January 2014 NEWS TOPICS INFORMATION


日本無線協会開催、平成26年度アマチュア無線技士国家試験日程

 公益財団法人日本無線協会は、平成26年度のアマチュア無線技士国家試験の開催日程を正式発表しています。

○第一級アマチュア無線技士
4月期:4月5日(土)、8月期:8月17日(日)、12月期:12月6日(土)
○第二級アマチュア無線技士
4月期:4月6日(日)、8月期:8月16日(土)、12月期:12月7日(日)
 1アマ・2アマとも試験会場は例年どおり、東京都、札幌市、仙台市、長野市、金沢市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、熊本市、那覇市となります。

○第三級および第四級アマチュア無線技士
 試験地と開催月は次のとおりです。

  • 東京:平成26年5月、7月、9月、11月、平成27年1月、3月
  • 宇都宮:平成26年10月
  • 札幌:平成26年4月〜平成27年3月の各月
  • 仙台:平成26年5月、8月、11月、平成27年2月
  • 青森:平成26年6月
  • 長野:平成26年4月、7月、10月、平成27年1月
  • 新潟:平成26年6月、11月
  • 金沢:平成26年4月、6月、8月、10月、12月
  • 名古屋:平成26年4月〜平成27年3月の各月
  • 静岡:平成26年8月、平成27年1月
  • 大阪:平成26年4月、5月、6月、8月、9月、11月、12月、平成27年1月、3月
  • 広島:平成26年5月、8月、11月
  • 松江:平成26年
  • 岡山:平成27年3月
  • 松山:平成26年5月、7月、11月、平成27年3月
  • 高松:平成26年9月
  • 熊本:平成26年6月、10月、平成27年2月
  • 鹿児島:平成26年6月
  • 福岡:平成26年8月、12月
  • 大分:平成26年9月
  • 長ア:平成26年11月
  • 北九州:平成27年3月
  • 那覇:平成26年5月、8月、11月、平成27年2月
 また、日本無線協会本部(東京)では、平成26年4月〜平成27年3月のうち、8月を除く第3日曜日に当日受付即日結果発表の3・4アマ国家試験を開催するほか、日本無線協会近畿支部では、平成26年7月19日・20日に大阪府池田市で開催の第19回関西アマチュア無線フェスティバルに併せて、両日、大阪府池田市の池田市立カルチャープラザで、第三級および第四級アマチュア無線技士の臨時試験(当日受付即日結果発表)を実施します。

 なお詳細な日程などは、日本無線協会のWebサイトでご確認ください。

【第一級及び第二級アマチュア無線技士国家試験案内(PDF形式)】
http://www.nichimu.or.jp/kshiken/pdf/ama1-2.pdf
【第三級及び第四級アマチュア無線技士国家試験案内(PDF形式)】
http://www.nichimu.or.jp/kshiken/pdf/ama3-4_2526.pdf

(1月27日)


「詳細」


関西ハムシンポジウム2014盛大に開催される(1月19日、兵庫県尼崎市)

関西地方はもとより全国から約1,100名が来場!今年も大盛況だったシンポジウム

 1月19日、兵庫県尼崎市のエーリックで、新春恒例のJARL兵庫県支部・JARL大阪府支部共催による、関西ハムシンポジウム2014が盛大に開催されました。今年も全国から多くの来場者(主催者発表1,100名)が会場に押し寄せました。

 阪神間では珍しく早朝はうっすら雪が積もる寒い朝となりましたが、今年も朝早くから開場を待つ来場者が全国から集まり、人気のジャンク市会場は、掘り出し物を探す人で、開場後すぐに満員となりました。

シンポジウム「新生JARLの歩みと未来」

 今年の関西ハムシンポジウムの大きな変更点は、ジャンク市が開催されている多目的ホールの中に、 シンポジウムスペースを設けたことでした。午前中には、DXペディションを数多く経験しているJH4RHF田中さんをお招きし 「アマチュア無線を通して世界を見る」と題したテーマで講演いただきました。 アマチュア無線という違った角度から見た世界観はDXerだけでなく、多くの参加者にとっても魅力いっぱいの内容でした。

