に終わり、再スケジュールされたものです。今回の再スケジュールに当たって、8月17日の時点ではアマチュア無線の免許を未取得だった生徒たちも無事免許を取得して、交信メンバーに加わり、総勢27名(当日の参加は26名)での交信再チャレンジとなりました。
生徒たちが8月に質問する予定だった内容は、どちらかと言えば「宇宙の科学や、国際宇宙ステーションの業務などを宇宙飛行士に問う」という内容が多かったようです。
しかし、今回の再チャレンジに当たって、生徒たちは質問予定の内容を1回目の時点の「宇宙飛行士の星出彰彦さんに聞く」という質問から「母校の先輩の星出彰彦宇宙飛行士に聞く」という内容が主体になる質問に替えたそうです。
▲会場準備のようす。生徒たちはたいへん手際よく進めていた |
▲会場準備の終了後、最終リハーサルがおこなわれた |
さて当日、顧問の中村泰輔先生(JI1RGZ)の指導のもとで、会場の設営、アンテナや機器の配線等は生徒たちにより、放課後の15:30から開始されました。約2カ月前の会場設営の経験もあるのでしょう。たいへん手際よく準備が進んでいくようすがありありと感じ取れました。
一応の会場設営が終え、数回の最終確認のリハーサルを実施。いよいよ、星出先輩との交信の仕切り直しの時が近づいてきました。
▲当日交信に挑戦した生徒たちは26名
しかし、無線設備の最終送信のテストの段階で思わぬアクシデントが確認されたのです。どうやら正常に電波の送信がおこなわれていないということに、メンバーが気付いたのは18:00ごろ。交信開始の予定時刻は20:09です。タイムリミットまで約2時間。
原因の究明と対策に奔走する機器担当の生徒たち。定刻までに原因を突き止めて、対策を施さない限り交信の成功はありません。このとき一瞬とは言え、残る参加者の間では8月17日の悪夢が蘇っていたようにも見えました。
そして18:30ごろでしょうか、機器担当の生徒たちにより原因が発見されました。中継用の同軸コネクターの一つが接触不良になっていたのです。速やかに、同軸コネクターの付け替えが終了し、再度送信テストをおこなったところ正常な送信が確認され、こうしてようやく全ての準備が整ったのです。
開会セレモニーの後、生徒たちは交信開始時刻を待ちました。
▲無線機の最終送信テストのようす |
▲交信中のひとこま |
定刻の20:09の少し前から、顧問の中村先生が星出宇宙飛行士の呼出を開始、数回のコールの後、シグナルが弱いながらも星出宇宙飛行士からの応答が得られ、星出宇宙飛行士と母校の後輩との待望の交信が開始され、交信に参加した26名の生徒のうち23名の生徒たちの質問に回答をもらうことができました。
JJ1YAFのスクールコンタクトは、こうして無事大成功をおさめました。今回の大成功には、前回の失敗の際のさまざまな経験が、十分生かされていたようにも見えます。JJ1YAFにとって8月の交信失敗は、星出先輩との交信成功のための、なかなか体験することができない、たいへん貴重なリハーサルだったのかもしれません。
(10月25日)
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