■アマチュア無線の資格を持った10名の高校生がEMEに挑戦【8J1AXA】
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▲広報用パラボラアンテナの外観(左)と副反射鏡部分に取り付けた144/430MHz帯給電部 |
JAXA(宇宙航空研究開発機構)勝浦宇宙通信所(千葉県勝浦市芳賀花立山1-14)は、1968年(昭和43年)に、科学技術庁(現在の文部科学省)宇宙開発本部の「勝浦電波追跡所」として誕生し、現在に至るまで主に人工衛星の追跡と管制をおこなっています。
同所には4基のパラボラアンテナがありますが、このうち2基の直径18mパラボラアンテナは、昭和51年7月に完成、気象静止衛星の追跡と管制などにも使用されました。2基のうち、1基については平成6年11月に改修され、施設見学の来場者により操作体験ができる同通信所の広報用パラボラアンテナとして現在に至っていますが、双方とも施設老朽化のため解体されることが決定しており、1基についてはすでに解体作業が開始されています。
▲広報用パラボラアンテナの説明看板 |
▲パラボラアンテナの鏡面内の見学もあった |
解体が間近となったこの貴重な広報用パラボラアンテナですが、JAXAのご厚意で月面反射通信をはじめとしたアマチュア無線通信実験に活用できることとなり、Project KDES(Project Katsuura Dish Experimental Station)は、JAXAおよびJARL千葉県支部の協力のもとで、平成20年5月2日〜平成21年3月31日の間、JARLの特別局8J1AXAを開設し、広報用パラボラアンテナを使用した月面反射通信等の通信実験や運用をおこなっています。
なお広報用パラボラアンテナは、主に静止気象衛星の電波の送受信に使用されていたものです。V/UHF帯は、主反射鏡による1回反射、主要バンドでは、副反射鏡を使用した2回反射のグレゴリアン形式のパラボラアンテナとして動作します。
▲KDESスタッフによる通信実演に興味津々 の高校生たち |
▲直径18mのパラボラアンテナが月を狙う
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●Moon Bounce seminar for young generation
そしてProject KDESでは、2008年中、このパラボラアンテナを使った月面反射通信や通信実験をおこなってきましたが、2009年の活動開始に当たって、アマチュア無線の資格を有する高校生に集まってもらい、月面反射通信を実体験してもらう、「Moon Bounce seminar for young generation」を計画し、2009年2月7日・8日の両日実施しました。
今回は初めての試みということもあり、参加高校生は公募の形ではなく、高校のアマチュア無線クラブに呼びかけ、アマチュア無線の資格を持った10名の高校生が参加することとなりました。
2月7日は好天にも恵まれ、局舎に集まった高校生への、月面反射通信に関する説明の後、15:00ごろの「月の出」を待ちました。
そして月が昇り始めた後、開始されたKDESスタッフによる、直径18mのパラボラアンテナから発射された430MHz帯の電波が、月面に反射して返ってくる信号と、アメリカの局とのCWによる交信を興味深げに聞く高校生たちの姿が大変印象的でした。
その後、高校生たちによるオペレートが開始されましたが、この日の夕刻から夜、そして翌朝4時の月没まで、海外や国内のEME'erと高校生による、熱気むんむんの交信が続いたそうです。
▲高校生による交信のひとこま
(2月10日)
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