 また、午後からはJARL稲毛 章会長(JA5MG)・長谷川良彦副会長(JA3HXJ)・伊部雅一副会長(JA0OZZ)をパネラー としたシンポジウム「新生JARLの歩みと未来」(右の写真)が開催されました。JARL事務所の移転のお話や、現在JARLが抱えている問題などをテーマに話し合われました。また、参加者からの鋭い指摘に対してもパネラーが丁寧に解説するなど、新しいJARL運営について共有を深めることができたと思います。
HAM LOG 活用術  ジャンク市の会場内でシンポジウムを開催するというレイアウトについては、会場内のざわつき対策などスタッフの中でも賛否があり、会場レイアウト作りなどに苦労しましたが、来場者に気軽にシンポジウムに参加してもらいたいという大きな目的は狙い通りで、企画から準備していたスタッフはシンポジウムの盛り上がりにホッとしていました。

 さらに、今年は「アイコム、JVCケンウッド、八重洲無線」の各社メーカー展示もおこなわれ、各メーカーによる最新機器の試聴会など、来場者のお目当ての一つにもなっていました。
 また、同会場の会議室では、毎年7月に開催される関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM)と同様な形で、DXCCのフィールドチェックや各種の講演・講座が開催され、どの講座も人気を集め、来場者にはさまざまな新しい発見や出会いがあったようです。

 お昼に開催される「新春パーティー」も関西ハムシンポジウムの大きな魅力のイベントの1つです。いつもは会えない遠方の方々とのアイボールQSOや、恒例のハンディー機が当たる「LC共振回路の共振周波数クイズ」ではわすが数kHz違いの回答者があらわれ大いに盛り上がりました。

 また、会場となったエーリックの屋外展示スペースでは、移動運用の紹介として、自作磁界ループアンテナや釣竿アンテナなど実際の移動運用をイメージした展示説明や、話題の軽量インバーター発電機のACラインノイズの“見える化”実演など、寒い中でもイベント参加者を飽きさせない盛りだくさんの内容でした。

当日受け付けたQSLカード(ダンボール12箱)

 ちなみに、今年の関西ハムシンポジウムにご来場の会員の方々から受け付けましたQSLカードは、右の写真のようにダンボール12箱におよびます。

 最後になりましたが、関西ハムシンポジウムはJARL兵庫県・大阪府支部役員をはじめ、すべてボランティア・スタッフにより支えられています。この場をお借りしてイベントを支えてくれる皆様に心から感謝申し上げます。
 今後とも、このアマチュア無線家同士の交流をJARL支部として継続し盛り上げていきたと考えておりますので、皆様のご協力、そしてご支援をよろしくお願い致します。

(レポート:JL3LRY屋田 純喜さん)

(1月23日)



滋賀県守山市の立命館守山中学校のスクールコンタクト詳細レポート

 平成25年12月29日、滋賀県守山市の立命館守山中学校の19名の生徒が、国際宇宙ステーションに長期滞在中の若田光一宇宙飛行士との交信に成功しました。
 このスクールコンタクトは国内で71例目、滋賀県内では2例目となります。
 同校のスクールコンタクトのサポートスタッフの一人、田中 大さん(JO3DDD)に詳細なレポートをお送りいただきましたので、ご紹介いたします。

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西堀栄三郎記念探検の殿堂のスクールコンタクト

 滋賀県内では2011年に一度スクールコンタクトをおこなっていました(右の写真)が、学校主催で の実施例はなく、ぜひ実施しようということになりました。
 前回経験のある「西堀栄三郎記念探検の殿堂無線倶楽部:JL3YRT」のメンバーと話し合い、学校側に提案することになりました。

 2013年6月にNASAへ書類申請し一段落ついた頃に、突然「8月実施でいきましょう」と連絡があり……あまりの急展開にJL3YRTメンバーは準備に大わらわで、学校側とも急なスタッフ会議を開催し、打ち合わせを重ねました。
 また、機材の面では関西アリスプロジェクトの方々に協力していただき、何とか8月末の実施のめどをつけました。
 ところがその後。ISS側の都合により開催直前に延期が決定しました。生徒たちも交信のために英語での質問練習を英語の先生たちと繰り返していましたが、しばしのインターバルとなりました。

