■青少年の科学への興味を引き出すことを目標とした 各種学会等との連携・合同活動
第2回「おもしろ科学教室」にイベント協力(東海地方本部)
▲東海地方本部の「キツネ(電波)を探せ!FOXハンティング」に参加したご家族と運営スタッフのみなさん。撮りますよ!ハィッ!ポーズ
国立大学法人名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区不老町)内「IB電子情報館」大講義室で、平成22年1月11日、第2回「おもしろ科学教室」が開催されました。
2009年の第1回に参加した多くの子供たちや保護者から「毎年このようなイベントをやって欲しい」という要望が「おもしろ科学教室」事務局に多数寄せられたことから、2回目の開催の運びとなりました。
この「おもしろ科学教室」は、応用物理学会東海支部、 電気学会東海支部、 電子情報通信学会東海支部、 日本アマチュア無線連盟東海地方本部、 日本赤外線学会、 日本物理学会名古屋支部、 プラズマ・核融合学会、 日本弁理士会東海支部、 NPO法人アスクネット、名古屋大学、 愛知県の主催、 JSTイノベーションプラザ東海の共催、中日新聞社、 NHK名古屋放送局の後援で、「日本の次世代科学技術を担う青少年の科学啓発のための学協会等連携による地域社会を対象とした科学技術理解増進を趣旨」として開催されたものです。
「青少年の科学への興味を引き出すことを目標とした各種学会」や「大学」「自治体」、そしてJARLほかの関連団体の連携・合同計画による「一般青少年に向けての体験型科学啓発イベント」は、大変貴重な実施の例の一つと位置づけられます。
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▲左は各団体のイベントに先立っておこなわれた講演会場のようす。中央は開会の挨拶をする高井吉明教授。右は、「博士と一緒に学ぼう!生きものと“いでんし”」の講演を担当した美宅成樹教授
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●参加各団体の展示イベントもレベルアップ
2009年の第1回は名古屋大学出身の3名の研究者のノーベル賞受賞を記念したテーマイベントとして開催され、テーマイベントの一部に各団体のイベントを盛り込んだスタイルで運営がおこなわれていましたが、第2回目となる今回は、参加各団体の「科学に関する展示や理科工作(ゲーム)」をイベント全体の核に据えた形で開催されました。
参加各団体の展示は、2009年の第1回と比べてレベルアップした、かなり作り込まれたものも見られ、どの団体のブースも前回にも増して来場の子供たちの大人気を集めていたようです。
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▲参加団体のブース展示は初回の第1回の時に比べると、より磨きがかかったものが数多く見られた
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●アマチュア無線のブースは今年も「モールス符号で遊ぼう」が大人気!
JARL東海地方本部の展示ブースは、第1回と同様「モールス符号で遊ぼう」に子供たちの行列ができました(写真右)。
モールス符号の概念は子供たちにとってもわかりやすく、またその場ですぐ体験できることが、毎回人気を集めている理由なのでしょう。コーナーでモールス符号を体験した子供たちの中には「もう1回やってみよっ!」と、嬉しそうに何回も行列を並び直し、数回にわたって体験を楽しむ子供たちや、初めての体験でアッ!という間にモールス符号を覚えてしまった女の子も見られたようです。
子供たち曰く「特に数字の符号なんか簡単じゃん!すぐ覚えられるよ」とのこと……まさに「ちびっ子パワー恐るべし!」と言ったところです。
●ますます充実した各団体のメイン催事
メイン催事ですが、事前に申し込みのあった子供たちが理科工作などに挑戦しました。熱心に工作に取り組む子供たちの姿が印象的でした。
さてJARL東海地方本部は、参加各団体のメイン催事が工作を主体としていることから、第1回と同様、工作ではなくゲーム感覚で電波を体験できる「FMラジオを使ったFOXハンティングと特定小電力トランシーバーを使った交信体験」を実施しました。
第1回は「カラス」や「ニワトリ」などのユニークな音を送信する3つのFOX(FM微弱電波送信機)を探すルールでしたが、今回はFOXがナント!8台に増えて、よりゲーム性の高い形での実施となりました。
FMラジオを片手にFOXを探して元気に駆け回る子供たちの間からは、競技中にも「ムッチャおもしろい!」という言葉も聞くことができました。
一方、特定小電力トランシーバーによる交信体験では、新たな教材として「LED、ダイオードとコイルで作る「電波を目で見てみよう!簡単電波チェッカー」を参加者人数分用意して解説し、子供たちの関心を集めました。この簡単電波チェッカーは、科学技術館で毎年開催される「青少年のための科学の祭典全国大会」に出展している東京都支部が、工作教材の一つとしているものと同様のものです。
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▲FOXハンティングのようす。イベント終了後に参加した子供たち全員に修了証が手渡された。
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なお東海地方本部のこのイベントに参加した、42名の子供たちへのアンケートの結果は良好で、参加者のうち39名が「おもしろかった」と回答しており、うち3名が「アマチュア無線の免許を取りたい」と答えています。
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おもしろ科学教室の代表責任者の高井吉明教授(応用物理学会東海支部評議員、名古屋大学)は第2回の大成功について、
『このおもしろ科学教室は、特に明確な組織によって定常的に運営されているものではなく、実施日の成人の日より2ヶ月ほど前から科学啓発活動、科学技術理解増進という「志しを同じくする諸団体」がその開催に向け協力しあう体制が形作られ、開催後はまた、それぞれの団体の活動に戻るという、緩い連携のもと実施されるものです。
その特徴は「単に学会だけではなく、いろいろな団体が、それぞれ得意な分野で能力を発揮し実施する」という仕組みになっていて、このおもしろ科学教室への参加は全く自由であること、運営についても資金援助、人的派遣など可能な団体が可能な範囲でおこなうことなどです。
まだ2回目ですが、冬の時期に開催するこの種の工作教室が少ないこと、小学校1・2年生の低学年生徒も対象としていることなどもあり、今回も一般家庭の反響は大きく,募集開始から2日ほどで定員が一杯になるほどでした。
科学技術の継承・発展には人材の育成が不可欠です。ぜひ、今後も継続して行きたいと考えております』
と語っており、今後も各団体の連携・協力を深め、イベントの輪が広がっていくことが期待できそうです。
また、各地においてもこのような「JARLが催事のお手伝いができる協力の場」が、ぜひ大いに広がって欲しいものです。
(1月15日)
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