●標準電波の歴史
標準電波発射の起源は、短波の通信が発達し、遠隔の地にある無線局相互の周波数合わせや時刻合わせ,さらに測地業務など必要となってきたことによります。世界最初の標準電波発射局はWWV局です。ARRL(アメリカの連盟)の機関誌QST1923年7月号には,米局標準局から標準波長でアマチュア無線のためにサービスを受けるようになったと記載されています。そして国際的な標準電波局としてWWV局は1939年(昭和8年)から運用しました。
我が国でも無線局の周波数規制のため標準電波の発射が必要になり,昭和15年1月30日にWWVに続いて世界で2番目の短波帯標準電波局JJYが運用していましたが,平成11年6月10日(時の記念日)長波帯JJY(40kHz)の運用開始にともない,短波帯による送信は平成13年3月31日12:00をもって惜しまれながら終了となりました。
福島県の大鷹鳥谷山(おおたかどや山)山頂の長波帯JJY(40kHz)は,電波時計をはじめさまざまな分野で活用されています。しかし設置地点との距離の関係から,九州地方では電界強度が不足気味でした。長波帯JJYの運用管理をおこなっている独立行政法人 通信総合研究所(CRL)では,長波帯JJY(2局目:60kHz)を佐賀県佐賀郡富士町と福岡県前原市との境界にある羽金山(はがねやま)山頂付近に設置。平成13年10月1日より本格運用を開始し,これまで電界強度が不足気味で電波時計の利用が難しかった,九州地方から日本各地に向けて日本標準時のタイムコード情報信号を発信しています。
●世界の短波標準電波局
現在,日本で受信できる主な標準電波発射局の諸元を下表にまとめました。
局名 |
所在地 |
緯度
経度 |
送信周波数(単位表示のないものはMHz)
運用時間(表示のないものは24時間連続運用) |
空中線電力(kW) |
アンテナ型式 |
BPM |
西省浦城(中国) |
35°00′N
109°31′E |
5MHz:14h〜00h (UTC)発射
10MHz:24時間連続
15:00〜14h
(UTC)発射 |
10〜20 |
λ/2
水平ダイポール |
BSF |
台湾 |
24°56′N
121°09′E |
5/10 |
2 |
λ/2
垂直ダイポール |
HLA |
大田(韓国) |
36°23′N
127°22′E |
5:01h〜08h (UTC)
(土,日と祝祭日は除く) |
2 |
垂直
コニカルモノポール |
JJY |
おおたかどや山標準電波送信所(福島県田村郡都路村) |
37°22´ 10"N
140°51´9" E |
40kHz |
50 |
250m主鉄塔による傘型アンテナ |
はがね山標準電波送信所(佐賀県佐賀郡富士町と福岡県前原市との境界にある羽金山山頂付近) |
33°27´56" N
130°10´34" E |
60kHz |
50 |
200m主鉄塔による傘型アンテナ |
RID |
イルクーツク(Russia) |
40°41′N
103°39′E |
5.004
10.004
15.004 |
1 |
水平ダイポール |
RWN |
モスクワ(Russia) |
55°48′N
38°18′E |
4.996
9.996
14.996 |
5
5
8 |
水平ダイポール |
WWV |
コロラド・フォートコリンズ(USA) |
40°59′N
105°02′W |
2.5,5,10,15,20 |
10(5/20MHzは5) |
λ/2
垂直ダイポール |
WWVH |
ハワイ・カウアイ(USA) |
21°59′N
159°46′W |
2.5,5,10,15 |
10(5MHzは5) |
λ/2
垂直ダイポール |
注)局名はアルフェベット順です。
IBP(International Beacon
Project)
ビーコン局 |
IARU/NCDXF(Northern California DX Foundation)は,HF帯のアマチュアバンドの伝搬状況を国際的な規模で把握できるように,各国の関連団体に呼びかけて,HF帯ビーコンの整備と運用体系の整備をおこなうIBP(International Beacon
Project)活動を実施しています。
この活動には,米国,カナダ,ニュージーランド,オーストラリア,日本,中国,ロシア,スリランカ,南アフリカ,ケニヤ,イスラエル,フィンランド,ポルトガル,アルゼンチン,ペルー,ベネズエラの16カ国の団体が参加しています。このIBP活動で設置されているビーコンは18局。すでに全バンドで運用中の局が大半で,日本では三重県伊勢市朝熊山のJA2IGYが運用中です(故障や補修のため停波している局もあります)