 幸い予定通り12月開催の直前に「山崎直子宇宙飛行士の講演会」に参加することができ参加生徒のモチベーションを上げることができました。

 前日にはJL3YRTメンバーで最後の機材確認、動作確認をおこないましたが4カ月あまり設置しっぱなしだったせいか、いくつかの不具合が見つかり、寒気団の居座る寒空の中夜遅くまで作業を続けました。

 当日は天候もよく、午後から最終リハーサルをおこない交信時刻を待ちました。2分前からNA1SSをコールしますが、予定時刻を1分ほど過ぎた頃、若田さんの声が聞こえてきました。さっそく参加した19名の生徒が元気よく質問をおこない、若田さんからの丁寧な回答を聞くことができました。
 最後に「夢を大きく持ち将来に向かってがんばって下さい」とエールを送られ、10分ほどのあっという間の時間でしたが、終了とともに参加された聴衆から大きな拍手がわき起こり、若田さんの声がノイズとともに聞こえなくなった後も、スタッフ共々歓喜の余韻を味わうことができました。
 参加者140名が宇宙を身近に感じることのできた貴重な体験となりました。

(レポート:JO3DDD田中 大さん)

(1月21日)



名古屋大学の「おもしろ科学教室」に6回目のイベント協力
(東海地方本部)

 国立大学法人名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区不老町)内IB電子情報館で、平成26年1月13日(月・祝)、第6回「おもしろ科学教室」が開催されました。

 このイベントは、青少年の科学への興味を引き出すことを目標とした各種学会(応用物理学会東海支部、電気学会東海支部、電子情報通信学会、日本赤外線学会、プラズマ・核融合学会、レーザー学会中部支部)や、学校(名古屋大学、豊田工業高等専門学校)、ほかの各種団体などが、子供たちの科学する心を啓発する、興味深い展示やイベントを実施しているものです。

 JARL東海地方本部は、平成21年1月12日に開催された、第1回目から毎年このイベントに出展、参加しています。

 さらに今年は、総務省東海総合通信局と愛知県電波適正利用推進協議会が合同でブースを出展し、DEURAS-Mや電波監視システムの展示やデモンストレーション等に関するブースを出展していました。

 当日は一般家庭を対象に参加を募ったところ、元気な子供たちや保護者の方々が多数集まり、例年のとおり参加団体等の展示ブース等でも、数々の興味深い展示を見て、聴いて、体験していたようです。

 第一部の記念講演では、「末松良一名古屋大学名誉教授」(愛知工業大学教授)が「からくり人形の仕組みを大公開」と題して、「からくり人形」の動作や機構など、その仕組みについてわかりやすく解説する講演がありました。「からくり人形の技術」は、現在の「ロボットの技術」にもつながるものだけに、子供たち(同行の保護者の方々も!?)興味津々。大変熱心に聞き入っていました。

 東海地方本部は例年と同様、JA2RLの公開運用と子供たちを対象にFMラジオを使ったFOXハンティング「電波でおにごっこ、キツネを探せ!」や、特定小電力トランシーバーを使った「無線交信」を実施するほか、展示コーナーでは「モールス符号で遊ぼう」と題した展示をおこないました。

 また、各種学会等の工作教室は、日本赤外線学会・レーザー学会が「光であやつろう!電子カラクリ」、日本弁理士会東海支部が「自由な発想でビー玉回転台を作ろう」、応用物理学会東海支部が「重いものでも持ち上がるかな?怪力ボックス」が実施されました。

 東海地方本部が開催したイベントでは、「見えない電波を見てみよう」の教材として準備した、「LED、ダイオードとコイルで作る簡単電波チェッカー」が今年も大好評で、子供たちは無線交信体験の途中にもトランシーバーのアンテナにチェッカーを近づけて電波の存在を確認するなど大きな関心を示していました。

 その後、事前募集および当日受け付けで集まった30名の子供たちを2チームに分けて、「特定小電力トランシーバーを使った無線交信体験」「電波でおにごっこ、キツネを探せ!」の二つのイベントを交代で実施しました。

