■長野県松本盲学校の子供たちが、古川宇宙飛行士と交信に成功!
2011年7月8日、長野県松本市の長野県松本盲学校の子供たち8名が、国際宇宙ステーションに長期滞在中の古川 聡宇宙飛行士との交信に成功しました。長野県内でのスクールコンタクトは今回が3例目で、古川宇宙飛行士による2度目のスクールコンタクトとなります。
松本盲学校のスクールコンタクトは、同校の小林宏子先生(JF1XXJ)が中心となって準備が進められ、1、0各エリアのアマチュア無線局をはじめ多くの協力者を得て実施されたものです。
同校のスクールコンタクトに参加した「4名の子供たち自身がまとめた貴重な体験談」を皆様にご紹介いたします。
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7月8日、お陰様で、安田先生(7M3TJZ)はじめ、多くの皆様のご協力のもと、無事交信が叶いました。心より感謝御礼申し上げます。
参加した子供たちが、絵日記や壁新聞を書いてくれました。これらを抜粋して、子供たちの生の言葉を皆様にお読みいただき、次の子供たちに繋がる事を願ってレポートとさせていただきます。
(JF1XXJ小林)
■Aさんの絵日記から
●7月8日金曜日はれ
きょうは、もう学校で、うちゅうとこうしんをしました。一ばんこころにのこったのは、ふる川うちゅうひこうしがこたえたのがすごかったです。
■Bさんの壁新聞から
●『宇宙とつながって』
7月8日、松本盲学校小中学部の児童・生徒9人が、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の古川宇宙飛行士と、約10分間無線で交信した。
児童・生徒たちは、調べ学習をした中で疑問に思ったことを質問した。古川さんは、そのすべてに「ありがとう」と言ってから答えた。
また、中学部の生徒3人は、古川さんはじめISSに滞在中の6人の宇宙飛行士の方々へ「フレーッフレーみなさん」とエールを送った。
特別支援学校との交信は、今回がはじめてだったが、大きなトラブルなどはなく、無事終わった。
古川さんへの質問は、小学部1年生からはじまり、中学部3年生までまわった。
私が「宇宙へ行って、いちばんびっくりしたことは何ですか?」と質問すると、古川さんは、「いい質問ありがとう」と言ってから、「重さがなくなってふわふわすること、かべを押すだけで飛んでいける(移動できる)のは便利だが、ピタッと止まろうとしてもふわふわしてしまうのがびっくりした」と答えた。
「宇宙って何だろう?どんなところだろう?ISSってどこにあるんだろう?」というところから学習を始め、調べて思いついた質問を「いい質問」と言ってもらえたことが、とてもうれしかった。他には、「宇宙はなぜ暗いのですか?」「宇宙で血が出てしまった場合、どうするのですか?」などの質問があった。
古川さんは、どの質問にも知的に、正確に、そしてわかりやすく答えてくれたので、とても理解しやすかった。
スクールコンタクトをすることが決まってからの数週間、宇宙について学習してきた中で、スペースシャトルとソユーズは、飛ばす目的や、かかるお金がちがうということや、ISSの中は、地球と同じ、約1気圧に保たれているということなど、いろんなことにびっくりしたが、いちばんびっくりしたことは、当日聞いた古川さんの声が、とてもクリアだったことだった。まるでとなりで話しているようだった。
「どんな音楽を聞いていますか?」という質問の答えとして聞かせてくれたロシアの音楽もはっきりわかった。
地上約400kmのところにあるISSからのその声や音を聞くことができたのは、無線関係者の方々、準備や練習を手伝ってくれたり、見守ってくれたりした松本盲学校の先生方、そして答えてくれた古川さんのおかげである。あの日、たくさんの人たちのおかげで宇宙とつながった10分間。たった10分間だけど、とてもおもい時間。そこで学んだたくさんのことを大切にして、それを忘れないように、これから生活していきたい。