各ビーコン局の運用スケジュールは次の表の通りです。
順
番 |
時
系
列 |
コール
サイン |
送信周波数(MHz)と送信時間割当(分:秒) |
運用団体 |
14.100 |
18.110 |
21.150 |
24.930 |
28.200 |
グリッドロケータ
による位置 |
所在地 |
1 |
時
間
+
00
分
系
列 |
4U1UN |
00:00 |
00:10 |
00:20 |
00:30 |
00:40 |
UNRC |
United States, NewYork (United Nations) |
FN30AS |
2 |
VE8AT |
00:10 |
00:20 |
00:30 |
00:40 |
00:50 |
RAC/NARC |
Canada, Nunavut, Eureka |
EQ79AX |
3 |
W6WX |
00:20 |
00:30 |
00:40 |
00:50 |
01:00 |
NCDXF |
United States, California, Mt. Umunhum |
CM97BD |
4 |
KH6WO |
00:30 |
00:40 |
00:50 |
01:00 |
01:10 |
NOARG/HARC |
Hawaii, Laie |
BL11AP |
5 |
ZL6B |
00:40 |
00:50 |
01:00 |
01:10 |
01:20 |
NZART |
NewZealand, Masterson |
RE78TW |
6 |
VK6RBP |
00:50 |
01:00 |
01:10 |
01:20 |
01:30 |
WIA |
Australia, Rolystone |
OF87AV |
7 |
時
間
+
01
分
系
列 |
JA2IGY |
01:00 |
01:10 |
01:20 |
01:30 |
01:40 |
JARL |
日本 三重県伊勢市朝熊山 |
PM84JK |
8 |
RR9O |
01:10 |
01:20 |
01:30 |
01:40 |
01:50 |
SRR |
Russia, Novosibirsk |
NO14KX |
9 |
VR2B |
01:20 |
01:30 |
01:40 |
01:50 |
02:00 |
CRSA/HARTS |
中国 香港 |
OL72BG |
10 |
4S7B |
01:30 |
01:40 |
01:50 |
02:00 |
02:10 |
RSSL |
Sri Lanka, Colombo |
MJ96 |
11 |
ZS6DN |
01:40 |
01:50 |
02:00 |
02:10 |
02:20 |
ZS6DN |
South Africa, Pretoria |
KG44DC |
12 |
5Z4B |
01:50 |
02:00 |
02:10 |
02:20 |
02:30 |
ARSK |
Kenya, Kiambu |
KI88MX |
13 |
時
間
+
02
分
系
列 |
4X6TU |
02:00 |
02:10 |
02:20 |
02:30 |
02:40 |
IARC |
Israel, Tel Aviv |
KM72JB |
14 |
OH2B |
02:10 |
02:20 |
02:30 |
02:40 |
02:50 |
SARL |
Finland, Karkkila |
KP20BM |
15 |
CS3B |
02:20 |
02:30 |
02:40 |
02:50 |
00分00秒 |
ARRM |
Portugal, Santo daSerra |
IM12OR |
16 |
LU4AA |
02:30 |
02:40 |
02:50 |
00:00 |
00:10 |
RCA |
Argentina, Buenos Aires |
GF05TJ |
17 |
OA4B |
02:40 |
02:50 |
00:00 |
00:10 |
00:20 |
RCP |
Peru, Lima |
FH17MW |
18 |
YV5B |
02:50 |
00:00 |
00:10 |
00:20 |
00:30 |
RCV |
Venezuela, Caracas |
FK60NJ |
※KH6WOは18.110MHzと24.930MHzの運用をおこなっていません。
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