 メインイベントの「電波でおにごっこ、キツネを探せ!」は、好天にも恵まれた ことから、今年は会場のIB情報館の館内外のスペースを使用して実施しました。FMラジオを片手に、子供たちはユニークな音を送信する送信機を探し元気に巡っていました。

 無線交信体験でも、子供たちは交信の楽しさを満喫していたようです。

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 「おもしろ科学教室」の今後の開催計画について、事務局を務めた高井吉明名古屋大学名誉教授は、「今年で6回目となりましたが、これも、さまざまな団体がそれぞれの出来る範囲で、その力を発揮しながら、互いに協力し合う事でここまで来れたものと心から感謝しております。今後は、出来たら産業界からも参加があると、さらに幅が広がり、参加する子供や保護者の科学技術への興味と関心を高める事ができるのではないかと思います」と語っています。

 東海地方本部では今後も、このような青少年向け科学啓発イベントに積極的に参加協力していきたいと考えています。

(1月21日)



「とちぎサイエンスらいおんプロジェクト」が実施のARISSスクールコンタクトレポート

 2013年12月14日、「とちぎサイエンスらいおんプロジェクト」帝京大学宇都宮キャンパスで実施されたARISSスクールコンタクトについて、実施責任者を務めた帝京大学理工学部の渡辺博芳教授から、詳細なレポートをいただきましたのでご紹介します。

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【2013年12月14日「ARISSスクールコンタクトinとちぎ」】

1. はじめに

 「ARISSスクールコンタクトinとちぎ」は、「とちぎサイエンスらいおん プロジェクト」が主催して、交信者を栃木県内で公募する形で実施しました。
「とちぎサイエンスらいおんプロジェクト」は帝京大学が提案・運営機関、栃木県総合教育センターが連携自治体となり、平成24年に科学技術振興機構(JST)の科学技術コミュニケーション推進事業ネットワーク形成地域型に採択された事業です。栃木県内の大学、研究機関、科学館、博物館、図書館、企業、団体などが参加し、栃木県民の科学技術に対する興味関心を高めることを目的とした活動をおこなっています。
 「らいおん」は栃木県の形がライオンの横顔に似ていることに由来しています。

2. 発端からリハーサルまで

 今回のスクールコンタクトは、ちょうど1年前の2012年12月14日、日本アマチュア無線連盟栃木支部支部長の安部 慈孝さん(JH1NLL)、JAXA宇宙教育リーダーの日本宇宙少年団宇都宮緑が丘分団の佐藤 洋さん(JF1EUY)から「スクールコンタクトを栃木県でもやりたい」という相談がサイエンスらいおんプロジェクトに持ち込まれたことに端を発します。
 県総合教育センターの担当者とも相談して、「栃木県初ということであれば、栃木県内に交信をする小・中学生を公募して大々的にやりたいですね」ということになり、準備に取りかかりました。
 その後、関係各所との調整が遅れてしまい、申請書を提出したのが2013年5月となってしまいました。しかし、申請時にARISS運用委員の安田 聖さん(7M3TJZ)から、「もしかしたら年内に若田さんと交信できるかもしれない」という嬉しい連絡がありました。

 9月に、12月9日〜12月15日の間で交信可能という連絡をいただき、日程に希望順位をつけて返信しました。この頃から、スタッフで具体的なイベントの形を検討しはじめましたが、直前まで、交信日時が確定しないことから、なかなかまとまらず、結局、公募開始が11月に入ってしまいました。県総合教育センターを通じて県内の小・中学校に募集要項を送り、サイエンスらいおんのWebサイトでも告知をしました。
 また、読売新聞、下野新聞にスクールコンタクト交信者公募のニュースが掲載されました。
 3週間程度という短い公募期間にもかかわらず、89名の方からの応募がありました。
 県総合教育センターを中心とした選考委員で、質問内容と動機を審査して中学生2名、小学生13名の合計15名を選考しました。小学生の中には盲学校の生徒さんが1名、宇宙少年団の団員3名が含まれます。選考に携わった方は「応募用紙を読んでいると、応募者全員に交信をさせてあげたくなる」とおっしゃっていました。
 その後、選考した15名の交信者に対して、11月30日に事前説明会、12月8日にリハーサルを実施して本番に望みました。