●今回のスクールコンタクトを支えてくれたみなさんへ
今回のスクールコンタクトは、やろうと思ってすぐにできることではありません。環境、知識など、全てを支えてくださった、みなさんがいたから、このようなことがうまくいったんだと思います。
本当にありがとうございました。
■Cさんの【宇宙のはなし】から
●『松盲スクールコンタクト』
7月8日、松本盲学校機能訓練室にて長野県松本盲学校ARISSスクールコンタクトがおこなわれ、小・中学部の児童・生徒9名が参加しました。事前にインターネットで宇宙について調べたり、諏訪東京理科大学の河村教授のお話を聞いたりした上で現在宇宙に滞在中の古川宇宙飛行士への質問をそれぞれ考えました。
実際に古川さんへその質問をした時間は、全員合わせて約10分と短いものでしたが、宇宙とつながったという感動は、私にとってその何10倍も大きなものでした。
●『宇宙はなぜ暗いの?』
古川さんは、私たちが質問をするたびに、「ありがとう」と言ってくださいました。とても優しい良い方でした。
そんな古川さんへ私がした質問は、「宇宙はなぜ暗いのですか?」というものでした。なぜ、このような質問をしたかというと、それは私のちょっとした疑問からでした。私たちの住んでいる地上と宇宙を比べてみると、宇宙の方が太陽や数多くの輝く星たちに近いはずです。それなのになぜ、宇宙は暗いのでしょうか?
私のこの質問に対して古川さんはまず「とても本質的で科学的な質問をありがとう」と言ってくださいました。
宇宙は星の光でとても明るいはずなのに、実際は暗い。それは、宇宙がものすごいスピードで膨張しているからだそうです。救急車が近付いてくる時と離れていく時で音が違って聞こえる、「ドップラー効果」と同じだそうです。宇宙の膨張により星が離れていき、遠ざかる光はドップラー効果で振動数が小さくなり、それにともなって光も弱くなるのです。
質問が終わった後、中学部3名でエールをおくりました。すると、ロシア人宇宙飛行士の方がガッツポーズでよろこんでくださったそうです。それがとても嬉しかったです。
●『Cさんの編集後記』
今回、宇宙と交信をして、また、その前後に宇宙について調べてみて、宇宙には私の知らないことがたくさんつまっていて、とてもおもしろいと感じました。
これをきっかけに、もっとたくさん宇宙について知りたいと思います。
■Dさんの【スペース新聞】から
●『宇宙飛行士の古川さんとのスクールコンタクト』
6月10日学校で、スクールコンタクトについての講演会がありました。講師は、諏訪東京理科大学の河村洋先生でした。そこで、ぼくは、古川さんは昔、「ウルトラ7にあこがれて宇宙に行ってみたくなった」という話を聞いて、「思った事を実行できるのってすごいなー」と思いました。
そして、7月8日(金)本校の機能訓練室で宇宙飛行士の古川さんとの交信がありました。そして、小中学部の生徒9人が事前に、用意していた聞きたい事を一人ずつ、古川さんに質問し、答えてもらった。
●『Q and A』
Q「もし、宇宙で血が出てしまったらどうするのですか」という、ぼくの質問に対し古川さんは「静脈と動脈によって出方がちがうので治し方がちがうんです。ぼくはお医者さんなので、仲間がケガをしたら治せると思います」と、快く答えてくれました。
静脈と動脈で出方がちがうというのにびっくりしました。
●『Dさんの編集後記』
今回の交信はたくさんの人が来ていて緊張しましたが、練習通りうまく質問できました。古川さんは、話し方からいって、良い人だなと思いました。
あと、3人でエールを送ったところ宇宙飛行士のみなさんがガッツポーズをしてくれたことが嬉しかったです。宇宙にいる人と話ができるという貴重な体験ができて良かったです。
(7月11日掲載) (8月16日更新、子供たちの体験談を掲載)
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