■兵庫県川西市立清和台小学校の児童が国際宇宙ステーションと交信成功
6月6日、兵庫県川西市立清和台小学校でスクールコンタクトが実施され、若田宇宙飛行士と同校の23名の児童が交信に成功しました。このスクールコンタクトは、国内で34例目の成功となります。
同校のスクールコンタクトのサポートをおこなった、関西ARISSプロジェクトチームからレポートをいただきましたので、
ご紹介しましょう。
●子供たちの声 「夢」宇宙に届け! 3度目のリベンジ「川西清和台ARISS」開催成功!
川西清和台ARISSスクールコンタクトが6月6日16:55、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の若田光一さんとのコンタクトに23名の児童が挑戦し無事全員のコンタクトが成功しました。国内では、34例目のスクールコンタクトになります。
川西市清和台は、大都市に隣接しながらまだ自然が残る郊外の住宅地です。
今回ARISSスクールコンタクトを開催を主催した清和台コミュニティーは、地域交流の場としてさまざまな活動がおこなわれておりますが、今回ARISSスクールコンタクト開催にあたり地元里山の自然を通じて、地域の自然環境から科学・宇宙を身近に子供たちと一緒に考えようと、開催までに実に14回もの事前学習がおこなわれました。
ARISSスクールコンタクト開催を地域の小・中学校に呼びかけたのは、昨年2008年7月。すぐに125名もの子供たちがあつまり夏休みから正式にスタートしました。
近くの里山に登っての自然探索や、県立西はりま天文台の職員にきていただいての望遠鏡を使った星空の観測、こな爺でおなじみのJA3CHS小永井さんの電波教室、大阪日本橋からはロボット製作教室、南極昭和基地との電話会議、さまざまなイベントを通じて自然・環境・宇宙に興味を抱きながら若田宇宙飛行士の打ち上げを待ちました。
ところが、スペースシャトルの打ち上げが延期となり若田さんとのコンタクト開催が決まったのは、年が明けての2009年3月下旬。子供たちは開催を待ちわびていたので、4月9日に開催が決まった報告をしたときは子供たちは喝采となりました。
●1回目のスケジュールまさかの交信失敗
4月9日、当日は開催市の川西市長・近畿総通からは局長をはじめとする各方面からの来賓、そして主要メディアの報道もあつまり会場は熱気いっぱい!
この川西清和台小学校に開設された臨時局は「8N3KS」(KS=Kawanishi Seiwadai)です。
予定の時刻になって、メインオペレータのJL3JRY屋田純喜さんがNA1SS若田さんをコールします。ところが予定の時間を5分過ぎても何も聞こえてきません。会場はどよめきが渡り予定の時間が過ぎ、そしてISSは日本上空から過ぎ去ってしまいました。
残念ながら、どうも何らかのトラブルでコンタクトができなかったことを会場に伝えると、がっかり肩を落とす子や、涙をうかべる浮かべる子供たちの姿も……。
会場に重たい雰囲気が流れる中、急遽、国際宇宙ステーションから再度スケジュールを組んでもらえるという緊急連絡が会場に流れると、落胆の声は再チャレンジに向けた歓声の声に変わっていました。
●2回目のスケジュールコンタクトは、新型インフルエンザの影響で延期
若田さんの帰還が6月中旬と近づいている中、再チャレンジができるのか心配していたところ、その後5月20日にスケジュールの再設定が決定されることになりました。
ところが!今度は、開催直前になり兵庫県内で広まった新型インフルエンザによる「学校休校」の措置が決定されたのを受けて、再延期となってしまったのです。
●3度目の正直!場内に緊張が走る
若田さんの地球への帰還が近づくなか、6月6日の再々スケジュールの連絡が入ります。「事実上のこれがラストチャンスになるかも!」スタッフそして子供たちにも緊張が走ります。
6月6日、当日は再開催にもかかわらず会場には早くから多くの来場者。そしてTV局をはじめ、ほぼ主要メディアすべての大報道となりました。今回も会場の体育館は交信を見守る観客で満員です。
緊張の中スクールコンタクトの予定時刻となりました。16:55分 何度目かのコールの後ノイズの中から若田さんからの声が、そしてシグナルはぐんぐん強くなります。
再びコントロールオペレーターをつとめた屋田さんによれば、コンタクトできた喜びと同時に今度は23人全員コンタクトできるか心配になったとのこと。
ISSが見えなくなる「LOS」までの刻々と迫る時間、祈るようななか、最後の一人のコンタクトが無事終了しました。会場の子供たちに「どんなことでも夢や目標をはっきりと持って頑張ってほしい」と若田さんからメッセージが伝わり、会場は喝采の渦となりました。
無事コンタクトが終了した会場では、自分の名前を宇宙から若田さんが呼んでくれたと喜ぶ子供たち、そして保護者・スタッフは感動のあまり泣いている方もおられました。
わずか10分間のコンタクトですが、この10分間の中にはさまざまなドラマがあり、子供たちには心に深く残る素晴らしい思い出になったようです。
なお今回のARISSスクールコンタクトには、関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM)の開催メンバーが多く所属している「関西ARISSプロジェクトチーム」が協力し開催されました。
(TNX JL3JRY)
(6月18日)
|