3. 無線機と交信場所は別の建物

 帝京大学理工学部では、人工衛星打ち上げ計画のために、地上管制局として無線設備を整備していました。人工衛星を追尾するために、仰角コントロールが可能な144/430MHz帯のクロス八木アンテナが航空宇宙システム学科棟の屋上に設置されています。
 せっかくなので、この無線設備を利用しようと考えました。そこで、臨時のアマチュア局として「帝京大学理工学部宇宙システム研究会」(8N1ISS)の開設を申請し、認可していただきました。
 無線設備は航空宇宙工学科棟の宇宙システム研究室に設置されています。一方で、交信の様子を多くの方々に見ていただきたいので、交信は300名以上が収容できる地域経済学科棟の大講義室で実施したいと考えました。そこで、無線設備設置場所と交信会場をどのように接続するかが問題となりました。
 当初、学内LANで無線設備に接続したサーバコンピュータと更新場所のクライアントコンピュータを接続し、リモートコントロールソフトを利用して無線機の操作をおこなうことを考えました。
 ところが、リモートコントロールソフトが安定せず、ときどき無線機との接続がうまくいかないことがありました。万が一にも、交信の最中にそのような事態になると困るので、無線機から交信会場までマイクとスピーカーの配線(200m)を敷設することにしました。
 交信の際には、無線設備設置場所にアマチュア無線連盟栃木支部の吉澤 光司さん(JA1NQD)と帝京大学理工学部航空宇宙システム学科3年の安藤 貴大さんらが待機し、交信会場の安部 慈孝さんと連絡をとりながら、操作をおこないました。

4. スクールコンタクト当日

 当日は午前中からアマチュア無線連盟の皆さん、帝京大学理工学部宇宙システム研究会の学生さんが集まり、マイクとスピーカーの配線を敷設し、最終的なテストをおこないました。午後には県総合教育センター、宇宙少年団の方々が参集し、会場の準備をしました。ロビーでは宇宙少年団とサイエンスらいおんのブース展示もおこないました。14時30分には交信する子供たちが全員集合、最終リハーサルをして準備が整いました。
 会場となる地域経済学科棟大講義室に280名の見学者が来場し、15時15分にイベント開始しました。イベントでは、帝京大学理工学部長と栃木県総合教育センター所長による主催者挨拶、企画概要説明、宇宙少年団の紹介、通信方法の説明をおこないました。
 その後、交信する子どもたちを紹介し、ステージに待機してもらい、宇宙飛行士の山崎直子さんから届いたメッセージが読み上げました。国際宇宙ステーションの位置がプロジェクタで投影し、近づいてくる国際宇宙ステーションを待ちます。

 今回、オペレータを務めたのは宇宙少年団宇都宮緑が丘分団の佐藤 洋さんです。16:00に国際宇宙ステーションの若田宇宙飛行士(NA1SS)をコール。佐藤さんの呼びかけに、「とちぎサイエンスらいおんのみなさん、国際宇宙ステーションから若田です」と若田さんの声が聞こえると、緊張していた場内の雰囲気が和らぎ、感動と安堵の声がひろがりました。
 15名の子供たちが順番にマイクを持って質問を送ると、若田さんは「xxさん、面白い質問ですね」などと呼びかけ、ていねいに回答してくれました。途中、若田さんからの音声が聞き取れない場面もありましたが、15名全員が質問しました。若田さんから「皆さん、また会いましょう。どうぞお元気で、さようなら」という言葉をいただき、交信が終了すると、場内は大きな拍手に包まれました。

