■盛岡市子ども科学館に設置した8J7Aでのスクールコンタクト成功
2010年1月28日15:50〜15:59(JST)において、岩手県盛岡市盛岡市子ども科学館で、野口聡一宇宙飛行士による2度目の、ARISSスクールコンタクトが成功しました。
このスクールコンタクトは、東北地方では3例目(国内で40例目)となります。とりまとめをおこなったJE7RJZ 野田尚紀さんから、レポートをいただきましたのでご紹介しましょう。
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アマチュア無線盛岡クラブでは、創立60周年の記念事業の一環として、次代を担う子供たちに科学技術への興味を持たせるきっかけを作ろうと、2008年10月に参加を申請しました。当初は日本人初のISS滞在となる若田光一宇宙飛行士との日本語による交信を希望しての申込みでしたが、私たちへ交信の順番が回る前に若田さんは帰還しました。
野口宇宙飛行士との交信の承認をいただいたのは2009年12月29日でした。それまで準備していた機材もありましたが、ここからが怒涛の準備となりました。
年明け早々に公文書を整え、東北総合通信局へ臨時局を申請したところ、実質1日というスピード発行で、ARISSの頭文字を付した8J7Aのコールが発給されました。総通のご理解と配慮に感激。1月7日のことです。
野口宇宙飛行士との交信でマイクを握るのは、ボーイスカウト盛岡5団に所属する小・中・高校生11名です。この11名のうち、アマチュア無線の資格を持つ高校生ら5名のほかは従免を持たない6名です。ボーイスカウト盛岡5団では、日ごろの活動でもアマチュア無線を活用していますが、冬休み返上で交信の予行練習を重ねました。
1月16日朝、ARISS安田委員から交信日時が1月28日に決まったとの連絡が入り、その日の夜に開かれたクラブの新年会で具体的な計画がメンバーに公表されました。この時期の盛岡は厳寒期です。翌17日には、臨時局を置かせていただく盛岡市子ども科学館の屋上で、まず雪かきをおこない、仮設アンテナの工事を一気におこないました(写真右)。報道機関に対しては、18日にプレスリリースを流し、22日に記者会見を開いて、スクールコンタクト成功への理解と協力、そして取材報道をお願いしました。
22日の夜には、野口宇宙飛行士にとって初めてのスクールコンタクトが八戸の湊中学校の生徒とおこなわれるということで、記者会見後その足で、八戸の交信会場へ見学にお邪魔しました。盛岡から八戸までは新幹線で30分ほどの距離です。会場では、鮮明な野口さんの声に感動してそのようすをビデオに収め盛岡に帰りました。
翌23日、八戸で撮影したビデオを見ながら、ボーイスカウトの子供たちと最初で最後の交信練習会をおこない、私たちの成功を祈りました。
そして迎えた28日。当初予定より5分ほど遅れて15:54に、野口宇宙飛行士から「盛岡の皆さん聞こえますか」との声が会場に響き渡りました。NA1SSと8J7Aとの交信成功の瞬間です。この後11人の子供たちの質問に対し、野口宇宙飛行士から10問の答えが返ってきました。なかには誕生日を迎えたばかりの子供に対して「お誕生日おめでとう!」と声を掛けられるというサプライズもあり、およそ100名の見学者が詰め掛けた会場は大いに沸きました。宇宙にいる野口さんとの交信の成功は、子供も大人も感動を共有することができ、生涯忘れられない1日となったことは言うまでもありません。
これほど短期間で準備ができたのは、コーディネートに奔走いただいたARISS安田委員をはじめ、東北総合通信局など関係機関のご理解とご協力あってのことです。スクールコンタクトへの参加の機会を得させていただき、本当にありがとうございました。
(レポート:アマチュア無線盛岡クラブ会長 JE7RJZ 野田尚紀さん)
(2月2日)
(2月9日)写真掲載
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