 交信の後、子供たちに感想を言ってもらいました。子供たちは「貴重な体験だった」「宇宙を身近に感じられた」「疑問に思っていたことに若田さんが答えてくれてうれしかった」などと口々に話してくれました。その後、宇宙少年団によりモバイル端末のアプリで、国際宇宙ステーションの中の様子が紹介され、最後に15名の子供たちにサイエンスらいおんプロジェクトからの「交信証明書」を授与し、閉会となりました。
 交信をした子どもたちだけでなく、来場した方々、運営をお手伝いいただいた方々、みなさんがとても楽しそうだったのが印象的でした。「また栃木で開催したい」と感じた方も多かったのではないかと思います。こうした経験が、宇宙や無線技術など、科学への興味を高めていくことを期待しています。

5. おわりに

 今回のスクールコンタクトのようすは、読売新聞、下野新聞、とちぎテレビで報道され、茨城県水戸市の「FMぱるるん」の番組「ハムのラジオ」で紹介されました。
 また、スクールコンタクトを記念して8N1ISSのQSLカードを作成しました。会場で聞き取れなかった部分についても、録音していたアマチュア無線家から入手して、後日、若田さんからの回答を交信した子供たちに伝えることができました。
 スクールコンタクト当日は、関東総合通信局の電波監視部の方々が駆けつけてくださり、不法無線局探索車を配備して不法局の電波で妨害されないよう監視をしていただきました。ARISS運用委員の安田 聖さんにも直接会場にいらしていただき、助言をいただけたのも心強く感じました。
 他にも多くの方々にご協力・ご支援をいただき、栃木県内で初めてのスクールコンタクトが成功裏に終えることができました。皆さま、本当にありがとうございました。

(レポート:帝京大学理工学部・渡辺博芳教授)
(1月20日)


「詳細」


滋賀県守山市の立命館守山中学校の生徒が若田光一宇宙飛行士と交信に成功

 平成25年12月29日、滋賀県守山市の立命館守山中学校の19名の生徒が、国際宇宙ステーションに長期滞在中の若田光一宇宙飛行士との交信に成功しました。

 このスクールコンタクトは国内で71例目、滋賀県内では2例目となります。
 現在、同校のスクールコンタクトのサポートスタッフの一人、田中 大さん(JO3DDD)に詳細なレポートを依頼中で、レポートが届き次第、JARL Web等でご紹介する予定です。

(1月20日)



日本無線協会からのお知らせ(平成26年4月以降の無線従事者国家試験に用いる図記号の記載例(参考)の追加発表)

 日本無線協会は平成25年4月25日に、無線従事者国家試験の無線工学の無線機器の回路図等で使用する図記号(JIS C 0301)を、平成26年度から新図記号(JIS C 0617)に変更するとして、無線工学の国家試験における具体的な使用例等を記載した「無線従事者国家試験の無線工学の試験問題における図記号の取扱いについて」(PDF形式)を発表しましたが、平成25年12月25日付けで、さらに具体的な記載例「平成26年4月以降の無線従事者国家試験に用いる図記号の記載例」(PDF形式)を追加発表しました。

 平成26年度の国家試験の受験申請受付は、平成26年2月から順次開始となりますが、平成26年4月以降に無線従事者国家試験の受験を予定されている方は、これらを参考にされて、無線工学の試験問題の図記号の表記方法の変更にご注意ください。

(1月8日)


「詳細」


京都市立洛陽工業高等学校で実施のARISSスクールコンタクトレポート

 2013年12月12日、京都市立洛陽工業高等学校で実施されたARISSスクールコンタクトについて、実施責任者を務めたJM3DUR島村隆久さんから、詳細なレポートをいただきましたのでご紹介します。

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●ARISSスクールコンタクト in 京都府立洛陽工業高等学校

 2013年12月12日午後5時39分、京都市立洛陽工業高等学校で、同校に隣接している京都市立唐橋小学校 の5、6年生21人が国際宇宙ステーションの若田宇宙飛行士との交信に成功しました。

 コントロールオペレーターの高橋さんは、洛陽工業高等学校で教員をされている方です。

 会場には、唐橋小学校4年生の見学希望者の他、質問する小学生の保護者や先生と連絡の取れた同校OBのアマチュア無線愛好家と関西ARISSプロジェクトチームや他プロジェクト関係者を含め約160人が集まりました。

 このスクールコンタクトは国内では69例目、関西地方では21回目になり、また京都府内では2008年3月26日のNPO法人「子どもサポートプロジェクト」が実施のスクールコンタクトに続き2例目です。

 今回のスクールコンタクトの企画に当たって「若い人にも科学技術に触れてもらう機会がもっとあればいいな」と思っていた中、2012年6月に母校である洛陽工業高等学校で「京から宇宙高校生」という新聞記事が目に付き、ぜひARISSスクールコンタクトの提案をしようと考えました。

 正直「たぶんダメだろうな」と思っていましたが、なんと「やりましょう」という方向で話が進んでいきました。

 JARL京都クラブメンバーや洛陽工業高等学校のOBに、メールやフェイスブックを使って呼びかけて、スクールコンタクトに関心のある人に手伝ってもらうことにしました。

 また実施に対しての提案は、関西ARISSプロジェクトチームに協力をお願いして、学校への提案もスムーズにいきました。相談していただいた結果、同校近隣の唐橋小学校との間でさまざまな教育活動で連携を図っておられる中で、ARISSスクールコンタクトを体験してもらう方向で検討いただくことになりました。

 その後、ARISSスクールコンタクトの申請書作成に取りかかりました。しかし、団体の名前や教育計画などが決まらず、数か月は手つかずの状態が続きました。

 2013年6月下旬にARISS運用委員の安田さん(7M3TJZ)から2013年12月から2014年5月の間に、京都を予定したいとの情報を受け学校の担当先生に、小学校と相談のうえ申請書を早く仕上げてもらうように迫りました。いろいろなことがありましたが、関係者のおかげで7月25日に申請書を送付できました。

 その後2013年9月25日に、安田運用委員から「12月9日〜13日の週に若田さんとの交信はできませんか?」とのメールを受けたので、「やった!キタ〜!」と思い、急いで学校の担当先生に相談したところ、その日程は、期末試験期間中とのことでしたが、実施へと進んでいくことになりました。
 3アマ以上の無線従事者の高校生か教職員の方が学校におられないか探していただいたところ、高校生の中に候補者がおらず残念な結果になりましたが検討をいただいた結果、同校の教員で京都ものづくりコースの高橋先生(JG3GNU)にコントロールオペレーターをお願いすることになりました。

 準備できるアンテナ、タワー等の設備がスクールコンタクトの延期により足りなくなりましたが、関西ARISSプロジェクトの関係者のご協力で、何とか機材が10月中に準備できるようになりました。

 11月16日(土)にアンテナの設営をおこない、関西各地や洛陽工業高等学校OBを含めて14人ほど集まっていただきました。

 手分けしてタワーやアンテナなどの機材を屋上へ運び、屋上で組立を始めました。2時間弱でほぼ、タワーにアンテナを立てて、SWRのチェックとローテーターのチェックが完了し、教室へ同軸の引き込みが終わりました。
 そして会場の教室を見学し、常設の音響設備状況からハウリングの可能性の指摘があり、関西ARISSプロジェクトチーム関係者のシステムを持ち込むということになりました。そのあと、開催日に向けてやるべきことを学校へ説明しました。

 12月2日の交信リハーサル(練習会)は、当日参加の21名の小学生を集めて会場の教室で本番を模擬する形でおこないました。
 2〜3回の練習ですぐに慣れた感じになりました。模擬宇宙飛行士(JL3JRY屋田さん)を交えた練習でも6分10秒ぐらいで21問受け答えできていたので、後は「自分の質問をしっかり覚えること」「大きな声で言うことなど」「名前は下の名前だけで」と指導しました。

 本番は、安田運用委員から12月12日と決まったと連絡がありました。すぐに、学校への連絡と、関西ARISSプロジェクトの主要メンバーと連絡を取りました。

 近畿総合通信局陸上第三課の担当者より、不法局対策のため電波監視車両を現地で派遣する予定であることを伺いました。

 そして、ARISSスクールコンタクトの当日を迎えました。午前中に安田運用委員から、ISSの軌道が上がったので軌道計算ソフトのデータを最新にするよう連絡がありました。すぐに担当者へ連絡して、軌道計算ソフトCALSAT32のデータを修正してもらうことになりました。

 13時に学校に入り、会場設営が学校関係者で進められていましたので、私たちスタッフも集まり、機材を会場まで高校生の応援をいただきながら担いで上がります。音響設備の持込みと無線機、パソコンなど、セッティングが進められました。
 14時ごろに学校側と最終打ち合わせをするのに関西ARISSプロジェクト代表者の到着を待ち、14時過ぎに学校側(担当の先生、教頭先生、高橋先生、ほか生徒たち)と無線スタッフの顔合わせと打ち合わせをおこないました。プロジェクターは2セット準備され、衛星が近づいてくる地図と宇宙飛行士の写真を映しました。装飾に使用する宇宙飛行士やシャトルの風船が天井から吊るされて宇宙イベントらしくなってきました。

 高橋先生からも「ISSでトラブルがあったらしいというニュースを聞きましたが、大丈夫でしょうか?」と言われて少し気になっていましたが、刻々と時間は過ぎていきます。
 そうこうしているうちにオペレーターへの指導、無線機の操作(ドップラー周波数調整)などの指導が始まりました。高校生は、放送部の3人が取材、ハイパーステージの3人の生徒が来ていましたので、彼らにできることとして、タイムキーパーと児童への指導を手伝ってもらうことになりました。
 時間が過ぎていく中、近畿総合通信局の電波監視担当の方が学校の状況を拝見したいとのことで、アンテナの設置状況や会場となる教室に来ていただき、電波監視の状況について説明を受けました。状況的に問題はないと思いますが、引き続き監視活動をおこなっていただけるとの回答をいただきました。

 さらにその頃、見慣れない電話番号から着信があったので、リダイヤルすると安田運用委員からの電話でした。その時の話によると「ISSのトラブルで中止か延期の連絡の電話があるかもしれないので、緊急の電話に注意するように」ということでした。

 私は携帯を握りしめて廊下に出ました。その情報は近くを通りかかった数人の関係者に伝えておきましたが、「現場では児童に不安を与えてはいけない」「報道関係者へも伝えない」ということで、交信が終わるまでこの情報は伏せられました。

 学校によるプレゼンなどの講演のあと、JL3JRY屋田さんの進行で、今回の責任者である私と京都府のアマチュア無線家を代表して、JA3UWB岩本JARL京都府支部長にあいさつをいただきました。

 私は携帯を握りしめながらも残り20分前になりました。特に連絡はありません。事前の予行練習も模擬宇宙飛行士のユーモアな応答で会場を沸かせていました。

 屋田さんアドバイスで「仮に延期となった場合でも、高橋先生にISSを呼び続けてもらう」ということになりました。

 高校生が協力してのカウントダウンのあと、運命の17時37分に〜1分以上呼び続けても応答がありません、徐々にですが弱い信号が聞こえてきました。完全に聞こえるまで呼び続けて2分後に若田宇宙飛行士と繋がり、今まで以上に落ち着き、満面の笑顔を浮かべて子供たちの質問が始まりました(右の写真は、交信中の若田宇宙飛行士。Photo by NASA)。少しも途切れることなく21名による21問、予定していたすべての質問が終わり、オペレーターからの質問にも対応していただき交信は成功!

 場内は感激のあと、大きな拍手!担当した私たちも泣きそうでした。
 屋田さんから子どもたちに感想を聞き、子供たちも感動しているようでした。
 コンタクト成功後、洛陽工業高校の校長先生、教頭先生、唐橋小学校の校長先生などと固い握手をしてくださいました。やって本当に良かったと思った瞬間でした。
 なお当日のテレビ取材は、NHK京都放送局とKBS京都からあり、ローカルニュースとしても取り上げられました。また新聞各社(朝日、毎日、産経、読売、京都)の取材もあり翌朝の朝刊に掲載されました。

 そして翌日、国際宇宙ステーションの若田宇宙飛行士から洛陽工業高等学校に向けて、ツイッターでメッセージを発信していただきあらためて感激しました。

(レポート:JM3DUR島村隆久さん)

(1月7日)



   
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